「COCOLOプラン」とは。不登校の現状から主な取り組みまでチェック【新時代の教育を考える】

子どもが学校に通えなくなり、悩んでいる保護者もいるでしょう。COCOLOプランは、不登校の問題に向き合わなければならないときの基礎知識として、押さえておきたい存在です。プランの概要や、取り組み内容などをチェックしましょう。

COCOLOプランとは?

子どもの不登校やいじめなどの問題を抱えている家庭が増えています。家庭だけではなく、国家にとっても見過ごせない問題となっており、この現状を何とかすべく、COCOLOプランが取りまとめられました。どのような取り組みなのか、概要を見ていきましょう。

文部科学省が取りまとめた不登校対策

COCOLOプランとは、学びの機会が得られない不登校の子どもたちをゼロにすることを目指し、文部科学省によって取りまとめられた対策です。

「こども家庭庁」などと連携した取り組みの実行を目指しており、2023年3月に永岡文部科学大臣の下に取りまとめられました。

近年の不登校やいじめ問題の増加に伴い、一刻も早く教育環境の整備をしなければならない状況になっているとされ、計画が前倒しで進められています。

出典:誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)について:文部科学省

不登校の現状

不登校の児童生徒数は年々増えており、2023年には小中学校合わせて約30万人にものぼると、文部科学省が公表しています。

なお学年が上がるにつれて、人数は増加しています。そのため国は緊急対策として、COCOLOプランの前倒しや、不登校施策にかかわる情報発信の強化を発表しました。

また、いじめや暴力行為の件数も増加傾向にあります。2022年にいじめとして認知された件数は、過去最多の約68万2,000件を記録しました。国は不登校の問題と同時に、いじめへの緊急対策も推進しています。

出典:不登校・いじめ緊急対策パッケージ(案)|こども家庭庁

▼「こども家庭庁」についてはこちら

2023年4月1日に発足した「こども家庭庁」の役割は?小学1年生からは「こども若者★いけんぷらす」で社会参加ができる!
「こども家庭庁」とは こども家庭庁という名前から、こどもと子育てしている人を支援するというイメージを持たれるかもしれませんが、実際にはどん...

COCOLOプランの主な取り組み

「学びの場」の多様性を推進

国は不登校やいじめに対する施策として、どのような案を打ち出しているのでしょうか。COCOLOプランの具体的な取り組み内容を紹介します。

学べる環境を整える

不登校になっても、学びたいと思ったときに学べるよう、個々のニーズに応じた受け皿の準備を進めています。具体的な取り組みは、以下の五つです。

●「学びの多様化学校」の設置促進
●スペシャルサポートルームなど、校内教育支援センターの設置促進
●教育支援センターの機能強化
●多様な学びの場、居場所の確保
●高等学校などにおける柔軟で質の高い学びの保障

「学びの多様化学校」とは、不登校の児童や生徒に配慮した教育を行う学校のことです。さらに、学校内で落ち着いて学べる環境の整備を促進するとともに、学校への復帰や、自立をサポートする機能の強化も目指しています。

不登校になっても学びをストップさせず、卒業できる環境の整備を進めていることがポイントです。

「チーム学校」で支援

不登校になる前の、小さなSOSを見逃さないことも重要です。国では、以下の取り組みを行う方針を打ち出しています。

●1人1台端末を活用し、心身の不調を早期に発見
●「チーム学校」による早期支援
●1人で悩みを抱え込まないよう保護者を支援

パソコンやスマホなどによる情報伝達技術を活用して健康観察を行い、子どもからのSOSを見逃さない体制を推進しています。

チーム学校とは、教師・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・養護教諭などが連携する体制のことです。また、スクールカウンセラーなどによる、保護者向け相談窓口の整備も推進されています。

学校の風土を「見える化」

学校の風土とは、学校生活や学習環境、雰囲気などのことで、不登校やいじめの問題と深いかかわりがあると考えられています。各学校ならではの決まりや、価値観なども含まれます。

学校の風土を見える化して、関係者が共通認識を持って取り組めるようにするため、以下の方針が掲げられました。

●学校で過ごす時間の多くを占める「授業」を改善
●いじめなどの問題行動には毅然と対応することを徹底
●校則などの見直しを、児童生徒が主体的に行う
●温かみを感じ、快適に過ごせる環境の整備
●学校を障害の有無や国籍言語などの違いにかかわらず、共生社会を学ぶ場に

▼「教育機会確保法」についてもチェック

「教育機会確保法」で教育はどう変わる? 「多様な学び」で、学校復帰よりも社会的自立をゴールに【新時代の教育を考える】
教育機会確保法とは? 日本では2016年に「教育機会確保法」が成立し、翌2017年から施行されました。新たに法律が制定された目的や、その内...

COCOLOプランの現状

COCOLOプランが実行されれば、不登校やいじめの問題が改善されやすくなると思われます。プランの現状について見ていきましょう。

予算や人員の不足

予算や人員の不足により、COCOLOプランが順調に進んでいない学校は少なくありません。少子化や働き手の減少などの問題で経営が危うく、プランを実行する余裕がないのです。十分な予算がなければ、不登校の児童生徒をサポートするための施設の設置や、人員の確保は難しいでしょう。

また、子どもが不登校になる原因として「授業についていけない」というものがあります。たとえオンライン環境が整っていても、授業についていけなければ、根本的な問題解決にはつながらないでしょう。

フリースクールという選択肢も

フリースクールは、何らかの理由で「通常の学校になじめない」「授業についていけない」などの状況にある子どもたちをサポートしている民間団体です。個別の学習支援・社会体験・スポーツ授業やカウンセリング活動などを行っています。

COCOLOプランでは「学びの多様化学校」の設置を進めていますが、まだ設置されているのは一部だけです。そのため、民間施設であるフリースクールとの連携強化も推進しています。通える範囲にフリースクールがあるなら、活用するのも一つの方法でしょう。

COCOLOプランを知り、子どもに寄り添おう

子どもの不登校やいじめの問題は、増加傾向にあります。COCOLOプランは、不登校やいじめの問題への取り組みとして、国が取りまとめた対策です。具体的には、子どもたちが学ぶ環境の整備や、子どもからのSOSを見逃さないようにするための対策などを推進しています。

不登校の子どもを持つ保護者の相談窓口の開設も進んでおり、相談できる場所は今後増えていくと考えられます。子どもにしっかりと寄り添うためにも、保護者は1人で抱え込まず、まずは身近な窓口などに相談してみるとよいでしょう。

こちらの記事もおすすめ

不登校・行き渋りに公立小学校はどう取り組んでいる?「誰一人取り残されない学びの保障」で学校はこう変わった
「チーム学校」として、その子に寄り添って対応 ――朝、子どもが「学校に行きたくない」と言い始めたら、子育て中のママ&パパは、どう対応したら...

構成・文/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事