「煮干し」って何の魚? 美味しい出汁のとり方や、そのまま食べるレシピ習得で、カルシウム生活スタート!

美味しい出汁がとれる煮干し。和食だけではなく、ラーメンの出汁などにも使われ、私たちの身近な食材ですよね。しかし、煮干しはどんな魚が使われているなか、出汁の取り方や食べ方など、詳しくはわからない、という方も多いのでは? そこで本記事では、煮干しについて紹介していきたいと思います。

煮干しとは?

「そもそも煮干しって何?」と聞かれると、正しく答えられるか自信のない方も少なくないのでは?

煮干しとは、乾物の一種で、「かたくちいわし」や「まいわし」などの魚介類を塩水で煮て、それを干し、乾燥させたもののことをいいます。味噌汁やラーメン、お雑煮などの出汁に使われることが多いでしょう。

「煮干し」と「いりこ」は同じもの

出汁をとる魚介類の乾物といえば、「煮干し」と「いりこ」が思い浮かびますよね。

この「いりこ」と「煮干し」はどう違うのかというと、実は同じもの。地域によって呼び方が違うだけなんです。魚介類を煮て干したものを東日本では「煮干し」と呼び、西日本では主に「いりこ」と呼ばれています。

煮干しの種類や特徴とは?

一般的にスーパーなどでよく売られている煮干しは、「かたくちいわし」の煮干しです。うどんやそば、味噌汁や鍋などさまざまな料理に使える万能出汁。魚介の香りと、しっかりとした旨みが出るため、出汁用に使われることが多いでしょう。

煮干しと、ひと口にいっても使われる魚は「かたくちいわし」だけではありません。種類や特徴などを見て行きましょう。

平子いわし

すっきりとしたクセのない出汁が取れるのが、真いわしが原料となった「平子いわし」の煮干しです。煮物やうどん、味噌汁の出汁に向いているといわれています。

うるめいわし

うるめいわしを原材料とした煮干しは、まろやかでほのかに甘い出汁がとれるのが特徴。そうめんつゆや、うどんの出汁におすすめです。

あご

あごとは九州でのトビウオの呼称。若い小型のトビウオが原料となっている煮干しからは、甘く澄んだ出汁がとれます。長崎や福岡など、九州のお雑煮にはあご出汁を使うのが一般的なのだそうです。

あご出汁でつくった博多の雑煮の例

煮干しに含まれる主な栄養素は?

煮干しは旨味だけでなく、栄養素も多く含んでいます。煮干しに含まれる主な栄養素をチェックしていきましょう。

・カルシウム… 歯や骨を構成するために重要な栄養素。煮干し100gあたり2,200mgのカルシウムが含まれているといわれています。

・ビタミンD… カルシウムは吸収しにくい栄養素ですが、その吸収を助けてくれるのがビタミンDです。

・タンパク質… 臓器や筋肉を構成し、体を作る上で欠かせなのがタンパク質。煮干し100gあたり64.5gのタンパク質を含みます。

煮干しはそのまま食べることができる?

煮干しは出汁に使うだけでなく、そのまま食べることも可能です。そのまま食べることで栄養素を効率よく摂取できるというメリットも。

しかし、一般的に売られている煮干しは、出汁用。加熱調理することを前提としています。苦味や塩分が気になることもあるかもしれません。心配な方は、「そのまま食べられる煮干し」「食べる煮干し」という表示のある商品を選ぶのがおすすめです。

煮干しの1日の摂取量の目安は?

煮干しの摂取量は1日30gくらいが目安だといわれています。

煮干しは、塩分が高めです。そのため、子どもや高血圧の方は摂り過ぎに注意してください。また、プリン体も多く含んでいます。糖尿病や尿酸値の高い方は注意が必要でしょう。

基本の煮干し出汁のとり方

煮干し出汁のとり方には、あっさりとした出汁になる「水出し」と、しっかりとした出汁がとれる「煮出し」があります。出汁をとる前にする下準備、水出し方法、煮出し方法を見ていきましょう。

煮干しを下処理すると雑味のない出汁に

煮干しの下処理は、魚の頭や内臓をとること。煮干しの苦味などを出さないようにする処理です。しかし、全然気にならないという方はそのまま使ってもOKです。

1、煮干しの頭をとる

血液や汚れが付着していることが多く、取り除くことで臭みの原因をなくすことができます。

2、半分に割って内臓をとる

煮干しを半分に割って、中にある内臓を取り出します。内臓は、苦味や生臭さの原因となるもの。取り除くことで、すっきりとした美味しい出汁になります。

3、乾煎りする

頭と内臓をとった煮干しをフライパンで3~4分、乾煎りします。乾煎りすることで魚の臭みをとり、イワシの風味を際立たせます。

水出し

水出しは水につけておくだけ。時間をかけたくないときにおすすめです。あっさりとした出汁がとれるため、うどんの出汁や、おすましなど、薄い味の調理に向いているでしょう。

<用意するもの>

・煮干し… 30g
・水… 1ℓ
・容器
・ラップ
・ざる

<作り方>

1、容器に煮干しと水を入れ、ラップをしたら冷蔵庫で一晩寝かせます。

2、寝かせたらザルで濾して完成です。

長い時間寝かせておくと、臭みや雑味が出てくるため、寝かせる時間は12時間以内がおすすめです。

煮出し

煮物や味噌汁など、濃いめの味付けの料理に使いたい場合は、煮出しがおすすめ。味わいがしっかりとした出汁がとれます。

<用意するもの>

・煮干し… 30g
・水… 1ℓ
・容器
・ラップ
・キッチンペーパー
・ざる

<作り方>

1、下準備をした煮干しと水をボウルにいれてラップをし、冷蔵庫で一晩寝かせます(時間がないときは常温で30分以上でもOK)。

2、1をすべて鍋に移し、沸騰するまで中火で加熱。

3、沸騰したら弱火にして、アクをとりながら4~5分間煮出していきます。

4、煮出し終わったら、ザルにキッチンペーパーなどを敷き、3を濾して完成です。

そのまま煮干し食べられるレシピ

おやつ感覚で食べられる煮干しの甘辛せんべいのレシピを紹介します。甘辛くてポリポリと食べちゃいますよ!

材料(作りやす量)

・煮干し… 50g
・砂糖… 大さじ2
・酒… 大さじ1
・醤油… 大さじ1
・みりん… 大さじ1
・白ごま… 大さじ1

作り方

1、煮干しはフライパンなどで焦がさないように弱火で乾煎りします。

2、煮干しがカリカリになったら、一度取り出します。

3、フライパンに砂糖、酒、醤油、みりんを入れ、煮詰めます。

4、3に取っておいた煮干しを入れ混ぜます。

5、最後に白ごまを絡めたら、クッキングシートなどの上に広げ、粗熱が冷めたら完成です。

栄養満点の煮干しで美味しい出汁をとろう!

和食の土台となるのは出汁です。幅広い料理に使える煮干し出汁は、水出しや煮出しの方法があります。最近では、便利な出汁パックで出汁をとる方も多いでしょう。

しかし、煮干しには多くの栄養素が含まれています。時間があるときや、手間をかけて美味しい料理を作りたいとき、煮干しから出汁をとって見てはいかがでしょうか? 魚介の風味を感じ、食べると贅沢な気持ちになれます。

また、煮干しには、カルシウムやビタミン、ミネラルなど不足しがちな栄養素がたくさん詰まっているので、そのままおやつのように食べるのもおすすめです。食べ過ぎには注意して、効率よく栄養素を摂取したいものですね。

こちらの記事もおすすめ

子どもの「正しい味覚」を育てるのは”出汁(だし)”。スーパーで買える材料で10分で作る方法を発酵料理人がレクチャー!
子どもが大好きな味といえば、ケチャップ、マヨネーズ、ウスターソース、焼き肉のたれ・・・・私たち大人も大好きだし、手軽に入手できるから、ついつ...

構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)

編集部おすすめ

関連記事