ピアノもプログラミングも独学でスタート
独学で学んだとは思えない、マサキくんのピアノ演奏力と、スマホゲームのプログラミング。
いつから、どのように身につけていったのか? マサキくんの自主性に合わせたお父さんのこれまでのサポート術も合わせて聞いてみました。
「絶対音感」を身につけて欲しかった親心
–マサキくんがピアノに興味を持ったきっかけは、何かあったのですか?
マサキくん:小さい頃から家に電子ピアノがあって、はじめはそれをじゃんじゃん適当に弾いていました。3歳頃からだったと思います。
–お父さんが元々ピアノを弾く方だったのでしょうか?
お父さん:いや、私は弾けないです。でもトランペットをやっていて、ピアノも弾けるようになりたいと思って買ってあったもので遊ばせていました。
私はトランペットをやっているときから常々「絶対音感ってすごいな」と思っていまして、自分の子どもには絶対音感をつけさせてあげたいなと思っていたんです。
–マサキくんに絶対音感をつけるために、実際にはどんなことをされたんですか?
お父さん:マサキが赤ちゃんの頃、寝かしつけでBGMにテンポ60の正しいコードを流しながら、それに合わせて「ドミソミド~♪」とか僕が歌っていました。それを欠かさずやっていたらいつの間にかリズム感抜群の絶対音感になってくれたんですね。
絶対音感は私が調べた限りですが、小学生低学年くらいまでにしか身につかないと聞いていたので、それまでにできることなら与えてあげたいなと思い、いろいろ試してみました。結果としていろいろなことが得意になってくれたなという印象です。
–今、ピアノは1日にどのくらい練習をしているんですか?
マサキくん:朝起きて、ピアノを30分練習してから学校に行きます。学校から帰ったらまず宿題を終わらせて、そのあとゲームのプログラミングをして、夜にまたピアノを30分練習します。プログラミングはその日、時間がある分だけやっています。ピアノはたまにもっと長くやるときもありますけど、だいたい朝・夜合わせて1日1時間くらいですね。
毎日必ず朝と夜はスケール練習(ピアノの基礎練習の1つ)をします。朝はメジャーのスケール、夜はマイナーのスケール(ハーモニックマイナースケール)練習です。
お父さん:ピアノの練習はそんな風に習慣にしていますね。私が何も言わなくても時間になったらはじめます。
全調を一度にやろうとすると時間がかかってしまうので、曜日ごとに分けて月曜はドとドの♯、火曜日はレとレの♯とか曜日で分けたりしています。できるだけ1週間で一周するようローテーションしていくプログラムを私が考えています。
耳コピーするときの事を想定して、聞いたらすぐ調で演奏できるとか、そういったことを考えて練習した方がいいよ、というアドバイスはすることがありますね。
–ピアノのレッスンをする上で、何か気をつけていることはありますか?
マサキくん:強くなったり弱くなったりしない、早くなったり遅くなったりしない、長くなったり短くなったりしないことです。
お父さん:ピアノの弾き方の話ですね。スケールの練習でもそうですが、ただやるだけだったらあまり意味がないと思うんですよ。自分でとにかく音を聞きながら、音の強さや速さがバラバラにならないよう意識して弾けるといいねと話しています。
–レッスンでお父さんに注意されたり、怒られたりすることはあるんですか?
マサキくん:演奏の時に集中しないで、適当にじゃんじゃんピアノを弾いているときは怒られます!
お父さん:何も考えずにただやるっていうのが一番よくないなと思っているんですね。子どもも忙しいので、限られた貴重な時間を大切にして欲しいなと。色々な事に挑戦できるゆとりが持てるよう、集中してレッスンできるといいなと思います。
学業との両立はどうやってるの?
–学業と好きなことを両立するために、工夫していることはありますか?
マサキくん:その時々で何を1番にするか、自分の中で順番を考えながらやっています。
お父さん:例えばピアノならイベント演奏があったり、プログラミングなら提出期限があったりします。ですからその都度、優先順位を変えていたりはします。
プログラミングの提出が迫っているときなんかはやはり時間が足りなくなるので、朝早く5時頃に起きて黙々とやっていたりもしますね。プログラミングは静かな環境の方が作業が進むみたいです。
–ゲームのプログラミングも独学だそうですが、やるだけでなく作ることにも興味がわいたんですね。
マサキくん:いろいろなゲームをしていて「自分もゲーム作ってみたいな」という気持ちになり、最初は※スクラッチを使って簡単なブロックをつなげるものをプログラミングしました。小学1年生の時です。プログラミングは主に本を読んで勉強しました。最近では高水準プログラミング言語を始めゲーム会社に務めるUnity幼稚園のじょに先生にわからないことを教えてもらっています。
※スクラッチ(Scratch)は、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボによって作られたプログラミング学習用ツール。無料で使えて一般的なプログラミングに必要な難しいコードを書く必要がなく、小学生でも簡単にプログラミングが可能です。
お父さん:私もパソコンをいじるのが好きなので、子どもにもコンピューターを自由に使えるような環境にしていました。ゲームについては、うちはやっていて怒ることがあまりないんです。ゲームから学べることもあると思うし、ゲームを作るならゲームをやらないと、って考えています。
–他にご両親で決めている子育てのルールなど、何か決め事はありますか?
お父さん:学校で、あったできごとをいろいろ話してもらうようにしています。だいたい食事の時間にすることが多いです。大切にしていることは、できるだけ家族団らん、一緒に食事をすることですかね。
今興味があるのは、意外にも…?
–今後ピアノやゲーム制作で新しくやろうとしていることはありますか?
マサキくん:今、絶対音感や絶対リズム感になれる学習ゲームアプリを制作中なんです。夏頃にはリリースする予定です。
お父さん:大人でも、相対音感を身につけることができる内容になっていると思います。詳細はマサキの作ったホームページをご覧ください。
–すごいですね! でき上がったら是非、挑戦したいです! ピアノとゲーム制作以外にも、これから他にやってみたいことはありますか?
マサキくん:やってみたいことは、バンジージャンプとか、スカイダイビング。僕が今までやってないことをしてみたいです。おもしろそうだし、楽しそう!
お父さん:昨年CM撮影でマサキが参加したバンド演奏の収録があり、東京へ行くことがあったんです。マサキは一人で山口県から飛行機に乗って行きました。そのときの経験が印象的だったみたいですね。
–1人で飛行機に乗るときは緊張しましたか?
マサキくん:緊張もしたけど、楽しかったし、ドキドキ感もありました。富士山がすごくきれいに見えました!
今やってみたい職業は、飛行機のパイロットです。
–そんなに今は「空」に興味があるんですね! ピアノ演奏やゲーム制作を職業にしたいとは思っていないのですか?
マサキくん:少しは思っています。パイロットになれなかったら、そっちでもいいかなって。
–すごい、ピアノとゲームの方が保険なんですね(笑)
好きなことを「次にどうしたいか」の着眼点と努力がすごい!
マサキくんにピアノ演奏する時の曲のセレクトについて聞いてみると「難しそうな曲をやってみたくなる」のだそう。独学ゆえに時間がかかることももちろんありますが、最終的には自力で弾けるようになっています。
この年代の子たちが当たり前にやるゲームも、やり始めた後に自然と「自分で作ってみたい」と思う気持ちが芽生え、実際に制作するまでに至ったというのが、本当に印象的でした。
難しいと思えることに臆する事なく次々に挑戦し、克服していくマサキくんが今後どんなことにチャレンジしていくのか、本当に楽しみです!
マサキくんのピアノ演奏が聞けるYouTubeチャンネルはこちら!
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取材・文/苗代みほ