昔から、「りんごが赤くなれば医者が青くなる」と表現されるほど、万病に効くといわれる薬用果物です。水溶性食物繊維が多く、ポリフェノールの一種であるアントシアニンや、ペクチン、カテキンなどの栄養素がいっぱい含まれています。それらの栄養素を無駄なく摂取するために、正しい保存法を知っておきましょう。
ここでは、常温の場合と冷蔵、冷凍の3つの保存方法についてご紹介します。
りんごの常温保存方法
秋から冬の時期に旬を迎えるりんご。りんごは寒い気候を好むため、常温保存の場合でも風通しのよい涼しい場所で保管するのが基本。1つずつ新聞紙などで包み、かご(段ボールなどでも大丈夫です)に重ならないように置きます。湿気の少ない冷暗所で保管するように心がけましょう。
りんごの冷蔵保存方法
丸ごと冷蔵保存する場合
丸ごとのりんごを冷蔵保存する時は、必ずポリ袋に入れることが大切です。果物や野菜は、成長を促すために、エチレンガスを排出します。そのエチレンガスにより、熟成しておいしくなるわけです。特に、りんごはエチレンガスを大量に排出する果物。他の食材を痛みやすくしてしまうため、乾燥を防ぐ意味でもポリ袋で保存するのがベストです。
逆にエチレンガスと相性がいいのは、じゃがいも。りんごを入れたポリ袋の中にじゃがいもを一緒に入れると、じゃがいもの発芽を抑制する働きがあると言われています。すべてにとってエチレンガスが悪いわけではないのがおもしろいですよね。
切ってから冷蔵保存する場合
りんごは、切るとすぐに褐変反応を起こして茶色く変色してしまいます。これは、りんごに含まれる酵素が酸化し、褐色成分を生成するためです。それを防ぐのが、レモン汁! レモンのビタミンCは、酸化防止効果があるため、切った断面にレモン汁をかけることで変色を防いでくれます。塩水よりも効果的です。レモン汁をかけたら、ラップなどですぐにきちんと包んで冷蔵保存しておきましょう。
りんごの冷凍保存方法
冷凍保存はスライスしてからがおすすめ
生のまま冷凍するときは、スライスしてから冷蔵保存同様にレモン汁をかけるのがおすすめです。ラップで包んでから冷凍保存用袋に重ならないように入れてください。
生でおろしたりんごも冷凍保存できます。この場合も、レモン汁をかけると還元力があるため変色を防いでくれます。すぐにレモン汁と混ぜ合わせられるように、あらかじめレモン汁をしぼってから、りんごをおろすのがベスト!
◆ポイント
無農薬りんごはなかなか入手が難しいですが、もし、減農薬などのりんごが手に入ったらよく洗って皮からすりおろすのがおすすめ。皮と実の間に栄養素が高いため、皮ごと使いましょう。
また、加熱して冷凍保存する方法もあります。じっくり煮込んでピューレ状にすれば、ジャム代わりに。食べる時は、冷蔵室に移して解凍してから召し上がれ♪
りんごの保存期間
常温保存の場合
1か月程度
冷蔵保存の場合
丸ごとの場合は、2か月/切った場合は、2~3日程度
冷凍保存の場合
1か月程度
撮影・文/川越光笑(たべものライター・発酵食スペシャリスト)
保存したりんごを使ったおすすめレシピ
【1】アップルポテトサラダ
りんごとヨーグルトの酸味が、ほどよくさつまいもの甘味を引き立ててくれます。
◆材料
(大人2人+子ども2人分)
さつまいも 1本(250g)
りんご 1/2個
【A】
レモン汁 大さじ1/2
塩 小さじ1/4
こしょう 少々
【B】
マヨネーズ 大さじ3
プレーンヨーグルト 大さじ3
はちみつ 大さじ1
◆作り方
【1】さつまいもは2cm厚さのいちょう切りにし、水にさらす。りんごは皮をむいて1.5cmの角切りにする。
【2】鍋にさつまいもを入れて水をたっぷり注ぎ、強火にかける。煮立ったら火を弱めて10~15分、やわらかくなるまで煮る。
【3】【2】の水けをしっかりきり、【A】とあわせて下味をつける。冷めたらりんごと、混ぜ合わせた【B】を加えて和える。
*はちみつは、メープルシロップや砂糖でもOK。
*1歳未満のお子さんには、はちみつは使用しないでください。
教えてくれたのは
藤井 恵さん
22歳で結婚し、二女を出産後、30歳で料理の世界に復帰。簡単でおいしく、栄養バランスのいいレシピが人気。藤井家の毎日のごはんを綴ったブログも参考になります。
『ベビーブック』2011年11月号
【2】レーズンバターりんご
甘くてほんのりバターのきいた優しい味。子供も喜ぶ冬の温かおやつに。
◆材料
(大人1人+子ども2人分)
りんご 1/2個
レーズン 15g
無塩バター 15g
砂糖 小さじ1
※写真の分量は、すべて子ども1人分の目安です。
◆作り方
【1】りんごは皮をむいてくし形4等分に切り、芯を除いて横1cm幅に切る。耐熱皿に入れ、上にレーズン、刻んだ無塩バターを散らし、砂糖をまぶし入れてラップをふんわりかけ、電子レンジで2分ほど(500Wの場合)加熱する。
教えてくれたのは
松見早枝子さん
料理研究家。ビューティレシピスト。美と健康をテーマに、栄養バランスに優れたおいしいレシピを提案。雑誌、テレビ、講演会、料理教室など幅広く活躍している。美食家でレストランオーナーの夫、息子と3人暮らし。
『めばえ』2016年10月号
【3】焼きりんごの蒸し煮
蒸し煮にするとりんごの自然な甘さがグッと顔を出す!甘さは加えず、シナモンをふるだけで、素敵なデザートに。
◆材料
(大人2人+子ども1人分)
りんご 2個
油 大さじ1
シナモン 少々
◆作り方
【1】りんごは皮と種を除いて、ひと口大に切る。
【2】フライパンに油とりんごを入れて、中火で油がなじむように炒めたら、弱火にしてフタをし、15分蒸し煮する。シナモンをふる。
教えてくれたのは
ウー・ウェンさん
北京生まれ。1990年に来日。北京家庭料理が評判となり、料理家に。東京と北京でクッキングサロンを主宰。
『めばえ』2017年6月号
【4】鶏もも肉とりんごのチーズ焼き
りんごをバターでソテーして風味をつけてから鶏肉をソテーし、最後にチーズも挟んでオーブンに。このひと手間が家庭にいながらレストランのような一品に。
◆材料
(大人2人+子ども1人分)
鶏もも肉 1と1/3枚
りんご 1個
塩・こしょう 各少々
バター 20g
サラダ油 適量
スライスチーズ 2と1/2枚
◆作り方
【1】りんごは洗って芯を除き、皮ごと薄切りにする。鶏もも肉は皮を除いて一口大に切り、塩、こしょうをふる。
【2】フライパンにバターを溶かし、りんごを炒めて取り出す。サラダ油を足し、鶏肉を焼く。
【3】バットに【2】の鶏肉とりんごを交互に並べて、スライスチーズをのせ、オーブントースターで7~8分、チーズが溶けるまで焼く。
*イタリアンパセリを飾っても。
教えてくれたのは
尾田衣子さん
「ル・コルドン・ブルー」やイタリアにて料理を学び、 OLから料理研究家に転身。現在、「料理教室Assiette de KINU」http://ryo-ri.netを主宰。男の子のママでもある。
『ベビーブック』2013年5月号
【5】さつまいもと あったかすりおろしりんご
使う食材はシンプル!自然の甘みと酸味を生かして。風邪や体調不良のときにも。
◆材料
(子ども3~4人分)
さつまいも 150~200g
塩 少々
りんご 1/4個
【A】
砂糖 20g
水 150cc
【B】
片栗粉 小さじ1
水 小さじ2
◆作り方
【1】さつまいもはよく洗い、1cm幅の輪切りにし、水にサッとさらす。鍋に入れて水(分量外)をひたひたに注ぎ、塩を加えて7分ゆでて、水けをきる。半分に切って器に盛る。
【2】鍋に【A】を入れ、りんごをすりおろしながら加え、中火にかけて1~2分煮、混ぜた【B】を加えてとろみをつける。【1】にかける。
*お好みでレモン汁をかけても。
教えてくれたのは
青木恭子さん
小田真規子主宰のスタジオナッツ所属。2つの保育園に7年間、栄養士として勤務。0歳児の離乳食~5歳児の給食とおやつ作りを担当。現在は雑誌やWEBなどで活躍。
『ベビーブック』2013年2月号
【6】焼きりんごのアイスのせ
温かくて冷たいデザート。簡単に作れて、定番のおいしさ。
◆材料
(子ども4人分)
りんご 1個
【A】
レモン汁 少々
グラニュー糖 適量
アイスクリーム 適量
◆作り方
【1】りんごは横1cm厚さの輪切りにし、芯を除く。
【2】アルミホイルに【1】をのせて【A】をふり、魚焼きグリルで5~6分焼く。
【3】器に盛って、アイスクリームをのせる。
教えてくれたのは
ほりえさちこさん
栄養士、フードコーディネーター、飾り巻き寿司インストラクター1級。男の子のママ。育児経験を生かした簡単で栄養バランスのとれた料理やかわいいレシピが人気。
『ベビーブック』2014年11月号
【7】りんごとさつまいものパングラタン
砂糖なしで仕上げて、素材の自然な甘みを楽しみましょう!
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
さつまいも 中1/3本(80g)
りんご 中1/3個(80g)
食パン(8枚切り) 1枚
【A]
卵 1個
牛乳 100ml
◆作り方
【1】さつまいもは洗って1~1.5cmの角切りにし、りんごは皮をむいて同様に切る。耐熱皿にのせて水大さじ1をかけ、ラップをふんわりかけ、電子レンジ(600W)で2分加熱する。
【2】グラタン皿に水けをきった【1】、小さい角切りにした食パンを入れ、混ぜ合わせた【A】(卵液)をかける。
【3】卵液がパンに染みこんだら、オーブントースターで10分を目安に、卵液が固まるまで焼く。
教えてくれたのは
上田淳子さん
ヨーロッパや日本のレス トランで修業後、料理研究家として雑誌、書籍、テレビで活躍。「育児の予習ゴハン会」を主宰するなど食育にも力を注ぐ。双子の男の子の母。
『ベビーブック』2016年5月号
【8】りんごきんとん
ほどよく酸味が効いて甘さ控えめ!子供でも食べやすいさつまいもでアレンジした、おやつにぴったりの一品です。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
りんご(くし形切り) 1/8個分
さつまいも 小1本(200g)
【A】
水 大さじ2
砂糖 大さじ1/2
【B】
砂糖 大さじ1
ヨーグルト 大さじ2
◆作り方
【1】りんごは芯を取り除き、3㎜厚さの縦薄切りにする。耐熱皿に並べて【A】を振り、ラップをかけて電子レンジで1分30秒加熱し、刻む。
【2】さつまいもは厚めに皮をむいて1cm厚さの輪切りにし、5分ほど水にさらしてアクを抜く。ひたひたの水から、やわらかくゆで、湯をきってつぶし、【B】を混ぜる。
【3】【1】、【2】を混ぜ合わせ、茶巾にしぼる。
◆ポイント
薄切りにしたりんごは重ならないように並べ、砂糖水を加えることで加熱ムラが出ない。
教えてくれたのは
落合貴子さん
料理研究家、栄養士。1 男1 女を育てながら、大人も子どもも喜ぶ「おいしさ」「見た目」「食べやすさ」を工夫して、栄養バランスのよい料理を提案している。電子レンジの時短クッキングが得意。
『ベビーブック』2018年1月号
構成/HugKum編集部