子育てには、悩みがつきもの。とはいえ、世の中のママ・パパはどのような悩みを抱え、どのように対処しているのでしょうか。今回はパパ・ママに多い悩みと、その対処法をまとめました。
目次
子育てに多いお悩みは?
まずは、世のパパ・ママが共通してどんな悩みを抱えているのか、ランキング形式で実態を確認してみましょう。過去にHugKumが全国のパパ・ママ100人に聞いたお悩みアンケートでは、以下の悩みがワーストの上位に来ていました。
1位:子どもの将来と教育
最も多かった悩みは、子どもの将来について。教育をどうすればいいのか、子どもが上手に生きていけるのかといった、パパ・ママならではの悩みを抱えている人が多かったと過去の調査でも分かっています。具体的には、
「何歳から教育をしていくべきか悩む」(40代・兵庫県・子ども2人)「勉強があまりできない」(40代・愛知県・子ども1人)「子供の勉強や習い事に関して、本人の意思や自主性も尊重する必要があり、どこまで関与するか」(40代・東京都・子ども2人)(HugKumの過去記事より引用)
といった教育問題の悩みから、
「学校でいじめに遭わないか、仲間外れになっていないか、 子供が社会に出ても通用するかなど。」(40代・福井県・子ども2人)「苦手なことが多くマイペースな長男の今後が心配」(40代・大阪府・子ども2人)「少しづつ思春期に向かってどのように対応していけばいいか、まわりとうまくやっていかれているのかの心配など不安が多い」(30代・埼玉県・子ども1人)(HugKumの過去記事より引用)
といった、性格や人間関係の悩みが多いと分かります。
2位:しつけ方について悩む
2歳前後の子ども特有の「イヤイヤ期」や、子どものしかり方について悩む声も多かったです。しかってもうまく伝わらない、本当に自分のしかり方は正しいのかと多くの方が悩んでいる様子が分かります。
「イヤイヤ期のとき、どう対応したら良いかわからない」(30代・千葉県・子ども2人)「しかり方が難しい」(40代・東京都・子ども3人)「学校とか勉強とか全部面倒だという息子に、必要性を説くうまい言い方が分からない。反抗期で何を言っても聞かないので」(40代・千葉県・子ども2人)「子どもに自分の言っている言葉が響いていないと感じる」(30代・埼玉県・子ども1人)(HugKumの過去記事より引用)
似たような悩みを抱えるパパ・ママ、たくさん居るのではないでしょうか。
3位:お金の不安
もちろん、子どもを育てるためにはお金がかかります。お金の心配も、保護者には尽きない悩みですね。
「子供にお金がかかりすぎる」(40代・埼玉県・子ども3人)「子供の教育について、どこまで経済的に援助できるか不安」(40代・石川県・子ども2人)「私立に行きたいと本人が望んだら、どれだけお金が必要なのか不安がある」(30代・東京都・子ども1人)(HugKumの過去記事より引用)
4位:すぐにイライラしてしまう
教育の問題、しつけの問題、お金の問題など、悩みが積み重なると、感情のコントロールができずに、イライラしてしまう人も多いはずです。実際に「イライラしてしまう」という悩みも、多いと過去の調査で分かっています。
「イライラした気持ちでつい怒ってしまう」(40代・東京都・子ども1人)(HugKumの過去記事より引用)
しつけや子育てに迷ったら読みたい 育児本
これまで紹介したような悩みに直面して、気持ちがつらくなってしまった場合、どうすればいいのでしょうか? 誰かに話す、気分転換をして忘れるなど、いろいろな方法があるかと思いますが、最も身近で効果的な解決策は読書。子育ての知恵が書かれた本を手に取り、解決へのヒントを探してみてください。
絵本『6歳のきみへ』(小学館)
子どもの将来の問題、しつけ方、イライラなどの問題について、導きの言葉を与えてくれる良書が世の中にはたくさんあります。精神科医である佐々木正美先生の絵本『6歳のきみへ』(小学館)も、そのうちの1冊です。
この本には、育てにくさを感じるわが子をどうやって育てればいいのか、親としてどのような見守り方をすればいいのか、イライラをどうすればいいのか、考えるヒントがたくさん書かれています。
「いたずらによって、ものを考える力をたくわえている」だとか、
「好き嫌いが強い子どもは、味だけでなく、いろいろな感覚や感受性がとても個性的」だとか、
「みんな、きょうの喜びのためにあったんだ、ということが、(卒園時と小学校の入学時に)よくわかります」だとか。
思わずパパ・ママがイラっとしてしまいがちな瞬間も、異なる角度から、別の見方をすれば、全く違ったように見えると、この本は教えてくれます。
しかも書籍自体が大人向けの薄い絵本になっているので、忙しい子育ての合間をぬって、何度でも読み返せるようになっています。子どもの将来、しつけ、イライラに悩む子育て世帯に置いておきたい名著です。
関口英子訳『弟は僕のヒーロー』(小学館)
先ほど紹介したアンケートには、子どもの将来を不安視する声も寄せられていました。
しかし、「勉強ができない」「苦手なことが多い」という悩みは、「普通の人と比べて」という前提の上で成り立っています。この「普通の人」とは何なのか、「普通」で居続けようとする努力が、本当に人生を幸せにしてくれるのか、関口英子訳『弟は僕のヒーロー』(小学館)は考えさせてくれます。
もともとこの本は、ダウン症の弟を持つイタリア人の18歳の高校生が、動画投稿サイトに投稿した『ザ・シンプル・インタビュー』というショートムービーを基にしています。
動画がイタリアの大手出版社の編集者の目に留まり、書籍化がされ、日本でも出版されるほどの一大ムーブメントとなりました。普通とは何なのか、幸せとは何なんか、愛とは何なのか、とても深く考えさせてくれる名著です。子育てに悩んでしまったパパ・ママは、手に取って読んでみてください。
子育ての支援制度や相談できる支援施設
子育ての不安は、1人で抱え込むべき問題ではありません。名著に子育てのヒントをもらう方法と並行して、身近な子育ての支援制度を利用したり、支援施設に相談をしたりしながら、社会のサポートの中でわが子を育てたいです。
教育・保育の場
身近にありながら、子育てを支援してもらえる代表的な場所としては、やはり幼稚園、保育所、認定こども園が挙げられます。
幼稚園
幼稚園は3~5歳の子どもが通える学校で、小学校に入ってからの教育の基礎を身につける場所です。
利用時間は昼過ぎまでと短いですが、園によっては午後や土曜日、長期休業中の預かり保育などを行っている場所もあります。
利用者の制限もありませんので、幼稚園で子育てのサポートをお願いしてもいいかもしれません。
保育所
出産後、仕事に復帰しなければいけないパパ・ママを支援してくれる場所と言えば、保育所が挙げられます。0歳から5歳まで預かってくれる上に、夕方以降の延長保育も、施設によっては可能です。
さらに最近は地域型保育と言って、0~2歳のいわゆる「未満児」を、少人数の単位で預かってくれる場所もあります。わが子が待機児童になってしまった場合などに、相談したいです。ちなみに地域型保育は、卒園後の受け皿となる保育所、幼稚園、認定こども園と連携しています。
認定こども園
認定こども園とは、幼稚園と保育所の機能と特長を併せ持った、地域の子育て支援の拠点です。保育認定(2号、3号認定)された子どもは、夕方まで保育を受けられますし、園によっては延長保育も可能です。
保育認定(2号、3号認定)の場合は、共働きや保育が必要とされるパパ・ママの子どもに限りますが、教育標準時間認定(1号認定)の場合、利用できる保護者と子どもの制限はありません。
施設の利用には市町村の認定が必要
保育所、認定こども園では、利用できるパパ・ママが決まっていると書きました。保育所、あるいは認定こども園の保育認定の場合の条件をまとめます。
チェック項目は以下の3点です。
1.お子さんの年齢は0~5歳か?(→〇なら2へ)
2.保育を必要とする事情はあるか?(→いずれかに当てはまれば3へ)
→就労(フルタイムの他、パートタイム、夜間、居宅内の労働なども含む)
→妊娠、出産
→保護者の病気、障がい
→同居または長期入院などをしている親族の介護、および(または)看護
→災害復旧
→求職活動
→就学
→虐待やDVの恐れがある
→育児休業取得中に、すでに保育を利用している子どもが居て、継続利用が必要である
→その他、上記に類する状態として、住まいの市町村が認める場合
3.保育を必要とする時間はどれくらいか?
→最長11時間(フルタイム就労を想定した利用時間)は保育標準時間に認定
→最長8時間(パートタイム就労を想定した利用時間)は保育短時間に認定
以上の3つの条件を満たせば、保育所、あるいは認定こども園の2号・3号認定が認められます。
現状では無償化が行われているが、保育料や条件は地域や施設にって違う
幼稚園では、パパ・ママの年収などに関係なく、全員が同じ額の授業料を支払っていました。保育所や認定こども園の保育料についても、少し前までは年収に応じた保育料をパパ・ママなどの保護者が支払っていました。しかし、令和元年10月1日からは、どちらも無料になっています。
ただ、注意したい条件が幾つかあります。例えば保育所、認定こども園にしても、0~2歳のクラスに通う子ども、言い換えれば「未満児クラス」に通う子どもの保育料は、従来通り、パパ・ママなど保護者の年収によって決まります(※「未満児クラス」にわが子を通わせていたとしても、住民税が非課税の世帯の場合は、無料です。)。
認可外保育施設、幼稚園の預かり保育に関しては、月額で認可外保育施設が37,000円まで、幼稚園の預かり保育では11,300円までが、無償化の対象となります。
その他の支援制度
幼稚園、保育所、認定こども園は代表的な子育ての支援施設ですが、他にもさまざまな支援体制が整っています。その一例を幾つか紹介します。
放課後児童クラブ
保護者が自宅に居られない小学生の子どもに対して、安全で豊かな放課後の居場所を提供する施設です。
一時預かり
急な用事や仕事、親がリフレッシュしたいなどの目的で、子どもを一時的に安全な環境で預かってくれるサービスです。
病児保育
病気中や病後の子どもを何らかの事情で、パパ・ママが家庭内で見られない場合、病院や保育所などに隣接した施設で、看護師などの医療従事者が預かるサービスです
ファミリー・サポート・センター
「ファミサポ」などと親しまれるサービスです。子どもを預けたいパパ・ママなどの保護者と、子どもの預かりなどを希望する人とをマッチングするサービスです。
地域子育て支援拠点
各地域に設けられた親子のサポート拠点です。親子の交流を促したり、相談に乗ったりしてくれます。
子育て短期支援
出張や冠婚葬祭、病気などの事情により、子どもの保育が一時的にできない状態になったパパ・ママを支援するサービスです。短期的に子育て支援を行ってくれます。
社会人になるまでに子育てにかかる費用
子育てにおいて、お金の悩みが尽きません。ただ、このお金の悩みも、将来の必要額が正確に分かれば、少しは軽くなるかもしれません。
子どものステージで、平均してどのくらいのお金がかかっているのか、文部科学省の情報やHugKumの過去記事を基にまとめてみました。
(以下の数字は、あくまでも1年間にかかった教育費の総額です。私立、公立でも大きく異なってきますから、わが子をどのように歩ませたいのか、イメージしながらチェックしてみてください)
小学校でかかる費用
公立小学校・・・32万1,281円(前回比0.3%減)
私立小学校・・・159万8,691円(前回比4.6%増)
中学校でかかる費用
公立中学校・・・48万8,397円(前回比2.1%増)
私立中学校・・・140万6,433円(前回比6.0%増)
高校でかかる費用
公立高等学校(全日制)・・・45万7,380円(前回比1.4%増)
私立高等学校(全日制)・・・96万9,911円(前回比6.8%減)
大学でかかる費用
国立大学・・・817,800円
公立大学(地域内)・・・800,000円前後
公立大学(地域外)・・・900,000円前後
私立大学・・・1,316,816円
以上は繰り返しですが、1年間に必要な学費の額です。小学校なら6年間、中学校・高校なら3年間、大学なら基本的には4年間の年数を掛けて、合計額を計算してみてください。
将来的に子どもをどこかで一人暮らしをさせる場合、その金額も含めて貯蓄計画を考えたいですね。
子育てが大変、イライラも限界と感じたら 疲れたときの対処法
子育てをしていると、ついイライラ、カリカリしてしまいますよね。何を見ても小言が出てしまい、後になって言いすぎた自分に嫌悪感を覚える、その繰り返しだと思います。イライラモードに入ってしまったら、どうすればいいのでしょうか?
HugKumでは過去に、イライラの対処法を取り上げています。その中から、定番の解決策をピックアップしてみました。
プチ家出、カフェや旅行、ショッピングなどで一人時間をつくる
最初は一人時間をつくる。プチ家出をしても構いませんし、カフェや旅行、ショッピングに出かけても構いません。一人時間を持って、ちょっとでも構いませんから、子育てから解放されてみる。この対処法の効果については、HugKumが独自の行ったアンケート調査や座談会で、繰り返し語れていました。
パートナーに、あるいは先ほど紹介した施設に協力をお願いして、一人になる時間をつくってみてください。自分時間をつくってリセットしてから、子育てに「復帰」し、子どもに最高の愛情を注いであげたいですね。
寝る
睡眠不足は、イライラを余計に悪化させます。考えも悲観的になり、全てがマイナスの方向に傾いてしまう恐れもあります。
「手っ取り早く、お金がかからないストレス解消法なので」「寝ることが大好きですし、嫌なことを忘れられるから」「寝ることで疲れが取れます」(HugKumの過去記事より引用)
「寝る」は、多くの先輩パパ・ママが実践してきた、育児のストレス解消法です。コメントにもあるように、お金がかからない点もいいですよね。
子どもと一緒に昼寝をする、子どもと一緒に早寝する、パートナーや親に面倒を見てもらって、その間にぐっすりと眠るなど、睡眠をイライラ解消の手段として上手に利用してください。
体を動かす
イライラと疲れが限界まで来ていると、体を動かしてストレス解消をしようとは思えないかもしれません。しかし、ストレッチやヨガなど、体を動かしながら副交感神経を優位にして、体をリラックス状態に持っていく対処法も、効果が認められています。
走ったり、球技をしたりと、本格的に体を動かすスポーツは非現実的です。しかし、ストレッチやヨガなどであれば、取り入れられるのではないでしょうか。
誰かと話す
HugKumが過去にママを集めて行った座談会では、話をしてストレスを解消する方法が大事だと語られていました。
「だから、子育て中も、自分が属するコミュニティはたくさんあったほうがいいと思っています。」(HugKumの過去記事より引用)
と、先輩ママが語るように、コミュニティづくりはやはり大切です。自分に無理がかからない範囲で、自分の居場所を見つけ、話をする時間を持てるといいかもしれませんね。
子育てに悩みはつきもの
子育ての悩みは、多くの人に共通しています。子育ては悩むものだと割り切って、悩みの正体を理解し、その対処法を考えた方が、楽になれるかもしれませんね。
HugKumには他にも、子育ての悩みに関する記事がたくさんあります。サイト上の検索ボックスに悩みを入れて、検索してみてください。役立つヒントが見つかるはずです。
文・坂本正敬、写真・繁延あづさ
【参考】
※ 結果の概要-平成30年度子供の学習費調査 – 文部科学省
※ 子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK(平成28年4月改訂版) – 内閣府