これまではプログラミング教育やScratchで作れるゲーム紹介などをしてきましたが、今回は少し変わった方向からプログラミングを楽しむ方法を紹介します。
本から発想!すごろくを作ってゲームにしちゃおう
今回は、プログラミング的思考が学べる『アベベのぼうけん』というおもしろい本に注目しました。
この本を題材に、小学生がオリジナルのアレンジを考え、そのアイデアをプログラミング(Scratch)でゲームにするというチャレンジです!
今回は前編として『アベベのぼうけん』のようなオリジナルすごろくを作ります。ゲームの軸になるアイディアの部分ですね。
『アベベのぼうけん』とは?
まず今回題材にする本の「アベベのぼうけん」という本がどんなものかチェックしてみましょう。
物語・すごろく・プログラミング
この本は「物語」「すごろく」「プログラミング」の3つの要素が合わさった本です。読者は文章に書いてあるとおりにすごろくをしながら、主人公のアベベと一緒に冒険を楽しめる作りになっています。
すごろくをしながら読み進めていく過程で、プログラミング的思考(手順やルールを筋道立てて考える力)や「変数」「順次処理」「条件分岐」といったプログラミングにおける基本的な考え方を、意図せずとも自然と楽しく身につけることができる素晴らしい本なのです。
『ピタゴラスイッチ』など豪華メンバーが制作
実はこの本、あの『ピタゴラスイッチ』の佐藤雅彦さん、『考えるカラス』『Why!?プログラミング』の石澤太祥さん、絵本『コんガらガっち』の貝塚智子さんなど、そうそうたるメンバーが制作に関わっているのです!面白いカラクリがいっぱいで、子どもはもちろん、大人も楽しめる内容というのも魅力なんです。
▼話題の本『アベベのぼうけん』はこちらの記事でチェック
オリジナルすごろくを作ってみよう!
読むだけで十分に面白い『アベベのぼうけん』ですが、今回は『アベベのぼうけん』のオリジナルすごろくを作るというこで、小学5年生のひれいくん、はやとくんと一緒にオンラインでオリジナルすごろくを作ってみました! 二人には、事前に『アベベのぼうけん』を読んでおいてもらいました。
▼すごろくは完成したのか?!今回のすごろく作りの動画はコチラ
ゲームの軸になるすごろくをどのように作り進めたのか、こちらの記事でも紹介しましょう。
ルール説明
まずはすごろくを作る上でのルール説明です。
先程紹介したように『アベベのぼうけん』はすごろくをしていく上でプログラミング的思考を養う本なので、今回作ってもらうオリジナルすごろくの中にも、ちゃんとプログラミングの要素を入れてもらうようにルールを設けました。
これはプログラミング用語で言い換えると、こうなります。
①反復構造=繰り返す動きのこと
②データ(変数)=文字や数値などの値を入れて置くための箱
③条件分岐=ある条件によって、次に行う処理を切り替えること
ちょっと大人でも難しいですが、本の中の事例を紹介するとすぐに理解をしてくれました。
この3つの要素を入れてすごろく制作スタートです!
完成!オリジナルすごろく発表
しばらく集中すること約30分。限られた制作時間の中で2人が作ってくれた作品がこちら。
はやとくん作 「とどけ!野球ボール」
こちら、野球がテーマの作品で完成度が非常に高いですね。
物語として野球マンAが野球マンBにボールを渡しに行くというお話で、途中にオニ審判というキャラに課題を与えられながらすごろくを進んでいくというものです。
ルール説明通り「変数」や「条件分岐」もうまく使っている上に、計算問題なども入れて頭を使わないとクリアできないゲームへと仕上げてくれました。
ひれいくん作 「海を越えて、GO!」
こちらもひと目見たらわかるように完成度が非常に高い作品で、この短時間で18個もの文章・司令を作ってくれました。
テーマが「海」で、内容は釣り竿を運ぶというもの。途中、「サメが好きな人」と「イルカが好きな人」に分かれる道があり、それぞれの道に進んでいくとキーワードをもらえる仕組みになっています。実は片方の道はゴールにたどり着けない(!)というルール。
最後のゴールの展開は「小学生がここまで考えられるの?」というドラマチックな内容だったので、ぜひ動画でご覧ください!
すごろく作りはアウトプットの学びになる
正直、この企画をやる前までは30分ですごろくを作るのは厳しいだろうなと思っていましたが、予想を遥かに超えた作品を2人とも作ってくれたので、終始驚きが止まりませんでした…!
この制作を通して、
●テーマ設定からどのように物語が進んでいくかを考える構成力
●どのような順序で進んでいけばゴールできるのかを考える論理的思考力(=プログラミング的思考)
●相手に伝わりやすい絵を描くデザイン力
など、これらの力を楽しみながら育める良い機会になったと思います。次回、2人の作品を実際にゲームにするという企画をやりますので、ぜひお楽しみ!
本体1500円+税
★連載バックナンバーはこちら
記事監修
「いいなぁ、みらい」をコンセプトに、子どもたちのみらいを切りひらくための機会を提供。webメディア「みらいい」やYouTube「みらいいチャンネル」を中心とした先端教育に関する情報発信や成功体験を得るプロジェクトを推進。プログラミング教育やSTEM教育、SDGsに関する情報格差の解消を目指します。