パスタの調理には、気を配る点が多いものです。お湯と塩の量、茹で加減やソースとの相性。お皿に盛りつけたら間髪おかずにいただく、というように。ところが、冷凍保存をしてみると、もっと簡単にパスタを楽しめるようになりますよ。今回はシェフもビックリの、保存方法を詳しくご紹介します。
茹でたパスタの冷凍方法
まずは、いつもの手順で茹でた、パスタの保存方法について見ていきましょう。あまった時や、まとめて茹でておく時に便利です。
パスタの1人分は乾麺で100gとします。スパゲッティでもショートパスタでも同様に冷凍することができます。
冷凍手順
パスタは表示時間より1~2分早めに茹で上げ、オリーブオイルをまぶします。これはパスタ同士がくっつかないためのコーティングです。すでに冷めてくっついていても大丈夫。オイルをかけてほぐすと、一本一本がバラバラにほぐれ、扱いやすくなります。
1人分ずつクッキングペーパーで包むと冷凍しやすいです。これを容器や、冷凍用保存袋へ入れて冷凍します。
保存期限は3週間程度です。
冷凍したパスタの解凍方法
解凍の方法は、レンジで解凍、茹でて解凍、ソースと一緒に温めながらの解凍、と3つの方法がありますので、順番にみていきましょう。それぞれに利点があるので、使い分けてください。
レンジで解凍する方法
冷凍庫から出したパスタを耐熱皿の上に乗せ、電子レンジのあたため機能を使って加熱します。
あとは温かいソースと合わせればいただけますよ。バジルの生葉、削ったチーズ、松の実をふりかけるだけでも立派な昼食に!
茹でて解凍する方法
鍋に、パスタが浸かる量の熱湯を用意します。冷凍パスタを温めるためなので、400ml程度あれば十分です。冷凍パスタを入れ、箸でほぐしながら温めてください。1分ほどでほぐれます。
この方法は、少量でも茹で汁があることが嬉しい点です。パスタの茹で汁は、単に塩を溶かしたお湯ではなく、パスタ麺から出た小麦粉を含む熱湯です。じつはこれが、ソースとパスタをなじませたりコクを出したりもする、パスタ調理に欠かせない調味料になるんです。他にもソースが煮詰まりそうな時は、茹で汁を少量足すことで濃度の調節ができ、慌てずに他の作業をすることもできますよ。
応用◆あさりのボンゴレ
あさりやシーフードミックスを使ったソースには、茹で汁を使うとスープにコクが出て、おいしく仕上がります。
◇材料
(大人1人分)
冷凍パスタ(1人分)
砂をぬいたあさり(50g)
白ワイン(30cc)
種をぬいた鷹の爪(1本)
にんにくスライス(1片分)
オリーブオイル(大さじ1)
イタリアンパセリ(少量)
塩(ひとつまみ)
◇作り方
【1】フライパンに鷹の爪、にんにくスライス、オリーブオイルを入れて加熱し、にんにくを焦がさないように香りを移します。
【2】ここに、あさりと白ワインを入れますが、油がはねるので要注意。すぐにフタで覆います。アルコールを飛ばしてから、お玉で軽くひとすくい分の茹で汁を足します。あさりがパックリ開いたら、これをいったん取り出し、代わりに冷凍パスタと塩を入れて温めます。パスタ全体がほぐれて小麦色に変わったら、強火で沸騰させ、水分と油がよく混ざるように加熱します。お皿にパスタを盛り付け、取り分けておいたあさりをのせます。
【3】イタリアンパセリをかけていただきます。
冷凍のままソースに加えて解凍する方法
あらかじめ用意したソースに冷凍パスタを加えて一緒に温める方法なら、洗い物も少ない調理方法です。
1カップのトマトソースに1人分の冷凍パスタを入れ、最初は弱い中火から温め始めます。フタをして全体を温め、箸でパスタをほぐせるようになってきたら、フタを開けてソースとよく混ぜ、最後は中火で火を通します。トマトソースの水分があることで、パスタをほぐしやすくしています。
参考◆手作りトマトソース
野菜たっぷりトマトソースは、子どもの苦手な野菜をさりげなくたっぷり食べさせられる、親心を安心させてくれるソースなんです。
最初の一品を作るとき、ソースを2~3回分、作っておき、残りは保存容器で冷蔵するのがおすすめ。
◇材料
(3カップ分)
【A】
玉ねぎ 1個
にんじん 1本
セロリ 1本
にんにく 1かけ
トマトの水煮(缶詰) 300g
オリーブ油 大さじ3
塩 大さじ1/2
こしょう 少々
◇作り方
【1】【A】はみじん切りにし、鍋にオリーブ油とともに入れて強火で炒める。水けがとんでしんなりしたら弱火にし、薄く色づくまで炒める。
【2】【1】にトマトを細かくつぶして加え、強火で1~2分煮立て、弱火にしてふたをし、20~30分煮る。塩、こしょうをふる。
1回分ずつ小分けにし、冷凍保存用袋などに入れて冷凍しても◎。
教えてくれたのは
簡単に作れて、栄養バランスがよく、おいしさのセンスが光るレシピが人気。二人の女の子のママ。
『めばえ』2014年5月号
水を吸わせてから冷凍する方法
水を吸わせる方法は、非常時での調理として注目され、アウトドアを中心に広がりました。今では普段のキッチンでも定着しています。
冷凍手順
容器にパスタと、その3倍量の水を入れてふやかします。ペンネなどのパスタならボウルを使いますが、スパゲッティはその長さが入る、Lサイズのジッパーつき保存袋が使えます。または半分に折ってから、タッパーに入れて浸すのも良いです。
2時間ほど浸けておくと、水でふやけて白いフニャフニャのパスタに変わります。余分な水を捨て、キッチンシートで1人分ずつに小分けしてからタッパーや冷凍用保存袋に入れ、冷凍します。
スパゲッティは、長い形のまま冷凍してしまうと、茹でられる鍋がないので、ドーナツ状に丸めて冷凍してください。
冷凍した水漬け冷凍パスタの保存期限は3週間程度です。劣化しないうちに早めに食べてくださいね。
水浸け冷凍パスタの解凍方法
通常はパスタの重さに対して10倍のお湯、その1%程度の塩を加えて茹でますが、そのパスタと比べると、この水漬けパスタはプリプリ感がなく、塩味が足りない点は、あきらめなければいけません。それを差し引いても、この方法が支持される理由は、茹で時間が圧倒的に短いこと! 1分程の加熱ですむばかりか、ソースと一緒に温めれば、茹でる工程すらありません。
サッと一人分の昼食を作りたい時に、この水漬け冷凍パスタを使うと、サラダを追加しても10分かからないスピードレシピです。たっぷりのお湯を沸かし、さらに茹で時間の長さを考えると、メニューの選択肢からパスタが外れてしまうことは、もうありません。
ここからは、この水浸け冷凍パスタの解凍方法を確かめていきましょう。
茹でて解凍する方法
鍋の底から1cmほどの水を入れて沸かします。鍋にもよりますが、300ml程度あれば足ります。お湯が湧いたら水漬け冷凍パスタを入れ、1分ほど加熱します。パスタの色が白から小麦色に変わったらお湯をきり、ソースと合わせていただきましょう。
茹で上がったパスタに、例えば、オリーブオイルを回しかけ、ほぐした鮭と刻んだ大葉をかければカンタン鮭パスタに変身しますよ。
茹でるお湯に塩分を加えて塩味を足す方法もありますが、1分程度の茹で時間ではあまり変化がないので、ソースの塩加減や、チーズを加えることで調節するのはいかがでしょうか。
また、電子レンジでの解凍を試してみたところ、くっついてお団子状になり大失敗! 茹でると柔らかくほどけましたが、手間がひとつ増えるだけでしたので、ご参考まで。
冷凍のままソースに加えて解凍する方法
パスタ用ソースのレトルトパウチを開封し、中身をフライパンに移し替えます。そこに水漬け冷凍パスタを加え、弱い中火から加熱します。解凍が進み、箸で軽くほぐせるようになったら、中火にしてフタをしてください。全体が蒸されてパスタが小麦色に変わってきます。途中でさらにほぐしながら火を通してください。
レトルトパウチの食品は加熱することを前提に、半生の状態でパウチされているので、しっかりと加熱することが大切です。ソースに十分火が通った頃には、パスタも食べ頃です。
上記で使ったのは、種類も多くて味もおいしい「青の洞窟」ボロネーゼ140g。冷凍パスタとレトルトをストックしておけば、休みの日のランチが充実しますね。
お弁当に!調理後に冷凍保存
ここまではパスタ麺の冷凍方法について見てきましたが、調理したパスタを冷凍する方法も見ていきましょう。カルボナーラや、ナポリタンならお弁当の嬉しい一品になります。
調理したパスタの冷凍手順
調理したパスタを少量ずつ小分けにして、トレイなどで冷凍します。お弁当用は衛生面にも気をつけたいものです。金属トレイは、冷気を素早く食材に伝えるため、冷凍までの時間が短くなります。ラップをして冷凍した後は、冷凍用保存袋に詰め替えてもOK。
解凍方法
お弁当箱へ冷凍のまま入れると、2〜3時間で自然解凍され、そのままおいしくいただけます。冷凍食品は保冷の役目も果たしますよ。
パスタの冷凍食品を楽しむ
手軽に調理ができる市販の冷凍食品も、目移りするほど豊富に揃っています。ストックしておくと便利な商品です。
オーマイ プレミアム濃厚海老クリーム 270g
スーパーはもちろん、通販でも手に入り、種類が多いオーマイのパスタソースシリーズ。一人前(270g)の商品の他、Bigサイズ(380g)、またはお弁当用に小分けされているシリーズもあり、至れり尽くせりの品揃えです。
使うシーンごとに調理法を選べる
冷凍食品にも様々なタイプが販売されています。
この商品はレンジ専用です。お腹がすく年頃のお子さんなら、ご自身で安全に調理もできます。一方、具材を加えるアレンジがしやすいのはレトルトパウチの商品です。味の好みも大切ですが、調理方法も確かめて購入すると、シーンごとに役立ちます。
冷凍保存で手軽にパスタ調理を
パスタの冷凍は、長期保存の意味だけでなく、調理法を根底から覆す技でもありました。ゆっくりとパスタを茹でてランチを楽しむ時間も素敵ですが、なにかと慌ただしい毎日には、サッと作ったパスタが嬉しい事がありますよね。それぞれにメリットと特徴があるパスタの冷凍保存。使い分けることで、さらに楽しめることまちがいなしです。
構成・文・撮影(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)