衣服による傷害を予防するために
子どもの服についているフードやひもは、遊具やドアノブ、電車のドアなどに引っかかったり挟まったりしてとても危険です。
でもその後
これらの傷害を予防するため、2015年12月にJIS規格(日本産業規格)が制定され、店頭販売では危険な「ひも」の付いた服は少なくなった
というように、大きな改善が見られました。
新しい課題は「ハンドメイド子ども服」
JIS規格が制定されたことにより、店頭で販売されている子ども服から危険な「ひも」が取り除かれたことは、子どもの安全にとって大きな一歩です。
しかし、通信販売やオンライン上のフリーマーケットでは、現在も危険な「ひも」の付いた子ども服が出品・販売されています。また、コロナ禍で生まれた新しい特徴として、「ハンドメイド子ども服」がオンラインフリーマーケットや手作り品専門サイト等で販売されるようになりました。「かわいいリボンや『ひも』のついた服はお店では売っていないので、自分で作りました!」という方もいるようです。
作る人・出品する人も、買う人も、ぜひチェックを
では、子ども服を「買う・売る・ゆずる」際に、どのような点に着目すればいいのでしょうか?
NACS(公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 東日本支部「標準化を考える会」)の皆さんがそのような際に役立つチェックリストを作成されましたので、そのリストを参照しながら確認していきましょう。
子ども服を「作る」「出品する」「買う」「ゆずる」「もらう」際には、この表で危険な「ひも」やリボン、フードなどが付いていないかをチェックし、子ども達が重大な傷害を負わないようにしてくださいね。
Safe Kids Japanとは
私たちSafe Kids Japanは、事故による子どもの傷害を予防することを目的として活動しているNPO法人です。2018年6月からこのHugKumで、子どもの傷害予防に関する記事を配信しています。基本的に毎月1回、季節や年中行事などに関連した内容の記事をお送りしたいと考えています。
さて、「事故による傷害」、「傷害予防」という言葉、あまり聞き慣れないかもしれません。私たちがなぜ「事故」ではなく「傷害」という言葉にこだわっているのか、について、少し説明させてください。
事故?傷害?その違いは?
「事故」という言葉を辞書で調べてみると、「思いがけなく起こった良くないできごと」とあります。英語で言うとaccidentですね。accidentは「意図しない不幸なできごと」という意味で、「避けることができない運命的なもの」という意味も含まれています。海外でもかつてはaccidentを使っていましたが、最近ではinjuryという言葉が使用されるようになりました。injuryは「ケガ」「負傷」という意味です。「事故」は科学的に分析し、きちんと対策すれば「予防することが可能」という考え方が一般的になり、「運命的な」という意味を含むaccidentではなく、injuryという言葉を使用することが勧められるようになったのです。今ではaccidentという言葉の使用を禁止している医学誌もあるくらいです。
そのinjuryに対応する日本語として、Safe Kids Japanでは「傷害」という言葉を使っています。よく「事故予防」と言われますね。もちろん事故そのものが起きないことがいちばんなのですが、たとえ事故が起きたとしても、(重大な)ケガはしないように備えよう、そんな思いも込めて、「傷害予防」と言っています。
イラスト:久保田 修康/「子どもの傷害予防カレンダー 2021」より