「人間万事塞翁が馬」の読み方はじんかん? にんげん? 意味や由来を解説!

「人間万事塞翁が馬」の意味は「幸運も不運も移り変わるので、予測はできないこと」です。多くは、励ましの意味を含んで使われる言葉。正しい読み方や意味、由来、例文まで紹介します!

「人間万事塞翁が馬」の意味や読み方とは?

スポーツ選手や有名人の座右の銘にされていることも多い「人間万事塞翁が馬」は、一度は聞いたことがありますよね。まずは読み方や意味など、基本的なことから解説します。

読み方と意味

「人間万事塞翁が馬」の読み方は、「にんげんばんじさいおうがうま」です。「人間」を「じんかん」と読む解釈もありますが、一般的には「にんげん」と読みます。

意味は、幸運も不運も移り変わるので、予測はできないこと。多くは、「不幸に思えたことが思わぬ幸運につながる」という、励ましの意味を含んで使われる言葉です。「塞翁が馬」という表現でも使えます。

由来

なんとなく意味はわかっていても、由来については知らない方も多いのではないでしょうか? 「人間万事塞翁が馬」のもとになったエピソードが書かれているのは、古代中国の『淮南子(えなんじ)』という思想書。これは、学者や思想家による書を集めたもので、淮南の王であった劉安(りゅうあん)が学者たちに編集させてつくったものです。この『淮南子』に「人間万事塞翁が馬」についての故事が書かれています。

それは、中国北部の塞(とりで)に住んでいた老人(=翁)の話。ある日、老人が飼っていた馬が逃げてしまい、それを不憫に思った周囲の人たちは老人を慰めます。しかし、老人は悲しむかと思いきや、「これは幸運の兆しだ」と予言。なんとその通りに、後日その馬は、別の立派な馬を連れ立って戻ってきたのです。

喜ぶ周囲の人たちですが、老人は「これは不運の兆しだ」と、また逆のことを言います。するとその後、老人の息子が馬に乗っていたところ、落馬し、骨折してしまうのです。不運に悲しむ周囲の人たちですが、老人は「これは幸運の兆しだ」と予言。予言通りに、その息子は骨折していたために、戦争への出征を免れたのです。

良いと思っていたことが悪いことに、悪いと思っていたことが良いことに、禍福が転々とするようすを描いたこの逸話が、「人間万事塞翁が馬」のもとになっています。

あらためて、言葉を分解して説明すると下記の通り。話に出てくる登場人物などを組み合わせてできた言葉というのがわかりますね。

・人間…世の中、世間

・万事…あらゆること

・塞翁…塞に住む老人

・馬…老人の飼っている馬

使う時の注意点

「人間万事塞翁が馬」は、いくつかの言葉が組み合わさっているうえに、漢字も難しいので、間違えて覚えがちです。誤りの例をいくつかピックアップしますので、間違えて覚えてしまっていた方は、これを機会に正しい言葉を覚えておきましょう。

<書き方>

○人間万事塞翁が馬

×人間、万事塞翁が馬

×人間万事、塞翁が馬

<読み>

○にんげんばんじさいおうがうま

×じんかんばんじさいおうがうま

×にんげんまんじさいおうがうま

※「人間=にんげん」と読むのが一般的ですが、「じんかん」と読めるという解釈もあります。

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使い方を例文でチェック

人生の禍福は予測できないという意味の「人間万事塞翁が馬」ですが、現在は、災難に思えたことも実は幸運につながるものだというポジティブな意味合いで使われることが多いです。例文を紹介しますので、使い方をチェックしてみてくださいね。

1:「世の中を変える発明は、失敗から生まれたものも少なくない。まさに人間万事塞翁が馬だ」

歴史に残るような発明は、膨大な失敗や、一つの失敗がきっかけで生まれるものがほとんどです。めげずに努力を続ける姿勢が、成功のカギなのかもしません。

2:「不合格で今は苦しくても、人間万事塞翁が馬。何が幸いするかわからないよ」

例えば、第一志望の学校に落ちたとしても、入学した別の学校で生涯の親友と呼べるような友だちと出会えたり、部活で挫折を経験したことで、逆境に強くなったりと、人生で起きることは何が幸いするかわからないものです。辛い状況で苦しんでいる子どもに、このような声かけをしてみるといいでしょう

3:「人間万事塞翁が馬といえば、残業のない部署に異動してラッキーと思ったんだけど、お局のような先輩がいて大変なんだよね」

ほとんどの場合、「人間万事塞翁が馬」は、悪いことは結果的に良いことになるという前向きな言葉として使われます。しかし、「禍福は予測できない」という本来の意味を考えると、良いと思っていたことも悪いことだった…とネガティブな文脈でも使えるでしょう。

類語や言い換え表現にはどのようなものがある?

「人間万事塞翁が馬」の類語や言い換え表現についても、しっかりチェックしておきましょう。

1: 禍福は糾える縄の如し

「禍福は糾える縄の如し」は「かふくはあざなえるなわのごとし」と読みます。2本の縄が絡み合うようすから、幸と不幸は表裏一体で交互にやってくるものだ、という意味の言葉です。

2: 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり

人生には、良い時もあれば悪い時もあり、悪いことがあっても長く続くわけではないという意味の言葉。どちらかというと、励ましの意が込められていることわざです。

3: 失敗は成功のもと

これは、よく知られている言葉ですが、あらためて基本なことをおさらいしておきましょう。意味は、失敗をすると反省して改善をするため、かえって成功につながることです。誰もが知る発明王トーマス・エジソンの名言に、「それは失敗ではない。その方法ではうまくいかないことがわかったのだから、成功だ」というものがあります。悪いことも視点を変えれば良いことになる、「人間万事塞翁が馬」と通ずるものがありますね。

英語表現とは?

「人間万事塞翁が馬」を英語で言いたい時に使える表現を2つ紹介します。それぞれひとまとまりで覚えておきましょう。

1:Inscrutable are the ways of Heaven.

「Inscrutable」は、不可解という意味の単語で、「the ways of Heaven」と合わせて、「天道ははかり難い」という意味になります。天道とは、自然に定まっている道理のこと。簡単に解釈すると、起きる物事は予測できないものだ、という意味にとれるでしょう。

2:a blessing in disguise

「blessing」は、恩恵という意味で、「disguise」は変装という意味。直訳すると「変装している恩恵」になります。すこしわかりづらい表現ですが、「災難に見えたことは、実は幸運だった」ということをあらわしています。

最後に

人生には良いことも悪いことも起きるのが当たり前です。しかし、不幸を別の視点から見てみると、実は幸運だったということも少なくありません。絶望や挫折した時には、「人間万事塞翁が馬」という言葉を思い出してみてくださいね。

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構成・文/阿部雅美(京都メディアライン)

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