引越しセール!仕事ラストスパート!…そして帰国
海外引越しと書いて「たいへん」と読む。
そう言いたいくらい、海外への引越は手間と時間がかかるのです。家族連れだとなおさら。
運送会社によりますが航空便荷物が届くのに約2週間、船便荷物が届くのに約2カ月。その数ヶ月の生活を考えながら、荷造りや書類づくりや転校手続きをしていくその行程、これを2年のうちに2回もやったなんて自分で自分(と家族)によくやったと言いたいくらいですよホント!!
まず大変だったのは家の片づけ。バルセロナでの家具家電のほとんどが現地生活用にIKEAで揃えたもの。日本にはもろもろ都合で持って帰れないので、友人知人やバルセロナ在住日本人ママパパチャットグループに家具家電リストを投げて、引越し大セールを開催しました。
その結果、スツールは友人のピラティス教室で使用されることになり、私の仕事デスクは翻訳業を営む友人の仕事デスクになり、海外用炊飯器は大好きなお寿司屋さんの家庭用になり、コーヒーメーカーはジローナの日本野菜栽培農家(海外生活の救世主!)へ、本棚は近所の息子同級生マレーシアンファミリー宅へ…などなど大小20くらいの物の嫁ぎ先を決め、引き渡しを粛々とやっていきました。
家具家電が少しづつ減って部屋がガランとしていくのは寂しかったけれど、私たちが帰国しても、私たちの家具家電はスペインのあちこちで使われるというのはなんだか嬉しい気持ちがしました。
そんな引越し雑務と帰国後のリサーチもしつつ、ラストスパート!と旅行や取材もガンガン行きました。過密スケジュールにへろへろになっていましたが、そうやってバタバタ過ごしていると、バルセロナを離れる寂しさを忘れることができたのは事実です。
そしてあっという間に帰国の日がやってきました。
(↑帰りの空港での息子。背中にくっつけてるモンキーくんは学校友達からのプレゼント)
オンライン、英語学童、サタデースクール…日本の英語教室いろいろ
さて、帰国にあたっての問題のひとつが、息子の英語力維持をどうするか。
前回は「英語を勉強できる小学校」について紹介しましたが、今回は「英語を勉強できる小学校以外の場所」について書いてみます。帰国前から帰国後、いろいろ調べたり教えてもらったり見学に行ったりしてわかったのは、日本にもいろんな形の英語教育があるということ。
たとえば、金額のハードルが低そうな順で紹介していくと…
(1)オンライン英会話
最近、大人に人気のオンライン教室は子ども向けのものもたくさんあり、無料体験できるところもある。教室に行くよりかなり安くて時間の自由もきく。お勉強しっかり系からお遊びノリまでいろいろ。ゲームなどを取り入れたりして、子どもが飽きないように工夫してくれるクラスもあるそう。
(2)他の活動を英語でやる教室、団体
英語教育熱が高まっている影響か、習い事や活動を英語でやろう!という動きも増えている。たとえば英語でやるサッカー教室とか。ボーイスカウトやガールスカウトで英語を使うところもある。
(3)英会話教室・英語塾
日本人の自宅教室からネイティブの先生がいる大手のスクール、受験塾がやっているものまでいろんなタイプの教室がある。値段もレベルもピンキリ。
(4)英語学童
オール英語の民間学童。都市では増えつつあるみたいでビックリ!ひとつ見学にいったら、ネイティブの先生と日本語の先生がタッグを組み、数十人の生徒が英語を使って工作や遊びをしてました。
(5)英語家庭教師
日本人または外国人の家庭教師を家に呼ぶ。
(6)帰国子女専門の英語教室
ある程度の英語レベルの生徒が集まる帰国子女専門の英語教室。そんなものがあるのかとビックリ!有名なところだと、「海外子女教育振興財団による帰国子女のための外国語保持教室」「帰国子女アカデミー」。いずれも英語力確認のための試験や体験が必須。
(7)インターのサタデースクール
英語系インターナショナルスクールでは、毎週土曜日にインターの授業を体験できるサタデースクールを開講。体育の時間などもあったりしてアクティビティ的には楽しげ。ただ、インターということで高額なところが多いのに、人数も多いし、高額なわりには英語力はそこまで身に付かないという感想もチラホラ。お金の余裕があってさらに楽しさ重視、という人向きな気がする。
(8)サマースクール
各教室・学校でサマースクールやサマーキャンプを開催している。長期休みを利用して英語を勉強できる。
ざざっとあげるとこんなかんじです。けっこういろいろありますよね?
楽しさか、英語レベルの高さか!?
さて、そんな選択肢の中から、帰国後にいくつか見学に行ったり体験授業を受けさせてみたりしました。それで分かったのは、日本は公立小学校低学年は英語授業がないから、どうしても小学生向きの英語教室はレベルにかなりの差があるということ。
気軽に通えそうで楽しげな教室だと、ブリティッシュスクールに行っていた息子にはちょっと英語レベルが低い。「オール英語」とうたっていても、生徒人数が多すぎると実際は日本語がかなり混ざってしまうし、英語レベルも下がりがち。でもそれなりの英語レベルや適切な人数を求めると、値段もぐぐぐぐと上がる。そして「お受験!」「英検取得!」を全面に出した教室も増えていく。
さらに「英語を忘れたくない」と言うわりに、教室の選り好みがうるさい息子。安いオンライン教室はいやがるし、ガッツリマジメにお勉強!というタイプの教室もイヤだという。
うーん、ブリティッシュのアクティビティ多め楽しげ雰囲気の中で英語を憶えたからなあ…。でも、小学校低学年からそんなガッツリお勉強モードにならなくてもいい気もするし、息子の気持ちもわかる…。
そんなふうに思っていたら、某英語学童のスタッフの方とこんな話をすることがあったのです。私がそこのサマースクールのプログラムを見ながら
「わりとマジメな内容なんですねえ…。夏だし、もっとパーッと遊んでもいいのに」
みたいな感想を言ったら、
「そう言ってくれるお母さん、珍しいですよ!日本の英語教室のプログラムがお勉強的な内容が多いのは、すぐに成果を求める親御さんが多いからなんです。うちはこれでもまだ遊びを取り入れた内容なんですが、通って数ヶ月なのに「うちの子、家でまだ英語が出てこないんですけど!?」ってクレームを入れてきて、もっとお勉強色の強い教室に移るご家庭もいらっしゃいました」
と言うのです。
なるほどなあ、日本には目に見える成果を早く求める親が多い。そうなると、その成果がわかりやすい「英検」とかを目指す教室が増えるわけか…。
日本の英語教室の選択肢は以前より広がっている。でも自分の家庭と子どもにあった教室選びはかなり難しい。それは日本で公立校に通いながら英語力を身につける難しさでもあるんだな、と実感したのでした。
実際に知人の国際結婚ファミリーはパパがイギリス人で娘さんが公立小学校に通っているののだけど「うちは英語あきらめ気味…。もちろん他の子より聞き取りとかはできるけど、喋るのは全然」と言っていて、国際結婚ファミリーでそれならうちはどうすりゃいいんだよ!と思ったりしたのでした。
そんななんだかんだを経て、結局いまの息子は、公立小学校+英語教室の組み合わせ。英語に力を入れている私立の小学校もいくつか見学に行ったのですが、いいなと思った学校は遠すぎたりでなかなか条件がはまるところが今のところなくて悩ましい。
そして、英語教室はイギリスが本校のスクールへ。ネイティブの先生、オール英語、テーマは多岐に渡る、工作などのアクティビティがあったり動画を見たりもするからお勉強モード一色ではない、でも会話だけじゃなくて読み書きもやる。寄り好みの激しい息子が「ここなら行く」と言ったのは、ブリティッシュスクールの授業とプログラムが似ているからなのかもしれません。でも、この教室が本当にいいのかはまだわかりません。様子見中です。
パスポートのいらない英国…ビックリ!な日本の英語施設
さてさて、最後はおまけ情報。日本の英語教育環境、こんな面白い施設もできていました。
お台場の「TOKYO GLOBAL GATEWAY(東京英語村)」では、キッザニアみたいなかんじで英語でいろいろなことを体験できます。そんなのが誕生してたとは!
ただ、実際に行ってみたら、建物は立派だけど、施設的にはキッザニアよりだいぶしょぼくて、まだ知られてないのかかなり閑散としてました。とはいえ、閑散としてる分、ネイティブのスタッフとはゆっくり英語を喋れる、とも言えます。この中にも英語学童も入っています。
(↑「TOKYO GLOBAL GATEWAY」でバーでお買い物体験をしている息子。このとおりのガラガラ具合!学校の校外学習でも使われているよう)
ちなみに、「キッザニア東京」でも英語でできるアクティビティがたくさんあります。
(↑キッザニアの英語でできるアクティビティ)
もうひとつビックリしたのは、福島にある「British Hills」。「パスポートのいらない英国」がキャッチフレーズのホテル&英語教育施設らしいのですが、これ施設がすごすぎて思わず笑ってしまったよ。ビックリしすぎたので動画を貼っておきます(でもサイトを見たほうがすごさがわかる)。日本、まだお金のあるところにはあるんだなあ〜!
てなわけで、日本の子ども英語教育事情でした!
さてさて、次回は最終回です。
以前に私の語学力について書きましたが、それがその後どうなったのかと、海外子育ての感想まとめを書きたいと思います。
ハラユキ
イラストレーター&コミックエッセイスト。夫の駐在赴任により、2017年6月より〜2019年7月までスペイン・バルセロナ在住。雑誌やWEBなどでイラストやマンガを描いたり、コミックエッセイ書籍を出版。「東京くらし防災」(東京都)のイラストも担当。「世界の家族の家事育児分担事情から知る、つかれない家族を作るヒント」や現地ごはん情報なども発信中。おいしいごはんと宴会と祭りとお風呂屋さんが大好き。7歳男児の母。家族をテーマにしたオンラインサロン「バル・ハラユキ」も主宰中。Twitterでは日々の生活や考えたこと、instagramでは主に食いしん坊メモを発信中。
■第1回目・ハラユキファミリーのバルセロナ暮らしの概要はこちら
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