【助産師監修】乳頭マッサージはいつから行う? その効果は? タイプごとの準備ややり方、ママの体験談まで

母乳の分泌を促す「乳頭マッサージ」は行いましたか? 当記事では、乳頭マッサージの効果やいつからやるべきか、また、マッサージの準備・方法について、ママの乳首の種類別にご紹介します。さらに、乳頭マッサージにまつわるリアルな声を聞くため、HugKumではママたちにアンケートを実施、乳頭マッサージを行ったママの体験談も合わせてチェックしてみましょう。

乳頭マッサージとは

乳頭マッサージ
乳頭マッサージの効果や方法は?

 

「乳頭マッサージ」とは、出産後、赤ちゃんにスムーズに授乳できるように、乳頭部や乳輪部をマッサージすること。母乳育児では、おっぱいに関するトラブルも生じがちなため、それらを予防する目的もあり、「おっぱいマッサージ」や「母乳マッサージ」などと呼ばれたりもします。乳頭マッサージの効果やいつからどうやって行えばいいのか、具体的に見てみましょう。

乳頭マッサージの効果

乳頭や乳房マッサージの効果は賛否両論あります。一般的に、乳頭マッサージを行うことで、次のような効果が期待できます。

出産前の乳頭ケアで角栓をキレイに

出産前でも、妊娠後期になるとおっぱいから母乳がにじんできたりして、母乳が乾燥して固まった「乳垢(にゅうこう)」と呼ばれるものが乳首に付着することがあります。これが角栓のように固まってしまい、母乳の出口である乳口がふさがりやすくなることもあるため、乳頭マッサージできれいにしておくことができます。

乳管の通りを良くする

母乳は乳管を通って外に排出されます。しかし、乳管になんらかの詰まりが生じると、赤ちゃんがスムーズにおっぱいを飲めず、乳腺炎などのトラブルにもつながりかねません。乳頭近くの乳管につまりがある場合、乳頭マッサージを行うことで母乳の出がよくなることがあります。ただし、乳腺炎については、乳頭マッサージだけでは改善しないこともあるため、おっぱいにトラブルがある場合は早めに医師に診てもらいましょう。

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赤ちゃんが吸い付きやすい乳首にする

赤ちゃんはママの乳首に吸い付いておっぱいを飲みます。このとき乳首に適度な伸縮や弾力があると、赤ちゃんも吸い付きやすく、上手におっぱいを飲めるようになります。乳頭マッサージは、乳首をやわらかくする助けにもなるでしょう。

乳頭マッサージはいつから?

乳頭マッサージは、妊娠中から行うべきなのでしょうか? それとも出産後からでも大丈夫なのでしょうか?

専門家に相談を

乳頭マッサージを行うと、女性ホルモンが分泌されて子宮などに影響を与えることもあります。また、妊娠中に行う場合、母体の状態も考慮する必要があります。一般的に、乳頭マッサージを開始する時期は妊娠後期頃からと言われていますが、医師や病院によって考え方もさまざま。開始時期については医師や助産師に相談することをおすすめします。

妊娠初期は控えて

妊娠初期は、お腹の中にいる赤ちゃんも母体もまだ安定していません。ママの体も敏感な状態になっているため、乳頭マッサージを行うのは避けましょう。

妊娠中期は様子をみながら

妊娠中期になると、医師や助産師のアドバイスを受けながら、乳首のお手入れ程度から始めてみても良いでしょう。妊娠後期であっても、切迫早産などの不安を抱えている人や、お腹が張りやすい人は、マッサージを控えたほうがいいかもしれません。必ず医師に相談してから行うようにしましょう。

産後すぐや授乳中はマッサージを

出産直後はおっぱいが張って乳輪も固くなりがち。出産後や授乳中には、赤ちゃんがおっぱいを飲みやすくするためにも、乳頭マッサージを行うといいでしょう。

乳頭マッサージの体験談

実際に出産を経験したママたちのうち、どのくらいの人が乳頭マッサージを行っているのでしょうか?
HugKumでは、ママたちに乳頭マッサージの経験についてアンケート調査を実施してみました。その結果、「乳頭マッサージを行った」と答えた方は57.5%、「行わなかった」と答えた方は36.9%でした。さらに具体的なマッサージの方法や乳頭マッサージにまつわるエピソードについて、次のような声が集まりました。

「母乳がたくさん出るようになった」

「湯船に浸かったときは、必ず行いました! ゴリゴリと固い部分があったので、それが取れるとたくさん出るようになりました」

「授乳で乳頭が痛くならなかった」

「産前の、乳頭マッサージをしていい時期に入ってから、お風呂上がりには毎日30秒ずつやっていました。揉みほぐしたり、伸ばしたりです。そのおかげで、乳頭は切れずに痛くありませんでした」

「長く続けられなかった」

「母乳で育てたい気持ちがあったので妊娠後期からマッサージしたり、母子教室に通ったりしました。しかし、結果…長くは続きませんでした…泣」

乳頭マッサージ前に覚えておきたい乳首のタイプと準備

では実際に乳頭マッサージを行うときに、自分の乳首がどんなタイプにあてはまるか確認してみましょう。

理想といわれる乳首とは?

乳首の先端はやや膨らみがあり、付け根が少しくびれている乳首は、赤ちゃんが吸い付きやすい理想の乳首といわれています。乳首を軽く引っ張ると、2センチほど伸びます。

扁平タイプ

乳頭が突出しておらず、乳房との境目がほとんどないタイプ。乳首がよく伸びれば、赤ちゃんが吸い付くことができます。

陥没タイプ

乳首が乳房の内側に陥没したように隠れたタイプ。乳頭吸引器などで乳首を外に出してマッサージする必要があります。

乳首が大きいタイプ

乳首自体が大きいと、赤ちゃんの口に入らないこともあります。乳首が硬い場合はマッサージで乳首をやわらかくすることが大切です。

乳首が小さいタイプ

乳首が小さいと、赤ちゃんが吸い付くときに圧力がかかやすくなり、乳首が傷ついてしまうこともあります。この場合もマッサージで乳首をやわらかくして伸びるようにする必要があります。

乳頭マッサージのやり方

具体的な乳頭マッサージの方法についてご紹介します。マッサージは体が温まっているときに行うほうがいいため、入浴中やお風呂上りなどに行うようにしましょう。

準備するもの

乳頭マッサージでは特別なアイテムは必要ありません。ただ、すべりがよくなるようにベビーオイルなどのマッサージ用オイル、クリームなどを使ってもOKです。爪で乳首を傷つけないように注意しながら、清潔な手で行うようにしましょう。

出産前のやり方

親指と人差し指、中指の3本で乳首と乳輪部をやさしくつまみ、乳輪部も一緒に軽く引っ張るようにします。これを何度か繰り返します。

次に、親指と人差し指で乳首と乳輪部を強めにつまみ、3~5秒ほど圧力を加えます。乳頭や乳輪部の位置や向きを少しずつ変えながら、全体を圧迫していきます。

また、乳首をつまみながら、横や縦方向に少しずらします。最初は痛みを感じるかもしれないので、少しずつ圧力をかけるようにしていきましょう。

出産後のやり方

基本的には、出産前のやり方と同様です。親指と人差し指で乳首をつまむように圧迫し、圧迫する位置をずらしていきます。また左右の手を使って、親指と人差し指で乳輪をやさしくつまみ、乳首の中心に向かって圧迫するようにします。

出産前からの乳頭マッサージで母乳育児の準備を

乳頭マッサージを始めるのは、出産した後からでも問題はありません。しかし、妊娠中から行うと乳首がやわらかくなり、出産後の母乳育児の準備にもなります。乳頭マッサージは自宅で誰でも始められるものですから、医師や助産師のアドバイスをもとに考えてみてはいかがでしょうか。

記事監修

Kawai
助産師・看護師・保育士
河井恵美

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

エミリオット助産院

文・構成/HugKum編集部

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