プラスチックは燃えるごみ?日本のリサイクル事情や課題、世界の対策

プラスチック用品は、現代の生活になくてはならないものです。毎日の暮らしで使用するため、ごみとして処分する機会も多いでしょう。近年では燃えるごみとして取り扱う自治体が増えていますが、その背景やリサイクル事情などについて解説します。

プラスチックを燃えるごみに分別する理由

ごみを処分するに当たって、分別は広く浸透しています。住まいを置く自治体によってそのルールは異なるため、その地域の決まりに従って分別することが大切です。

分別の際、燃えるごみなのか燃えないごみなのか迷うものも多く、プラスチックもその一つでしょう。

近年は燃えるごみとして指定されることが増えましたが、その理由について探ってみることにします。

埋め立てる土地が足りない

プラスチックに「燃えにくい」というイメージを抱いている人は多いでしょう。そのため、「燃えないごみ」だと考えている人も少なくありません。

実際に、ひと昔前まではプラスチックを燃えないごみに指定していた自治体は多くありました。燃えないごみとして回収されたプラスチックは最終処分場へと持ち込まれ、そこで埋め立てて処分されます。

ところが、国土に限りがある日本では、次第に埋め立てる場所を確保することが難しくなってきました。最終処分場がいっぱいになってしまう可能性も高まってきています。

そのリスクを回避するための方策の一つが、プラスチックを燃えるごみとして処分することです。

焼却炉の性能向上で焼却可能に

プラスチックに対して「燃やすと有害物質が出る」といった印象を抱いている人も多いでしょう。日本でも1990年代に、プラスチックなどを燃やしたときに発生する「ダイオキシン」への不安が広がったことが記憶にある人も多いのではないでしょうか。

当時は報道の過熱もあり、社会問題として注目されました。ただ、近年は焼却炉の性能が向上し、人体に害を与え地球環境に負荷をもたらす有害物質を排出せずに焼却することができるようになっています。

こうした技術の発達で有害物質への不安を大いに取り除けたことも、プラスチックが燃えるごみに指定されるようになった理由の一つです。

ごみ発電に目を向けた

プラスチックを「単に捨てるだけのごみ」としてではなく、社会にとっての「有効資源」として捉える視点も生まれつつあります。

プラスチックを焼却する際に生まれるエネルギーを利用する「ごみ発電」(廃棄物発電)も、ごみ処理や環境保全に携わる人々から注目されるようになってきました。

地域によっては、ごみ焼却場のそばで温水プールを運営する自治体もあります。ごみ処理の際に発生するエネルギーを使って水を温めているのです。

一般住宅においても「循環型住宅」へのニーズが高まりを見せるなど、資源を有効活用しようという動きは確実に進んでいるといえるでしょう。

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プラごみの約8割はリサイクルされている

「ごみは処分されるもの」というイメージは根強いものです。しかし、排出されたごみの中にも、燃やしたり埋めたりして処分されるだけでなく、リサイクルしてまた活用できるものが多くあります。

プラごみも約8割が再利用されており、リサイクル方法は主に三つです。それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

マテリアルリサイクルとは

「マテリアルリサイクル」は、ごみとして回収したプラスチックをそのまま原料として、新たな製品を生産する方法です。

この方法で作られたものは耐久性が高く、軽量で加工がしやすいというメリットがあります。ただし、再生利用するには一つの素材にする必要があるため、徹底した異物除去が求められる点が難しさといえるでしょう。

マテリアルリサイクルの対象となるのは主に産業用の廃プラスチックで、ベンチやフェンス・公園の遊具・住宅建材・道路・鉄道用品などに生まれ変わっています。

ケミカルリサイクルとは

「ケミカルリサイクル」は、回収したプラスチックなどの資源の組成を、化学反応を用いて変換しリサイクルする方法です。

プラごみに対しては、油化やモノマー化(単量体に化学分解すること)などが行われています。また、化学工業の原料に再利用するガス化の技術も、ケミカルリサイクルの一つです。

プラごみ以外では、廃棄された食用油からディーゼル燃料や石鹸が作られることもあります。

サーマルリサイクルとは

「サーマルリサイクル」は、処分されたごみを焼却するときに生まれる熱エネルギーを回収し、利用する技術です。廃熱の9割近くをエネルギーとして回収できます。

これは、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルのようにモノとして再利用するのではなく、「燃やしたときのエネルギーを資源として再度有効に使える」という意味でのリサイクルです。

焼却するだけでリサイクルが可能なため、基本的にはごみの分別の必要がありません。分離、選別といった作業に手間がかかるプラスチックなどのリサイクルには、とても合理的な方法といえます。

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日本における廃プラごみ処理の課題

ごみの処理は、さまざまな国が頭を悩ませている問題の一つです。日本にも、適切なごみ処理を行うに当たっての課題があります。現代の日本が抱えるごみ処理の課題について考えてみましょう。

日本は廃プラスチックを輸出している

焼却や埋め立てで処分したり、さまざまな方法でリサイクルしたりする他に、ごみとして出されたプラスチックを輸出していることを知っていますか?

燃やす・埋める・再生させるなどの処理が追いつかず、海外に輸出することで対応しているのが現状です。

日本の廃プラスチックのリサイクル率は、2013年度で24.8%となっています。この数字は、世界的に見ると決して高いとはいえません。

埋め立てできる場所にも限界がある中で、自国内でごみの処理が十分にできていないことは大きな課題といえるでしょう。

出典:環境省|プラスチックを取り巻く国内外の状況 (PDF)

徐々に輸出先がなくなる可能性も

日本が廃プラスチックの処理を海外への輸出に頼らなければならない中、2018年1月、中国政府はプラスチックごみを原則輸入禁止とする方向性を打ち出しました。

最も大きな理由は、大気汚染や土壌汚染に関して中国への批判が高まったことです。中国経済は急速に拡大し成長を続けていますが、廃棄物の排出など製造業がもたらす環境への負荷は世界的にも無視できなくなりました。

この政策は、日本のプラスチックごみの処理事情にとって大きなダメージになっています。17年までは、1年間に輸出する廃プラスチックの約半分を中国に頼っていたからです。

中国が輸入禁止を表明したことがきっかけとなり、輸入を受け入れてきた多くの国や地域も、次々に輸入の規制を始めました。これから先、さらに輸入先が少なくなっていく可能性は十分にあるでしょう。

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世界のプラスチックごみ対策

ごみが生み出す問題は、地球規模の課題となっています。各国ではどのような対策が進んでいるのでしょうか?

ごみに対する世界の動きを見てみましょう。

ごみを減らすキーワード3Rとは

「3R(さんアール)」という言葉を知っていますか?ごみを減らし、そして生かすために役立つキーワードで、Reduce(リデュース=減らす)、Reuse(リユース=再利用する)、Recycle(リサイクル=再生利用する)の三つの言葉の頭文字に由来しています。

「リデュース」は、モノを作る際にできるだけ資源を減らすようにし、廃棄物を少なくするように心掛けることです。丈夫で耐久性の高い商品を開発し、モノの寿命を延ばすことの工夫もリデュースにつながります。

「リユース」は、使用したモノやその部品を、何度も繰り返し使うことです。リマニュファクチャリングといって、再利用を促す商品の開発や、修理・修繕などもこれに当たります。

「リサイクル」は、廃棄されたモノを原材料やエネルギー源として有効に活用することです。何度でも使えるように製品設計をしたり、使用済みのモノを繰り返し回収・再生させる仕組み作りもその一環です。

参考:3Rについて | リデュース・リユース・リサイクル推進協議会

リデュースに動き出した世界

近年、世界的に店舗を展開しているファストフードチェーンやコーヒーショップなどで、プラスチック製のストローやマドラーを使用しないという取り組みがスタートしました。

紙製では耐久性が低く商品として課題があるコールドドリンクのカップにも、従来のプラスチックの代わりにバクテリアや菌類などが分解できるプラスチックを使用する動きも見られます。

世界的に有名な企業の率先した活動は、日本にも影響を与えました。2018年には、海洋プラスチック対策を進めるため、化学関連の業界5団体によって「海洋プラスチック問題対応協議会」が設置されています。

世界はいま、リデュースへの取り組みに動き出しているといえるでしょう。

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一人一人の心掛けが何より大切

「なぜプラスチックは燃えるごみに分類されているのだろう?」この疑問から、処分場の処理能力やごみ輸出の問題を知ることができます。そして、できるだけごみを出さないこと、出たごみは可能な限り再利用することが重要だと分かるでしょう。

一人一人の心掛けによってごみを減らし、環境への負荷を軽減することができます。プラスチックごみの事情を通して、環境全体について考えてみてはいかがでしょうか。

 

文・構成/HugKum編集部

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