イラスト 久保田 修康
考えよう、子供の3種類の窒息
皆さんは「窒息」と聞くとどんなことをイメージされますか?何かが喉に詰まって苦しそうな様子?ひもやロープが首に巻きついて苦しんでいる様子?それとも酸素不足になって息ができなくなってしまう様子でしょうか?
実はどれも「窒息」。酸素が肺に取り込まれなくなる重大な事態です。日本語ではどの事象も「窒息」と言いますが、英語ではそれぞれ別の言葉が使われています。
・喉が詰まる窒息:choking
・首が締まる窒息:strangulation
・酸素不足になる窒息:suffocation
今回は、「首が締まる窒息:strangulation」について考えてみましょう。
首が締まる:strangulation
こんな事故が起きています。
1. パーカーに付いているフードの「ひも」がすべり台の手すり部分に引っかかった!
2. パーカーに付いている「フード」がドアノブに引っかかった!
これらは、子供服に付いている「フード」や、首まわりについている「ひも」が遊具の手すりやドアノブなどに引っかかり、首が吊られる状態になってしまった事故です。
参照:フード付きパーカーによる溢頚(日本小児科学会 Injury Alert)
この他にも、カーテンのタッセルやブラインドのコードに首がかかって窒息状態になる事故が起こっています。
参照:カーテンの留め紐による溢頸(日本小児科学会 Injury Alert)
また、窒息以外にも、上着のすそやズボンに付いたひもがドアに挟まれたり、自転車の車輪に引っかかって転倒する事故も起きています。
イラストはすべて「公益社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 東日本支部 「標準化を考える会」作成の資料から抜粋
このような「首が締まって窒息する」「何かに引っかかって転倒する」事故を予防するためには、次のような対策が有効です。
□ フードやひもの付いた服は買わない
※2015年に「JIS L4129」が制定されてから、首まわりにひものついた子ども服は店頭では見かけなくなりました。「詳しくは『
□ 手持ちの子供服に付いているひもは切る
□ 手持ちの子供服に付いているフードは内側に丸めてえりの中にしまいこむ
□ フードやひもの付いた服を知人にあげたり、フリーマーケットに出したりしない
□ 防犯ブザーなどを首から下げる場合は、重さがかかると外れるタイプのストラップを使用する
□ 自転車ヘルメットは自転車を降りたらすぐに脱ぐ、かぶったまま遊ばない
□ カーテンのタッセルは、重さがかかると外れるタイプのものを使用する
例:チャイルドセーフティタッセル・房掛(2014年度キッズデザイン賞受賞)
□ ブラインドは、操作コードが内部に収納できるなど、安全対策がとられているものを使用する
例:コードレスブラインド(2016年度キッズデザイン賞受賞)
ロールスクリーン「ソフィ」スマートコード式(2016年度キッズデザイン賞受賞)
いよいよ冬本番、風が冷たくなってマフラーやスヌードを使う季節になりますが、マフラーもやはり首まわりに使うひも状のものなので、遊具やドアなどに引っかかる可能性があります。子供には使わないことをおすすめします。
記事監修
事故による子どもの傷害を予防することを目的として活動しているNPO法人。Safe Kids Worldwideや国立成育医療研究センター、産業技術総合研究所などと連携して、子どもの傷害予防に関する様々な活動を行う。