きのこを長持ちさせるコツ
鍋の季節には欠かせない、きのこ類。水分が多く、あまり日持ちがしないため保存するなら冷凍が最適です。特にきのこ類は、冷凍向きの食材。冷凍することで細胞壁が壊れ、うま味成分であるグアニル酸がアップ! 生で食べるよりも美味しさが増す、ミラクル食材なんです。
きのこは常温保存できる?
2~3日程度なら、常温保存することもできます。パックのものは、そのまま。風通しの良い涼しい場所で保管しましょう。
きのこを保存食に
数種類のきのこを合わせるほど、うま味の相乗効果が期待できます。ミックスきのこを冷凍するのもおすすめですが、万能な保存食を作ってみませんか? 下の写真は、「きのこの塩漬け」です。特別な材料もいらず、調味料は塩とほんの少しの酒のみ。パスタやオムレツの具、炊込みご飯など。和洋中の料理に使えるため、常備しておくと大変便利です。
【きのこの塩漬け】
材料(作りやすい分量)
きのこ(数種類を合わせて)…500g
酒…大さじ1
塩…大さじ1/2
作り方
1)きのこは、石づきのあるものは取り除き、食べやすい大きさにそれぞれ切る。
2)鍋に湯を沸かし、酒と塩少々(分量外)を入れたら、1)のきのこを加えて1~2分ほど煮る。
3)ザルにきのこを移す(ゆで汁は捨てない)。水けを切ったら塩を全体に振りかけ、粗熱をとったら出来上がり! 保存用袋には、粗熱が完全に冷めてから入れましょう。
※きのこを茹でたゆで汁は、きのこのうま味たっぷりの極上だしです。水溶性のビタミンなども溶け込んでいるため、栄養価も抜群。味噌汁や鍋のだしなどに、捨てずに活用しましょう!
きのこ別 下処理・保存方法を解説
きのこは、洗わないで保存するのが共通のルール。それぞれ形状が異なるため、切り方は少し変わりますが、冷凍保存が長く持たせるコツです。きのこ別の正しい下処理や保存法を知って、長期保存にお役立てください。
しめじ
しめじは、石づきを外して小房に分けて冷凍します。知って得する石突の外し方と冷凍のポイントは、こちらから。
えのき
えのきは、石づきを外して小分けにし、ラップに包んで冷凍が使いやすいです。下の記事は「えのき氷」の作り方もご紹介していますので、チェックしてみてくださいね。
エリンギ
エリンギは、切り方を変えて冷凍保存が◎。調理を時短にしてくれます。
↓ 詳しくは、こちら!
まいたけ
免疫力を高めるといわれているβーグルカンが豊富なまいたけは、冷凍しても栄養価は変わりません。冷凍まいたけを天ぷらにするコツも公開中。
しいたけ
しいたけは、軸の位置で保存状態が変わるって知ってた? 鮮度をキープしながら保存する方法を紹介していますので、しいたけ好きは要チェックです。
なめこ
なめこは、鮮度が命です。実は袋のまんま冷凍保存するのがラクチン。正しい保存法を確認しましょう。
マッシュルーム
マッシュルームは、ホワイト種とブラウン種の切り方を変えて冷凍保存しましょう。洋風の料理がすぐに作れる「マッシュルームのオイル漬け」のレシピもあります。
ひらたけ
あまり着目されていませんが、ひらたけの栄養価は抜群です。実は見た目が似ている「ぶなしめじ」より、ビタミンB1とB2の含有量も多め。それぞれ、ぶなしめじと比べて約3倍もの量が含まれているんです! これからの季節には、お鍋などに入れて積極的に摂って欲しい食材のひとつです。
保存方法も他のきのこと変わらないので、扱い方も手間なし。簡単な保存法をご紹介しますね。
常温保存の場合は、パックのまま風通しの良い涼しい場所で保管。2~3日は保存可能です。
石づきのはずし方は、しめじと同じです。三角に切り落とすと、無駄が最小限になります。
冷凍する場合は、小房に分けて冷凍用保存袋に入れれば完了です。
冷蔵の場合は、キッチンペーパーなどに包んでから保存袋に入れて乾燥を防ぎましょう。キッチンペーパーが濡れてきたらマメに取り替えてくださいね。
保存期間
きのこの種類ごとに正しく保存ができたら、保存期間はほぼ一緒です。次の保存期間を参考にしてください。
冷蔵の場合
冷蔵庫の野菜室で、3~4日ほど。キッチンペーパーに包んで保存した場合、紙が濡れてきたら新しいものと取り替えること。
冷凍の場合
小房に分けて冷凍保存袋に保存した場合で、1か月ほど。保存状態がよければ2か月程度は保存可能です。
※解凍時は、凍ったまま調理に加えるか、半解凍が鉄則! 完全に解凍してしまうと水っぽくなるので要注意。
保存食にした場合
前出の「きのこの塩漬け」の保存期間は、冷凍庫で1か月程度は保存できます。冷凍焼けが美味しさを損ねる原因なので、なるべく早めに食べるようにしましょう。
こちらが、冷凍したきのこの塩漬けです。
冷凍きのこの塩漬けは、きのこが平らになるように袋に入れて冷凍保存しておきましょう。使いたい時に、折って少量から使えます。ぜひ、いろいろな料理にご活用くださいね♪
撮影・文/川越光笑(たべごとライター・栄養士)
参考資料:e-ヘルスネット(厚生労働省)/日本食品成分表2019 七訂
HugKumがピックアップ! きのこを使ったおすすめレシピ
【1】きのことさつまいも入りカレー焼きそば
秋の風情を感じる具材を入れた焼きそばに、カレー風味で一味違った楽しみ方を!
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
しめじ 1パック
まいたけ 1パック
さつまいも 1/2本(100g)
ソーセージ 4本
小松菜 1/2束
焼きそば用の麺 3玉
サラダ油 大さじ2
【A】
ソース 大さじ3
カレー粉 大さじ1
塩 少々
◆作り方
【1】しめじとまいたけは食べやすい大きさにほぐす。さつまいもは皮のまま5mm厚さの小口切りにし、ソーセージも同様に切る。
【2】小松菜は2cm長さに切る。
【3】フライパンにサラダ油を熱して【1】を炒め、軽く火が通ったら、麺、水1/3カップを加えてほぐしながら炒める。水分がなくなったら【A】を加えて炒め、仕上げに【2】を加えて炒め合わせ、塩で味を調える。
教えてくれたのは
鈴木薫さん
シンプルで、おいしくて、センスのいいレシピが人気。双子の女の子と男の子のママ。
『めばえ』2013年11月号
【2】きのことさつまいものカルボナーラ
大人気のカルボナーラを、秋の食材で! 具材は季節に応じてアレンジしてみてくださいね。
◆材料
(大人1人+子ども2人分)
スパゲッティ 150g
きのこ(しめじ・しいたけ) 正味100g
さつまいも 100g
ベーコン 2枚
オリーブオイル 大さじ1
【A】
溶き卵 2個分
粉チーズ 30g
塩 小さじ1/4
黒こしょう 少々
※写真の分量は、すべて子ども1人分の目安です。
◆作り方
【1】さつまいもは皮つきのまま長さ3cm、角1cmの拍子木に切って5分ほど水にさらす。水けを切 って耐熱皿に入れ、ラップをふんわりかけて電子レンジで約2分(500Wの場合)加熱。
【2】きのこは石づきを切り落とし、しめじは手でほぐし、しいたけは薄くスライス。ベーコンは1cm幅に切る。スパゲッティをゆで始める。
【3】フライパンにオリーブオイルを入れて中火にかけ、【1】【2】を加える。きのこがしんなりするまで炒め合わせ、ゆであがったスパゲッティを加えてざっと合わせる。フライパンをぬれ布巾において温度を下げたら、【A】を加えてよく和える。
教えてくれたのは
松見早枝子さん
料理研究家。ビューティレシピスト。美と健康をテーマに、栄養バランスに優れたおいしいレシピを提案。雑誌、テレビ、講演会、料理教室など幅広く活躍している。美食家でレストランオーナーの夫、息子と3人暮らし。
『めばえ』2016年10月号
【3】きのこと油揚げ、ネギご飯|ご飯も味付き!炊き込みご飯のおにぎり
具だくさんの煮物と一緒に炊いたからごはんにしっかり味が染みて、具材も柔らかで美味。おにぎりにすれば、小さな子どもも手づかみでパクパク食べられます。
◆材料
(米2合分)
米 2合
油揚げ 1/2枚
しめじ 1/2パック
しいたけ 3個
【A】
だし汁 300ml
しょうゆ、みりん 各大さじ1
酒 大さじ1/2
細ねぎ 3本
◆作り方
【1】油揚げは長さ2cmの細切りにし、しめじは根元を落とし、長いものは半分に切り細かく分ける。しいたけは石づきを除き薄切りにする。
【2】鍋に【A】を入れ中火にかけ、煮立ったら【1】を入れる。再び煮立ったら弱めの中火にし、5分煮て冷ます。
【3】【2】を煮汁と具に分ける。米を洗って炊飯器に入れ、煮汁を加えて2合の目盛りまで水(分量外)を足し、具を混ぜて炊く。
【4】炊き上がって蒸らしたら、小口切りにしたねぎを加えて全体をよく混ぜ、1個分40~50gを取り分けて握る。
教えてくれたのは
関岡弘美さん
料理研究家。出版社で料理雑誌の編集に携わった後、渡仏。ル・コルドン・ブルーパリ本校にてグラン・ディプロムを取得。2008年に帰国後は、雑誌やテレビ、広告、イベントなどで活躍。おもてなし料理とワインの教室も主宰。
『めばえ』2017年11月号
【4】サーモンときのこのキッシュ
クリーミーな味わいのキッシュ。耐熱皿で焼けば、生地がちょうどいいやわらかさに!
◆材料
(フライパン20cm)
冷凍パイシート 1枚
【A】
卵 2個
粉チーズ 40g
生クリーム 200cc
スモークサーモン 40g
しめじ・エリンギ・マッシュルーム あわせて100g
バター 10g
しょうゆ 小さじ2
※材料の分量は、大人4人分(子どもは大人の1/2人分)が目安です。
◆作り方
【1】きのこ類は小さくほぐしたり切ったりし、フライパンにバターとともに入れて中火にかけ、しんなりするまで炒める。さらに、しょうゆを加えて炒め、取り出す。
【2】ボウルに【A】を入れて混ぜ合わせ、生クリームを加えてさらに混ぜる。
【3】洗ったフライパンに、解凍したパイシートを敷きのばし、フォークで数か所穴をあける。【1】を入れ、【2】を流し入れ、サーモンを並べる。
【4】ふたをして、弱火で30分加熱する。竹串を刺して、液が出て来なかったらでき上がり。
教えてくれたのは
阿部剛子さん
日々の暮らしの中から生まれた炊飯器レシピやフライパン活用レシピを公開して人気。2児のママ。
『ベビーブック』2013年1月号
【5】鮭としめじのアヒージョ
鮭は水につけて塩抜きするとちょうどいい塩加減に。トマトの酸味が大人も楽しめる味に。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
甘塩鮭 2切れ
しめじ 1パック
ミニトマト 6個
オリーブ油 1/2カップ
【A】
おろしにんにく 大さじ1
顆粒スープの素 小さじ1/2
パセリ 4枝
◆作り方
【1】鮭をたっぷりの水に15分つけて塩抜きする。水けを拭いて骨を除き、6等分に切る。しめじは石突きを除いて小房に分ける。
【2】フライパンに分量のオリーブ油のうち大さじ1/2を取り出して強火で熱してしめじを炒め、鮭を加えてほぐれないように軽く炒める。残りのオリーブ油と【A】を入れて弱火にし、時々混ぜながら5分ほど煮、パセリのみじん切りとミニトマトを加えてサッと煮る。
教えてくれたのは
みきママさん
オリジナルの節約ごちそうレシピで人気の〝おうち料理研究家 〟。ブログ「藤原家の毎日家ごはん。」は1日平均120万PV以 上のアクセスを誇る。夫と三人の子どもの五人家族。
『ベビーブック』2015年10月号
【6】豆腐ときのこのつくね串
小さいけれど栄養がギュッ! スティックに刺しただけで、楽しい!持ちやすい!食べやすい!
◆材料
(8本分)
しいたけ 1枚
まいたけ 1/4パック
サラダ油 大さじ1
青のり 少々
【たね】
鶏ひき肉 150g
木綿豆腐 100g
玉ねぎのみじん切り 1/4個分
片栗粉 小さじ2
しょうがのすりおろし、塩、こしょう 各少々
【たれ】
しょうゆ、みりん、酒 各大さじ1
砂糖 小さじ1/2
◆作り方
【1】しいたけ、まいたけは石づきを取ってみじん切りにする。たねの豆腐はペーパーに包んで皿をのせ、10分ほど置いて水切りする。
【2】ボウルにたねの材料を入れて、しっかり混ぜる。【1】のきのこ類を加えてさっと混ぜ、8等分にして細長い形を作る。
【3】フライパンにサラダ油を熱して【2】を並べ、中火で両面をこんがり焼く。さらに、ふたをして弱火で2分ほど蒸し焼きにする。フライパンの余分な脂を拭き取り、材料を混ぜたたれを回し入れて全体に絡め、スティックに刺して青のりをふる。
教えてくれたのは
コウ ケンテツさん
料理研究家。旬の素材を生かした簡単&おいしい&ヘルシーな家庭料理が人気。テレビや雑誌、講演会など幅広く活躍し、著書も多数。1男2女のパパでもあり、食育や食を通してのコミュニケーション活動にも力を入れている。
『めばえ』2018年3月号
【7】たけのことしいたけの煮物
しいたけのだしを生かした、旨味たっぷりの煮物。定番でありながら子どもも好きな味です。
◆材料
(大人4人分)
たけのこ(水煮) 1個
干ししいたけ 8個
【A】
みりん 大さじ3
砂糖 大さじ3
しょうゆ 大さじ3
※子どもの分量は、大人の1/2量ぐらいが目安です。
◆作り方
【1】干ししいたけは350ccの水につけて戻し、軸を除く(戻し汁300ccをとっておく)。たけのこは5mm厚さに切って、サッと下ゆでする。
【2】鍋に【1】(戻し汁ごと)と【A】を入れて弱火にかけ、20分くらい煮る。
教えてくれたのは
行正り香さん
おしゃれな暮らしぶりと簡単でおいしいレシピが大人気。二児のママ。
『ベビーブック』2012年2月号
【8】きのこと豆の豆乳鍋
少し変わった具材で美味しくて栄養満点の鍋。ウインナーを飾り切りにしてにぎやかに!
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
ソーセージ 1袋(6本)
豆の水煮(缶詰) 1缶(380g)
マッシュルーム 1パック(5~6個)
しいたけ 3個
にんじん 1/2本
玉ねぎ(小) 1個
【A】
バター 大さじ1
サラダ油 大さじ1
【B】
豆乳 200cc
水 500cc
鶏ガラスープの素 大さじ1
塩・こしょう 各少々
パスタ(早ゆでタイプ) 40g
◆作り方
【1】マ ッシュルームとしいたけは5mm厚さ、ソーセージは斜め切りにしてハート形を作ったり、タコを作る。玉ねぎは粗みじん切り、にんじんは輪切りにして花形で抜く。
【2】鍋に【A】を熱して玉ねぎとにんじんを炒め、玉ねぎが透明になったらマッシュルームとしいたけを加えて炒める。しんなりしたら【B】を加え、ふたをして10分ほど煮、ソ ーセージと豆を加えて煮る。
◆ポイント
いろいろなきのこのだしと豆の甘みが、とてもよく合います。豆はひよこ豆など、お好きなもので。
子ども用の主食は、早ゆでパスタが◎。
教えてくれたのは
井澤由美子さん
旬の食材の効能と素材の味を生かしたシンプルな料理が人気。食育にも力を注いでいる。一女の母。
『めばえ』2016年2月号
【9】ミートボールナポリタン
ボリューム満点、ミートボールが主役のナポリタン。オリーブ油を加えてふんわり肉団子に。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
【A】
合びき肉 200g
塩 小さじ1/3
オリーブ油 小さじ1/2
ピーマン 2個
にんじん 1/2本
トマト 大1個
マッシュルーム 5個
玉ねぎ 小1個
にんにく 1/2片
オリーブ油 大さじ1
【B】
水 1/2カップ
塩 小さじ1/2
【C】
トマトケチャップ 大さじ4
バター 大さじ2
スパゲティ 240g
◆作り方
【1】【A】を合わせて粘りが出るまで混ぜ、10個の団子に丸める。
【2】ピーマンは細切り、にんじんは8mmの輪切り、トマトは粗みじん切り、マッシュルームは3mmの輪切りにする。玉ねぎとにんにくは薄切りにする。
【3】フライパンにオリーブ油とにんにく、玉ねぎを入れて熱し、しんなりするまで炒め、【1】、トマト、【B】を入れてふたをし、5分煮る。ピーマン、マッシュルーム、【C】を加えて煮る。
【4】スパゲティとにんじんを一緒にゆでて、【3】に加えて和える。
教えてくれたのは
井澤由美子さん
旬の食材を使い、食べ合わせによる体への相乗効果を大切にしたレシピが人気。食育にも力を注ぐ。一女の母。
『めばえ』2014年9月号
構成・文/HugKum編集部