目次
離乳食はいつからいつまであげるもの?
では、離乳食は、いつからいつまで与えるものなのかを細かく見ていきましょう。
そもそも、なぜ離乳食期があるの?
そもそも、なぜ離乳食期があるのでしょうか。理由は3つあります。
1つ目は栄養が足りなくなるからです。赤ちゃんは生まれてから母乳や育児用ミルクを飲んで育ちます。ただ、成長するにつれ、母乳や育児用ミルクだけでは栄養が足りなくなります。ですので、離乳食が必要になってきます。
2つ目は内臓機能が未発達だからです。大人と同じ大きさ、味付けのご飯を食べるのは、内臓機能に負担をかけてしまいます。
3つ目は身体機能が未発達だからです。母乳や育児用ミルクを飲むことは生まれながらに持っている赤ちゃんの身体機能ですが、食べ物を噛んで飲み込むことはできません。これらの身体機能は食べる練習をして獲得していきます。
離乳食開始は生後5~6ヶ月頃から
離乳食の開始は、生後5~6カ月ごろを目安としています。私が保育士になった20数年前は、生後2カ月ごろから果汁や野菜スープを飲ませるというのが離乳食の進め方でした。でも、現在はそうではありません。離乳食は、時代によって変化する部分もありますので、新しい情報を知ることも、進めるうえで大切ですね。
1歳半頃を目安に完了し幼児食移行
離乳食は、1歳半を目安に完了します。離乳食が完了すると幼児食に移行していきます。よく勘違いされるのは「離乳食完了期になったら、離乳食は完了(終了)するから、大人と同じご飯を食べられるようになる」ということ。離乳食完了期とは離乳食が終わるのではなく、離乳が完了し、食べ物で栄養の大半をとれるようになるということです。決して、大人と同じご飯を食べられるようになるわけではないということを知っておきましょう。
【離乳食初期】ゴックン期の進め方
離乳食初期、いわゆるゴックン期ともいわれる離乳食最初の時期は、どのように進めていくのでしょうか?
離乳食開始の目安
離乳食の開始は、生後5~6カ月ごろを目安としています。それ以外にも、
・よだれが増えた
・大人が食べる様子に興味を示す
・唇にスプーンを当てても嫌がらない
・授乳、睡眠、活動の時間が1日を通して大体同じ時間になる
・母乳や育児用ミルクを十分に飲んでも満足せず飲んだ後でもぐずぐず言う
・首が座り、支えがあれば座れる
・体調や機嫌がよい
などのスタートの目安があります。月齢以外に上記が2~3個あれば離乳食をスタートしてOKです。
離乳食初期の期間
離乳食初期の期間の目安は、生後5ヶ月~6ヶ月の2カ月間です。ただ、これはあくまで目安です。例えば6カ月から離乳食をスタートさせたなら、7カ月までが離乳食初期です。
離乳食初期の進め方
離乳食初期の最初の1カ月は1日1回です。まず10倍かゆをつぶした10倍つぶしがゆからスタートさせます。つぶしたときにおもゆや湯ざましを加えてトロトロのポタージュ状にします。1週間おかゆを食べたら、野菜にもチャレンジします。野菜は裏ごしし必要ならゆで汁でポタージュ状にします。1カ月過ぎたら、離乳食を1日2回にしていきます。おかゆは10倍かゆにし、形状は少し水分を少なくしてヨーグルト状にします。
この時期に食べられるもの
離乳食初期に食べられるおすすめ食材を、栄養素に分けて紹介します。
・炭水化物
10倍つぶしかゆ、さつまいも、じゃがいも
(後半)10倍がゆ、パン、うどん
・たんぱく質
豆腐、豆乳、しらす、白身魚、卵黄
・ビタミン/ミネラル
にんじん、大根、玉ねぎ、かぶ、ほうれん草、キャベツ、小松菜、白菜、ブロッコリー、トマト、かぼちゃ、なす、ズッキーニ、果物全般
はじめての食材は1日1種類、ひとさじずつにしましょう。
【離乳食中期】モグモグ期の進め方
離乳食も2カ月を過ぎ、少しずつ離乳食にも慣れてきた頃でしょう。離乳食中期の進め方です。
離乳食中期へ移行の目安
・生後7カ月を過ぎた
・離乳食開始から2カ月以上たった
・水分を減らしたヨーグルト状、ベタベタ状の離乳食を食べている
・離乳食を始めたころより一回の離乳食の量が増えてきた
・おかゆ、何種類かの野菜、豆腐、白身魚、卵黄を食べている
・2回の離乳食を積極的に喜んで食べる。
・舌を動かして食べ物を口の奥へ運び、口を閉じて上手にごっくんと飲み込んでいる
・離乳食を食べる時間が整ってきた
・1回の離乳食で、子ども用茶碗1/2程度食べられる
このような様子が見られたら、離乳食中期に移行します。
離乳食中期の期間
離乳食中期は、おおよそ7ヶ月~8ヶ月が目安です。離乳食中期の期間は約2カ月です。
離乳食中期の進め方
離乳食の回数は1日2回。これまでの授乳回数の2回を離乳食にあて、午前と午後に一回ずつ与えます。寝る前に食べると消化不良につながるので19時までに食べ終るようにします。1回目と2回目の間隔は4時間ほどあけます。食事のリズムを整えると、よい食習慣につながります。離乳食を決まった時間に食べさせて空腹を感じ、食べるという生活リズムを整えるようにしてみましょう。
この時期に食べられるもの
離乳食初期で食べてきた食材にプラスして以下の食材にもチャレンジしていきましょう
・炭水化物
そうめん、麩、スパゲッティ、マカロニなど
・たんぱく質
納豆、全卵、牛乳、ヨーグルト、鶏ささみ、鮭、ツナ、マグロ、メカジキ、かつおなど
・ビタミン/ミネラル
アスパラガス、とうもろこし、きゅうり、長ネギ、オクラ、にら、ピーマン、パプリカ、さといも、わかめ、メロン、柿、レーズン、プルーンなど
【離乳食後期】カミカミ期の進め方
1日2回の食事にも慣れたころ。離乳食後期は、栄養の半分を離乳食からとれるようになってきます。
離乳食後期へ移行の目安
・生後9カ月を過ぎた
・1食で子ども茶碗に軽くいっぱいぐらいの量を食べられるようになった
・豆腐くらいのやわらかなかたまりを、口をモグモグ動かして食べている
・2回食の時間が一定になってきた
・1日2回の離乳食を喜んで食べている
このような様子が見られたら、離乳食後期に移行します。
離乳食後期の期間
離乳食後期の期間の目安は、生後9か月~11カ月の約3カ月間です。
離乳食後期の進め方
離乳食後期になると、大人と一緒で1日3回の離乳食を食べるようになります。朝昼夜と食べますが、それぞれの時間の間隔は、4時間程度空けます。最後の 3回目は、寝る直前に食べると消化不良につながるので、19時までに食べ終るようにします。食べ物の固さは、指でつまんで軽く力を入れるとつぶれるバナナ程度にします。食材によって、あらみじん切り、角切り、薄着ならを切り方にも変化をつけて、いろいろな形の食材を食べることが口の動きのトレーニングとなり噛む力が育ちます。
この時期に食べられるもの
離乳食後期になると、以下のような食材にもチャレンジしてみましょう。
・たんぱく質
大豆、おから、レバー、豚肉、牛肉、牛ひき肉、ブリ、アジ、イワシ、サンマ
(後半)チーズ、サバ
・ビタミン/ミネラルインゲン、のり、ひじき、モズク、枝豆
(後半)もやし、きのこ類、山芋、切り干し大根、ゴマなど
【離乳食完了期】パクパク期の進め方
1日3回の食事にも慣れたら、離乳食完了期に入ります。このころには、栄養の大半を離乳食で補うようになります。
離乳食完了期へ移行の目安
・生後12か月を過ぎた
・3回食のリズムが整ってきた
・手づかみ食べにチャレンジしている
・食べ物を前歯でかじり取っている
・唇を左右、上下に動かして食べている
このような様子が見られたら、離乳食完了期に移行します。
離乳食完了の期間
離乳食完了期は、生後12ヶ月~18ヶ月の約半年間です。
離乳食完了期の進め方
離乳食完了期は、離乳食後期と一緒で1日3回の離乳食を食べます。離乳食を食べることが生活の中で定着して、大人と同じ食事リズムに移行していきましょう。また、朝昼晩と決まった時間に食事をとるように心掛けましょう。離乳食以外に、1日1~2回のおやつを食べるようになるのも離乳食完了期の特徴です。手づかみ食べがさらに盛んになります。大きめに切った食べ物も前歯を使って一口大にかみ切り、歯ぐきで噛むことができるようになります。スプーンなどの食具にも興味を持ち始め、これまで食べさせてもらうことが主体だった食事から、自分で食べることができる食事へと変わっていく大切な時期です。
この時期に食べられるもの
これまで食べてきた食材に加え、合びき肉、セロリ、ゴボウ、タケノコ、マッシュルームなどが食べられるようになります。さまざまな食材を使い、メニューのバリエーションをつけてみましょう。
幼児食への移行のポイント
幼児食へと移行するときの目安や気をつけるべきことをご紹介します。
幼児食へ移行の目安
幼児食に以降する目安は、
・1歳半ごろ
・形がある食べ物をかみつぶすことができる
・エネルギーや栄養素を食べ物からとれるようになる
これはあくまで目安ですので、お子さんの発達を見ながら進めていきましょう。
離乳食の終わりはいつ?
離乳食の終わりは、「満一歳なったら自動的に終了」と思われがちなのですが、実はそうではありません。お子さんの様子を見て、
・前歯で食べ物をかみ切っている
・歯茎でつぶして食べている
・栄養の大部分を食事からとっている
このような姿が見られたら、そろそろ離乳食終了の時期かな?と思ってください。
幼児食の注意点
幼児食は、大人と同じ食事になるわけではなく、引き続き薄味でやわらかめの食事を用意するように心がけましょう。
約1年の離乳食の時期は、それぞれの時期に目的や意味合いがあります。でも一番大切にしてほしいのは「食べるって楽しいな!」と思える子に育てること。行きつ戻りつする離乳食ですので悩んでしまうこともあるかもしれませんが、親子で楽しめる時間にしたいですね。
記事監修
一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。