「灯火親しむ」ってどんな意味?
「灯火親しむの候、皆さまにおかれましては~~」
手紙の冒頭などで見かける「灯火(とうか)親しむ」。これは中国の古い漢詩を出典とする「灯火親しむべし」からきている言葉ですが、「灯火親しむ」とは具体的にどのような行為をいうのでしょうか。
1)寒い季節、家族そろって家の中で暖をとること
2)夏の夜、虫が灯火に集まるように、大勢で酒宴を囲むこと
3)夜が長いので、灯火の下で読書にいそしむこと
4)空気が澄んだ冬の夜、夜景を楽しむこと
正解は
3)夜が長いので、灯火の下で読書にいそしむこと
「灯火親しむべし」はこんな意味
気候もよく夜の長い秋は、ともし火の下でじっくりと読書するのに適している、ということ。
『小学館 故事成語を知る辞典』より
原典についても見てみましょう。こちらは8~9世紀の中国の文人・韓愈(かんゆ)の漢詩の一節です。
「秋になって雨も上がり、涼しくなったばかりの風が郊外の家にも吹いてきた。灯火 稍(ようや)く親しむべし、書物を開くにはもってこいだ」とうたっています。
『小学館 故事成語を知る辞典』より
過ごしやすい秋の夜長が読書にうってつけなのは、今も昔も変わりません。秋の読書週間がこの時期(10月27日~11月9日)なのもうなずけますね。
灯火親しむこの季節、親子ともにぜひ多くの本を手にとってみてください。(←こんなふうに使います。笑)
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構成/HugKum編集部
協力/小学館 辞書編集部
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