日本の男女(ジェンダー)格差の現状。リアルな声や課題から、取り組み・解決策を探る

世界的に問題視される男女格差。わたしたちが暮らす日本もまた、「男女格差が大きい」と言われる国であることをご存じでしたか? 本記事では、日本におけるジェンターに基づいた格差の現状を、HugKum読者からの声を交えつつお伝えします。

男女格差とは?

男女格差やその歴史ついて、お子さんに聞かれたらどのように答えますか? はじめに、男女格差の概要をおさえておきましょう。

男女格差・ジェンダー格差の意味

「男の子なんだから」「女の子なんだから」と言われたことがある方は、きっと多いのではないでしょうか。

男女格差について考える上で、今一度確かめておきたい言葉が、「ジェンダー」。
ジェンダー(gender)とは、生物学における性別(sex)とは別に、「男性だから」「女性だから」といった、性別によって期待される社会的・文化的役割としての性別を指します。

そして、そのジェンダーに基づいた「女性だから結婚をしたら家庭に入る」「男性のほうが出世に有利」といった偏見や、雇用・賃金格差といった経済的な不平等こそが、「男女格差=ジェンダー格差」です。

日本の男女格差の歴史

日本においてその不平等は長らくはびこり、第二次世界大戦後の1946年までは、女性には参政権も認められないほどでした。

1985年になるとようやく、男女の不平等をなくすことを目的とした「女性差別撤廃条約」が締結。それに伴い、雇用の分野における男女の均等な機会・待遇の確保に関する法律「男女雇用機会均等法」の制定等の措置が取られます。
そして、1990年代以降は、ジェンダーレス、ジェンダーフリーという言葉が少しずつ浸透し、男女格差をなくす動きが活発に。

しかし、残念ながら、古くから繰り返されてきた偏見や不平等は、今でも完全にはなくなっていないことも事実です。

出典:男女共同参画局「社会において男性が優遇されている原因」

男女格差ランキングでみる日本の順位

記事冒頭でも触れたとおり、日本は世界的に見て、いまだに男女格差が「大きい」と言われる国です。ここでは、世界と比較したその実情を見てみましょう。

156か国中で120位

世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)は、2021年3月に公表した「The Global Gender Gap Report 2021」で、各国における男女格差を数値化したジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)を発表。

この指数は「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野のデータから作成され、「0=完全不平等」「1=完全平等」を示すものですが、2021年の日本の総合スコアは0.656。
その順位は、なんと、156か国中で120位です。

この結果から、日本のジェンダーギャップ指数が先進国の中でも最低レベルであること、そして、アジア諸国の中でも、韓国や中国、ASEAN諸国より低いことがわかりました。

出典:男女共同参画局「社会において男性が優遇されている原因」

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ジェンダーギャップ指数の日本の課題とは

上のランキングでは、日本は特に「経済」「政治」における順位が低い点が印象的です。では、このような現実に日本が晒されているのはなぜなのでしょうか? その理由と課題を以下にまとめました。

女性の政治分野への参加割合

日本の政治分野における男女格差は、かつてよりは縮小したものの、女性の参加割合がまだまだ少ないと言えます。国会議員の女性割合は9.9%、大臣の同割合は10%に過ぎず、過去50年間、日本には女性の行政府の長が存在していません。
上述したWEFのレポートでは、それが日本の「政治」のスコアが0.061とかなり低い原因のひとつであると指摘。

出典:男女共同参画局「社会において男性が優遇されている原因」

女性の管理職の割合も低い

さらに、同レポートは、経済分野においても管理職の女性の割合が低いことを示します。
また、女性の72%が労働力であるにもかかわらず、非正規雇用として働く女性の割合は男性のほぼ2倍であり、女性の平均所得は男性より43.7%低くなっていることも明らかに。
これらのことが、日本の「経済」におけるスコアが0.604と低い大きな要因とされています。

出典:男女共同参画局「社会において男性が優遇されている原因」

日本の教育におけるジェンダー不平等

「教育」のスコアは、0.983と比較的高い印象ですが、日本の教育にも、ジェンダー不平等を引き起こしている課題がまだまだ残ります。
特に、女性の大学・大学院進学率が低いこと、そして、大学院の進学率に関しては、先進国の中でもワーストであることは大きな課題です。
また、理系学部への男性の進学率と、家政学部への女性の進学率が圧倒的に高いといった偏りも見られます。
これらのような教育における格差は、男女の雇用・賃金格差にもつながっていると考えられています。

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日本の男女格差をみんなはどう思っている?

では、HugKum読者のママパパは日本の男女格差をどのように感じているのでしょうか? ここからは、アンケートに寄せられたみなさんからの声をご紹介していきます。

Q.日本の社会で男女格差や男女不平等を感じたことはありますか?

アンケートでは、まずは日本の社会で男女格差や男女不平等を感じた経験の有無を聞いてみました。
寄せられた回答では「ある」が65.3%、「ない」が27.3%との結果に。
育児をしているママパパの多くが、性差による不平等を体感していることがわかりました。

社会における男女格差について回答の男女比の内訳

また、上の回答を男女別に比較してみました。
この比較では、「ある」との回答が多かったのは女性でしたが、男性からもほとんど同率で同回答が寄せられていることが明らかに。性別に関係なく、多くの人が性による不平等を感じているようです。

社会で男女不平等を感じた経験・体験談

アンケートに寄せられたみなさんからの経験談も引用の上、ご紹介します。
経験談としては、主に性別による雇用・賃金の格差や、「家事・育児=女性」といった偏見による不平等を感じる声が多く寄せられました。
なかには、性別で「馬鹿にされる」などの差別を受けた方や、「レディースデー」「メンズデー」等の存在に疑問を感じる方も。

「男性じゃないと出世できないし、子育てで女性がどうしても社会から離れなくてはならず、男はズルい」(女性・30代・神奈川県・子ども2人)
「男性は育児や家事を率先してやると周囲から称賛されるが、女性は当たり前のことだとして感謝もされない。」(女性・30代・愛媛県・子ども2人)
「仕事において男女で育休を取れる日数が違うこと 育休明けで復職した女性の評価が選択肢なしでいちばん最低の評価なこと 時短勤務をしていたり小さい子供がいる女性が煙たがれること」(女性・30代・青森県・子ども2人)
「同じ仕事をして同じ時間働いているのに給料が安かったとき」(女性・20代・東京都・子ども1人)
「女性と言うだけで馬鹿にされる状況を何度も受けたことがあります」(女性・40代・福岡県・子ども1人)
「管理職に女性がおらず、同じ仕事をしていても評価が低い」(男性・40代・北海道・子ども2人)
「レディースデーはあるがメンズデーがない」(男性・30代・神奈川県・子ども2人)
「女性社員の昇格が男性と比較して遅い点」(男性・50代・東京都・子ども2人)

「家事・育児=女性」といった偏見による不平等に関する声はここでも挙がりましたが、次のアンケートでは、「家庭において、みなさんが感じている男女の平等・不平等」について聞いてみました。

Q.家庭内で男女格差や男女不平等を感じたことはありますか?

こちらの質問は「ない」が64.4%、「ある」が27.3%との結果に。家庭内での男女平等は比較的保たれている印象を受けますが、それでも3分の1以上が不平等を感じているのも事実です。

家庭における男女格差について回答の男女比の内訳

おなじく、こちらも男女別に回答の割合を比較。「不平等を感じている」は女性からの回答が多く、反対に「感じていない」は男性からの回答がわずかに多いことが見て取れますね。

家庭内で男女不平等を感じた経験・体験談

アンケートに寄せられたみなさんからの経験談からは、家事や育児の分担の女性への偏りが伝わってきます。たとえ共働きでも、お子さんになにかがあったときに「仕事を休むのはママ」になってしまうというパターンも、多くのご家庭で「あるある」ではないでしょうか。

「子どもが病気になった時、仕事を休まなければいけない。」(女性・50代・北海道・子ども2人)
「『家事育児は女の仕事だよね』という思想が夫から透けて見える。『家事育児は親の仕事』と頭では分かっているけど根本が『お手伝い』だから、何かを判断したり管理したりするのはどうしても女になりがち。」(女性・30代・東京都・子ども1人)
「お客さんが来たときは、女性は、裏の仕事をして、男は、お客の相手をしている」(男性・40代・福岡県・子ども2人)
「妻が家事、育児ををたくさんする状況になってしまう。」(男性・30代・神奈川県・子ども2人)
「男が辛く当たられる」(男性・40代・北海道・子ども2人)
「男は我慢する」(男性・40代・沖縄県・子ども2人)
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男女平等の日本の取り組み・解決策とは

ここまでお伝えしてきたとおり、男女格差は日本の大きな課題です。最後に、このような不平等をなくすために現在国内で行われている取り組みをお伝えします。

「男女共同参画局」の設置

1999年、男女平等の推進を目的に、「男女共同参画社会基本法」が施行されました。それに伴い、内閣府によって設けられたのが「男女共同参画局」。男性も女性も活躍できる社会をつくることを目指し、さまざまな啓蒙活動を行っています。

法律・政策の整備

「男女共同参画局」 の設置以降、2001年には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」、2015年には「女性活躍推進法」などが施行。これらの法律や政策も随時整備されています。
そのほかにも、女性の再就職・再雇用の促進にも力を入れ、仕事と生活を両立するためのガイドラインなども作成されています。

SDGsの目標としても

世界共通の課題であるジェンダー平等は、持続可能な開発のための国際的な目標「SDGs」でも掲げられ、2030年までの達成を目指して各国でその解決に向けて取り組まれています。
国内でも、2016年には内閣が「SDGs推進本部」を設置。このプラン内でも、女性の能力向上は重要視されており、女性の活躍を推進する動きが広がっています。

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ご家庭内のジェンダー観にも今一度目を向けてみましょう

きっと、誰にとっても身近な問題である男女格差。
ご家庭内でも、ママとパパの間で無自覚にジェンダーバランスが偏っていないか、お子さんに「男の子だから」「女の子だから」といった偏見を押し付けていないか、今一度振り返ってみましょう。
身の周りからひとつずつ不平等を減らして、男性も女性も、みんなが暮らしやすい環境を作っていきたいですね。

構成・文/羽吹理美

今回の記事で取り組んだのはコレ!

  • 5 ジェンダー平等を実現しよう

SDGsとは?

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