クロームブックが学校教育に好まれる理由とは? ICT化促進のためのGIGAスクール構想を解説

多くの小中学校で、授業にパソコンやタブレットといった端末が使われています。端末のなかでも、学校教育で好まれて採用されているのが「クロームブック」です。この記事では、教育機関のICT化や、GIGAスクール構想について解説し、クロームブックとはなにか、その特徴、メリット・デメリットもご紹介します。

クロームブックは学校教育と相性がいい?

クロームブックは学校教育と相性がよいといわれています。その理由はどういったところにあるのか、これから解説していきます。

学校教育でのパソコン導入が必須に

プログラミング教育は、小学校で2020年度より、中学校で2021年度より開始されました。また、高校では2022年度に必修化されました。

これらのことに加え、教育機関でのICT化を強化するためにも、学校教育でパソコン導入が必要だと考えられています。

教育機関のICT化の促進

教育機関では、ICT化が進められています。まずは、教育機関におけるITCとはなにかを解説しましょう。

ITCとは

ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、日本語に訳すと「情報通信技術」です。

ICTの技術は、スマートフォンやタブレット端末、ICカード、銀行のATMなど、身近なものにも使われており、それは各先進国の教育機関も対応しています。

日本の教育機関ではICTへの対応が遅れていたのですが、近年、学習指導要領の改訂時に、コンピュータや情報通信ネットワークなどのICT環境を整備し、これらを学習活動に活用することが明記されました。具体的な取り組みとして「GIGAスクール構想」が提唱されたのです。

GIGAスクール構想とは

GIGAスクール構想とは、文部科学省が提唱するもので、生徒1人1台の端末と、高速大容量の通信ネットワークの環境の整備することを柱とした、教育機関のICT化を促進するための取り組みのことをいいます。

教育機関でのプログラミング学習

小・中・高でプログラミング学習がスタート!

GIGAスクール構想の取り組みのひとつが、プログラミング学習です。プログラミング学習は、小・中・高で実施され、小学校では2020年から必修化、中学校では、技術と家庭科の授業の一部として、高校では2022年から情報科のカリキュラムで必修化されました。

小学校のプログラミング学習は、プログラミングのスキルを身に着けることに加え、論理的思考力や創造性、問題解決能力などを育むことを目的としています。

クロームブックとは

クロームブック(Chromebook)とは、Googleが開発したChrome OSを搭載したノートパソコンのことです。

クロームブックの特徴

クロームブックは、WindowsやMacのパソコンのようにデータをパソコン上に保存するのではなく、クラウド上に保存するのが特徴です。そのため、インターネットに接続し、クラウドサービスを利用することを前提としたパソコンとなっています。

また、クロームブックのOSは、ブラウザベースなので、パソコン自体に高スペックを必要としません。そのため、3万円前後の価格帯で購入できるのも特徴といえるでしょう。

クロームブックを学校教育に導入するメリット

学校教育にクロームブックを導入すると、さまざまなメリットが得られます。そのメリットをご紹介していきましょう。

低コストで導入しやすい

学校教育にパソコンなどの端末を導入しようとすると、導入コストがかかることが懸念されます。少しでもコストを抑えるためには、端末の本体価格が安価なもの、導入時、導入後に管理がしやすいものである必要があります。それらの条件を満たすのが、クロームブックです。

クロームブックは一般的なパソコンにくらべて本体価格が安価なのが魅力です。また、導入時に必要となるセットアップや、導入後の運用管理も一元でできます。そのため、低コストで導入・運用できるのです。

バッテリー性能が高い

クロームブックは、バッテリーのもちがいいのもメリットです。ほとんどの機種で6~8時間持続します。また、電源をとりながら使う必要がないため、教室や校外学習でも使えます。

起動が早い

起動が早いため、授業の妨げにならないのもクロームブックの良い点といえます。

動作が軽い

クロームブックのOS「Chrome OS」は、WindowsやMacのパソコンよりも設計がシンプルにつくられています。そのため、動作が軽く、長く使っても重くなりにくいのもポイントです。

セキュリティが高く、安心して使える

クロームブックはインストールすることがないため、ウイルスに感染することがありません。また、データをGoogleドライブ上に保存した際に、自動的にウイルスチェックが行われるため、セキュリティが高く、安心して使えるのがメリットです。

クロームブックを学校教育に導入するデメリット

クロームブックを学校教育に導入する場合、どのようなデメリットがあるのか知っておきましょう。

インターネットに接続していないと使いにくい

クロームブックでは、作成したデータをクラウド上に保存します。そのため、インターネットに接続した状態でないと作業しにくいのが難点です。

学校教育で導入する場合には、インターネット環境(無線LANなど)を用意したり、LTE通信モジュール搭載のクロームブックを使うことをおすすめします。

Microsoft Office製品が使いにくい

これまで、WindowsやMacでMicrosoft Office製品を使ってきた人にとっては、クロームブックでそれらを使おうとすると、使い勝手が悪く感じることがあります。

というのも、クロームブックではWindows PCのようにインストールされたMicrosoft Officeを無料で利用することはできません。Microsoft Office製品を使うには、マクロ機能など一部の機能が利用できない無料のWeb版か、有料のアプリ版を利用するしかないからです。

ただし、クロームブックには、Microsoft Office製品と似た機能をもつ無料アプリがあります。そのアプリを利用するとよいでしょう。

スペック不足の可能性

クロームブックのスペックが不足する可能性があるケースは、本格的な画像や動画編集などで大きなメモリを使用する場合や、ローカル環境に膨大なデータを保存する場合などです。こういったケースでスペックが不十分に感じることがあるのが、デメリットといえます。

クロームブックとタブレットの違い

クロームブックとタブレットのおもな違いは、ブラウザと使えるアプリの種類です。

ブラウザは、両者ともChromeブラウザを利用できるのですが、クロームブックはデスクトップ版、タブレットはモバイル版のChromeブラウザを利用します。クロームブックで使えるデスクトップ版のChromeブラウザは、拡張機能を使え、モバイル版よりも高性能であることがポイントです。

アプリについては、クロームブックでは、クロームアプリ、アンドロイドアプリ、Linuxアプリが使えます。一方、タブレットで使えるアプリは、アンドロイドアプリのみです。クロームブックのほうが使えるアプリの量が多いです。

教育機関のICT化促進により「1人1台」が現実的に

教育機関では、着実にICT化が進められています。これにより、全国の児童・生徒がパソコンを1人1台持って、学習する日も近いでしょう。そのパソコンに、学校教育と相性がよいクロームブックが導入されれば、子どもたちにも、先生や学校にとってもメリットがあります。クロームブックを使うことでより学びが深まるかもしれませんね。

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文・構成/HugKum編集部

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