安定してわが子に高収入を約束できる可能性が高い医学部進学。しかし、医者になるには医学部を出るだけで、いいのでしょうか? そこで今回は医者になるための道のりをまとめてみました。「わが子を医者に」と考える人、「医者になりたい!」というお子さんのいるご家庭は、ぜひともチェックしてください。
医者になるまでに何年かかる?
まず、高校3年生が卒業後に医学部に進学したとして、医者になるまでに何年必要なのかをまとめます。
大学医学部(6年)
一般的に大学(学部)と聞けば、4年間を思い浮かべると思います。しかし、医学部の場合、6年間の学部生活が待っています。言い換えれば、最低でも6年間は大学に通わなければいけません。その上で、医者になるための国家資格を受け、合格した者が医者になる資格を手にします。
実際に法律でも、この医師国家試験を受けるためには、
<一 大学において、医学の正規の課程を修めて卒業した者
二 医師国家試験予備試験に合格した者で、合格した後一年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練を経たもの
三 外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者で、厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有し、かつ、適当と認定したもの>(医師法より引用)
でなければ、受験資格が与えられないとされています。これからわが子を医者にしたいと考えるパパ・ママからすれば、「一」の大学進学がまず考えたいコースになります。その意味で、医学部進学は絶対。プラスして親としては、HugKumの過去記事でもまとめた通り、6年分の学費の用意が必要になります。
医師国家試験
医者になるためには、医師国家試験を受ける必要があると言いました。この試験は年に(少なくとも)1回、北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県及び沖縄県など全国各地で行われ、医師として必要な知識と技能が問われます。この医師国家資格の合格率は90%前後が一般的です。
臨床研修(初期2年)
医学部を卒業し、(医師国家資格に合格して)大学を卒業したら、研修医としての生活が始まります。研修医は主に初期と後期に分かれていて、初期が2年間、後期が3~5年間が設けられます。
初期2年間は、専門分野に限らず、さまざまな医療の分野をまんべんなく、指定された病院で学びます。仮に将来、外科医になりたいと思っていても、内科、救急部門など、さまざまな分野を2年間で経験します。
この初期の臨床研修は法律で義務付けられており、研修先も学んだ大学の付属病院、あるいは厚生労働大臣が指定する病院で行います。
<診療に従事しようとする医師は、二年以上、都道府県知事の指定する病院又は外国の病院で厚生労働大臣の指定するものにおいて、臨床研修を受けなければならない>(医療法より引用)
この研修を終えると、晴れて医者として診療が行えるようになります。
臨床研修(後期3~6年)
法律で義務付けらえた初期臨床研修を終えた医者は、自分の進みたい診療科を決めて、専門医を目指して後期の臨床研修で専門的な研修を受けます。
後期の臨床研修は、さまざまな研修の重ね方があります。出身大学の医局と呼ばれる組織に入り、大学病院や関連病院(民間)にローテーションで入る医者も居れば、博士号を目指して大学院に進みながら後期研修を行う医者も居れば、民間の病院に就職して後期研修を行う医者もいます。
年齢制限はない?社会人から医者を目指すケース
18歳で医学部に入り、24歳で大学を卒業し、26歳で初期臨床研修を終え、30歳前後で後期臨床研修を終えるペースが、医師としての標準的なキャリア形成になります。では一方で、社会人になってから医者に転向するとなった時、年齢的に制限はあるのでしょうか。
結論から言えば、医者になるために年齢制限はありません。まず、医学部の入学に年齢の上限がなく、医師国家試験に関しても、受験資格の制限として年齢が決められているわけではありません。
さらに、社会人に対しては、医学部学士編入制度という社会人枠も用意されています。他の学部を卒業し、社会人としてキャリアを積んだ経験を評価し、大学側が、
- 英語+小論文
- 英語+面接
- 英語+生命科学
- 英語+生命科学+物理化学
など、少ない選考試験で入学を認め、しかも医学部の2年次、3年次に編入させる制度があるのですね。
ただ、それなりの学力が求められる上に、各大学で医学部学士編入制度の募集人員は10名前後と少ないので、倍率も10倍を超えるなど、やはり入学は簡単ではありません。また、社会人枠として受ける場合、働きながらの受験になるため、時間の確保が容易ではないというデメリットがあります。