一度は訪れてみたい世界遺産18選! 注目の世界遺産をタイプ別に紹介

文化的・自然的に高い価値を持つ世界遺産は、一度は訪れてみたい憧れの旅行スポットです。世界に1000以上ある世界遺産ですが、一体どのような場所が人気なのでしょうか? さまざまな観点から、人気の世界遺産18選を紹介します。

世界遺産とは

新しい地域が登録されるたびに話題となる「世界遺産」。具体的にはどのようなものなのでしょうか。まずは世界遺産の定義や種類を知っておきましょう。

未来へ伝えるべき貴重な遺産

世界遺産の定義については、1972年のUNESCO(ユネスコ)総会で採択された世界遺産条約(正式名称:世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)に記されています。

世界遺産とは、地球の生成と人類の歴史によって生み出され、過去から現在へと引き継がれてきたかけがえのない宝物です。現在を生きる世界中の人びとが過去から引継ぎ、未来へと伝えていかなければならない人類共通の遺産です。

出典:世界遺産とは – 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟

ユネスコは1960年代に、ナイル川流域のヌビア遺跡をダム建設による水没から救うため、移築キャンペーンを行いました。その際に「人類共通の遺産」という考え方が広がり、世界遺産条約へとつながったのです。

ヌビア遺跡群のひとつ、アブ・シンベル大神殿。水没地域からユネスコによって移築された。

3種類の世界遺産

世界遺産は「有形の不動産」を対象としており、下記三つの種類があります。

1.文化遺産:顕著な普遍的価値を有する、記念物、建造物群、遺跡、文化的景観など
2.自然遺産:顕著な普遍的価値を有する、地形や地質、生態系、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地など
3.複合遺産:文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えているもの

ユネスコでは原則年1回世界遺産委員会を開き、世界遺産候補地を世界遺産リストに登録するか決定します。

世界遺産リストへの登録には、厳格な基準が設けられています。登録されるためには、登録基準のいずれか一つ以上に合致するとともに、「適切な保護管理体制が取られているか」など複数の条件をクリアしなければなりません。

参考:世界遺産の登録基準 – 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟

街並みが美しい世界遺産3選

世界遺産の中には、街そのものを一つの世界文化遺産としている地域が複数あります。貴重な文化財と認定された街には、どのようなものがあるのでしょうか。

生涯に一度は訪れてみたい、美しい街並みの世界遺産を紹介します。

【バチカン市国】

バチカン市国は、国土全体が世界遺産に登録されている大変珍しい世界遺産です。ローマ法王が統治する宗教国家であり、世界中のカトリック教徒の総本山でもあります。

イタリア共和国の首都ローマの中にありますが、イタリアとは異なる国となっています。ただし、イタリアとの行き来は自由にでき、パスポートも必要ありません。大きさは0.44平方kmで、渋谷の代々木公園よりも小さい面積です。

主要スポットとしては、ローマ4大聖堂の一つとしても知られる、以下の建物があります。

・サン・ピエトロ大聖堂
・サン・ピエトロ広場
・バチカン宮殿
・バチカン美術館

芸術品や美しい庭園を見るだけでなく、ヨーロッパキリスト教世界の歴史・文化が凝縮されています。

バチカンのサン・ピエトロ広場

【ロシア】サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群

ロシア帝国の古都サンクトペテルブルクの建造物を含む、ロシアの代表的な世界文化遺産です。

18世紀、ロマノフ王朝皇帝のピョートル大帝が西欧に遅れを取っていたロシアの近代化のために、西欧の文化を取り入れて築きました。

「エルミタージュ美術館」「イザーク大聖堂」「ストロガノフ宮殿」といったサンクトペテルブルクの豪華絢爛な建物だけではなく、郊外の建造物36件も関連建造物群として登録されています。

サンクトペテルブルクの街を歩くだけで、近代ロシアの歴史と文化を全身で感じられるでしょう。

サンクトペテルブルクの街並み

【イタリア】フィレンツェ歴史地区

イタリアの都市フィレンツェの中心部にある世界文化遺産です。フィレンツェは15~16世紀にかけて繁栄し、ルネサンスの中心地となりました。

「屋根のない博物館」と呼ばれるほど、街としての芸術性が高く、中世から続く歴史的な街並みが広範囲に保存されているのが特徴です。

主要スポットには、「ヴェッキオ宮殿」「ウフィツイ美術館」「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」などがあります。また、ミケランジェロ・ボッティチェリなど高名な芸術家による貴重な作品も数多く残されているのです。

歴史的建造物も多いため、どこで写真を撮ってもフォトジェニックになります。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂とフィレンツェの街並み

水辺にある世界遺産3選

幻想的な美しさが際立つ水辺の世界遺産は、憧れの観光スポットです。建造物と水が織りなす絶景が楽しめる世界文化遺産を三つ紹介します。童話のようにロマンチックな景色は憧れをかきたてます。

【フランス】モン・サン・ミシェルとその湾

モン・サン・ミシェルは、フランスのノルマンディー地方「サン・マロ湾」に浮かぶ小島です。島には同名の修道院があり、フランスで有名なキリスト教の巡礼地でもあります。

8世紀に聖堂が造られたことから始まり、その後修道院・城塞・監獄と時代によって姿を変えながら増改築が繰り返されてきました。

修道院には「ラ・メルヴェイユ」と名付けられたゴシック式建築や美しい回廊など、見どころがたくさんあります。内部の建築様式から中世のような街並みまで、飽きることなく満喫できます。

【イタリア】ヴェネツィアとその潟

ヴェネツィアは、イタリア北部に位置する港湾都市です。118の小島が約400の橋と150以上の運河でつながれている珍しい地形をしています。

10世紀には貿易で栄え、「アドリア海の女王」といわれる強力な海運共和国でした。観光スポットとしては、下記のような建築物があります。

・サン・マルコ大聖堂
・サン・マルコ広場
・ドゥカーレ宮殿
・カナル・グランデの建築群
・フランケッティ美術館(カ・ドーロ)

ヴェネツィア内の移動手段は、徒歩か船のみです。運河を通るゴンドラで街を巡れば、徒歩とは違う楽しみも味わえます。

ゴンドラから望むヴェネツィアのリアルト橋

【イタリア】アマルフィ海岸

アマルフィ海岸は、ソレントからサレルノにかけて約40kmの長さがあり「世界一美しい海岸」と呼ばれています。くねくねと曲がるリアス式海岸と、そこから切り上がる山々が特徴的で、ポイントごとにホテルがあり、高級リゾートとして栄えています。

アマルフィ海岸地帯でも外せない観光スポットが、9世紀に建設された「アマルフィ大聖堂」です。いくつもの建築様式が混在しており、西欧最先端の街として多文化を吸収してきたアマルフィの繁栄を垣間見ることができます。

周辺地域は、イタリアンの核になるトマトやオリーブなどの名産地です。また、エビ・カニなどの魚介類も豊富で、モッツァレラチーズ作りも盛んなため、食の宝庫として知られます。自然の恩恵を目でも舌でも味わいながら滞在できるリゾート地です。

建築が見事な世界遺産3選

感嘆の溜め息を禁じ得ないほどの美しい建築物も、世界遺産として数多く登録されています。威厳のある建造物が人気の世界文化遺産を三つ紹介しましょう。

【フランス】ヴェルサイユの宮殿と庭園

パリ南西の郊外約20kmにあるヴェルサイユ宮殿は、フランス絶対王政全盛期の国王であったルイ14世によって建設されました。バロック様式の宮殿は全長550mもあり、578枚もの鏡が埋め込まれた「鏡の間」など豪華絢爛な内装で有名です。

ヴェルサイユ宮殿 正門

 

また、裏側に広がる庭園も850haと広大で、幾何学的に切り分けた花壇や彫刻が飾られた泉水などがあり、「フランス式庭園の最高傑作」とも評価されています。

宮殿・庭園では、毎年春から秋にかけて舞踏会や豪華な噴水ショーなどの各種イベントが開催されています。イベント開催期間中に訪れて、当時の雰囲気を肌で感じたいという観光客に人気です。

ヴェルサイユ宮殿 庭園

【スペイン】アントニ・ガウディの作品群

アントニ・ガウディは、古今東西の折衷様式を唱えた「モデルニスモ」の代表的建築家として知られています。

世界遺産「アントニ・ガウディの作品群」として登録されているのは、ガウディが手がけた作品のうちバルセロナとその近郊にある7作品です。

・サグラダ・ファミリア
・グエル公園
・カサ・ミラ
・カサ・ビセンス
・カサ・バトリョ
・グエル邸
・コロニア・グエル教会

中でも有名なのは、19世紀に着工した教会「サグラダ・ファミリア」です。着工時から完成まで300年はかかるとされていましたが、IT技術の導入などにより2026年に完成予定となっています。

「未完の世界遺産」としてのサグラダ・ファミリアが見られるのは、あとわずかです。

いまだ建設中のサグラダ・ファミリア

【インド】タージ・マハル

タージ・マハルは、インド北部にあるインド・イスラム文化の代表的な建築物で、一見すると宮殿のようですが実は霊廟(お墓)です。

インドを支配していたムガール帝国の皇帝シャー・ジャハーンが、王妃ムムターズ・マハルの死を悼み、約20年の歳月をかけて造営しました。

総大理石の白亜の廟は、計算しつくされた左右対称の優美な姿が特徴です。中央のドームの高さは約58mで、周囲に立つ4本のミナレット(塔)も42mの高さがあります。

建物の前にある池も長さが約300mあり、月明かりを受けて水面に映る霊廟の姿はこの上ない美しさです。

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神聖な気分になる世界遺産3選

世界遺産には、教会など宗教的建築物も数多くあります。訪れると厳かで神聖な気持ちに浸れる世界文化遺産を紹介します。

【ドイツ】ケルン大聖堂

ドイツの文化都市ケルンにそびえるケルン大聖堂は、フランス式ゴシック様式のカトリック教会です。ゴシック様式の建築物では世界最大級の大きさを誇ります。

高さ157m、奥行144m、幅86mもあり、40階建てのビルに匹敵するといわれています。完成までに約632年の歳月がかかったというのも驚きです。

特に神聖さを醸し出しているのが、「バイエルンの窓」と呼ばれるステンドグラスです。大きな窓に、「東方三博士の礼拝」「精霊降臨」などが描かれた色鮮やかなステンドグラスが設置されています。

外から見ても中を見ても美しい大聖堂を、ケルンの街の雰囲気とともに楽しむのもすてきですね。

ケルン大聖堂とライン川

【ドイツ】アーヘン大聖堂

8~9世紀に建造されたアーヘン大聖堂は、世界遺産第1号のうちの一つです。天井・柱は金をふんだんに使ったモザイクで覆われています。また、聖堂中心に設けられた八角形のドームは高さが32mあり、見上げた眺めは圧巻です。

アーヘンは、ケルンから鉄道で1時間ほどの距離です。ケルン大聖堂と併せて、ドイツが誇る二つの大聖堂を、いつか訪れてみるのもよいかもしれません。

【日本】厳島神社

海に浮かぶ赤い鳥居が有名な厳島(いつくしま)神社は、広島県廿日市市にあります。

満潮時には社殿と鳥居が海に浮かんでいるかのように見え、海面に映えて神秘的です。潮が引くと、約16mの大鳥居を歩いてくぐることもできます。

神社は、1400年以上前の推古天皇の時代に作られました。当時、島全体を神と考えたことから、島を傷付けないようにあえて潮の満ち引きのある場所に建てられたとされています。

その後、武士として初めて太政大臣となった平清盛により、寝殿造りの社殿が海上に造営されたそうです。

JR広島駅からフェリー乗り場があるJR宮島口駅までは30分足らずで、フェリーの乗船時間も10分ほどと、意外にアクセスしやすいロケーションです。

参考:国宝・世界遺産 嚴島神社 【公式サイト】

大自然が作り出した世界遺産3選

自然が生んだ圧巻の世界遺産を紹介します。いずれもダイナミックな美しさが人気で、アクティビティも楽しめると人気です。

【オーストラリア】グレート・バリア・リーフ

オーストラリア北東岸に広がる総面積約35万平方kmの広大な海域で、900以上の島々と2900以上のサンゴ礁からなります。

サンゴ礁はクイーンズランド州北部から南部にかけて全長2300kmほどあり、世界最大級の大きさです。1500種類以上の魚・450種類以上のサンゴなど、世界的に類を見ないほど多様な動植物が生息しています。

グレート・バリア・リーフでは、ダイビング・クルージングなどさまざまなマリンスポーツを楽しむことができます。ウミガメやジュゴンに会ったり、島々を散策したりして、リゾート気分を味わいたい観光客に人気です。

【アメリカ】イエローストーン国立公園

アメリカのワイオミング州・モンタナ州・アイダホ州の3州にまたがっている国立公園です。

広さは約8984平方kmあり、地球上の約半分の温泉と約3分の2の間欠泉が集中しています。野生のバッファローやオオカミなどもおり、規格外のスケールとなっています。

主要ポイントをざっくり見て回るだけでも数日が必要ですが、冬場は地面が凍結して通行できないため、シーズンは5~9月です。園内ではキャンプや釣りを楽しむことも可能で、広大な自然を体感できる地域です。

【日本】屋久島

屋久島は、九州最南端の佐多岬から、さらに南約65kmの位置にあります。世界遺産として登録されているのは、島面積のおよそ2割にあたる1万747haです。

屋久島に自生する植物は1900種以上にのぼり、屋久島の固有種約94種、屋久島を南限とする植物約200種などが含まれます。

特に有名なのは、屋久島に自生する屋久杉でも最大級の老大木である「縄文杉」です。樹高30m・幹周16mを誇り、樹齢は2000~7000年とされます。

縄文杉を目差すトレッキングは観光客に人気ですが、登山口から片道約11km・往復10時間ほどかかる本格的なコースになります。体力に自信があるアクティブな家族におすすめのスポットです。

参考:屋久島町公式ウェブサイト|人と自然と。世界自然遺産屋久島

歴史を感じる世界遺産3選

まるでタイムスリップしたような気分になれる、素晴らしい世界遺産を三つ紹介します。古代の遺跡を見て、当時の生活に思いをはせてみましょう。

【ペルー】マチュ・ピチュの歴史保護区

ペルーにあるマチュ・ピチュの歴史保護区は、マチュ・ピチュ遺跡とその周辺からなる世界遺産です。

標高2280mの頂上にあり、山裾からは見えないため「空中都市」とも呼ばれています。宮崎駿監督の名作アニメ「天空の城ラピュタ」のモデルとして知っている人も多いでしょう。

文化遺産・自然遺産の双方の登録基準を複数クリアする複合遺産で、人工美と自然美の両面が高く評価されています。遺跡にはインカ帝国時代の住居や神殿が極めて良好な状態で残されており、約200棟の建物があります。

ひときわ優れた古代の人工美と変わらぬ自然美をまとめて味わえるスポットです。

【エジプト】メンフィスとその墓地遺跡 ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯

メンフィスはエジプト古代王朝の首都で、カイロの南約30kmの場所にあります。周辺のギザからダハシュールにかけては、80あまりのピラミッドが残されています。

中でも有名なのはクフ王のピラミッドで、紀元前2560年ごろに約20年の歳月をかけて作られました。一つ2~7tの切り石が高さ147mの四角垂に積み上げられており、高度な技術力と莫大な経済力を物語っています。

ピラミッドの目的は王の墓というのが定説ですが、クフ王のミイラは見つかっておらず、いくつもの謎がいまだ残されているのです。

ギザのピラミッドとスフィンクス

【カンボジア】アンコール遺跡群

カンボジアのプノンペンから、北西に240kmほど行ったところにある世界文化遺産です。9世紀始めから約600年間栄えた「アンコール朝」を代表する遺跡でもあります。

遺跡群の中で特に有名なのが「アンコール・ワット」で、カンボジア国旗にも描かれている象徴的な遺跡です。12世紀に即位したスールヤヴァルマン2世がヒンズー教の宇宙観をもとに構成した寺院の遺跡で、約30年の歳月をかけて造られました。

本殿の最も外側に位置する第一回廊の壁面には、ヒンズー教神話やインド叙事詩をもとにした八つの物語が浮き彫り細工で描かれています。壮大な絵巻物のように物語性に富んだ細工は、光の角度によって印象が変わる楽しさもあります。

世界遺産を知ることで、世界の地理と文化に目を向けよう

文化遺産・自然遺産・複合遺産のなかから、人気の世界遺産をご紹介しました。

近年は新型コロナウィルスの世界的流行で海外旅行もままならない状況が続いていますが、こんな時期でも、世界の地理や歴史に目を向け、グローバルな人類遺産について知見を深めることはできます。将来の海外旅行の計画を立てるのも楽しいですが、自然と人類の造形コラボレーションに思いをはせ、親子で異国文化や地球環境への関心を高めあってみてはいかがでしょうか。

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構成・文/HugKum編集部

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