生卵を冷凍する
冷凍した生卵の味をご存じでしょうか。ねっとりとして色が濃く、独特の食感があります。これは、冷凍によって細胞膜が破れ、タンパク質同士がくっついたことからもたらされます。旨味成分や栄養はそのままで、味も食感も濃く感じられます。
さらには、生のまま包丁で切ることができるので、黄身のカルパッチョや、黄身の醤油漬け、卵フライもできます。これらは生卵ではできなかった調理法で、ゆで卵とも違う食材として味わうことができます。
注意する点は衛生面
卵は、取り扱いが悪いとサルモネラ菌による食中毒が発生する恐れがある食品です。生産や輸送、販売時には厳しい衛生対策がとられていますから、細菌の繁殖は抑えられています。家庭でも、注意をしなければいけません。
冷凍の際には中身が膨張することから、どうしても殻が割れます。解凍すると、殻の外側についていた細菌が中身に付着し、リスクが高まるのです。
安全を守るためには、冷凍保存であっても、念の為、生卵と同じ2週間の賞味期限を守るようにしてください。そして、解凍後は早めにいただくようにすれば、心配ありません。
また、70℃で1分間以上の加熱はサルモネラ菌が死滅します。衛生面の安全を守っておいしくいただきたいですね。
【注意点】
・卵の生食にはリスクがあることを知り、体調が悪い時は加熱して口にする。
・解凍後は常温で置かず、早めにいただく。
・加熱はしっかりと。(70℃で1分間)
味がよく染みる!
冷凍した卵の白身と黄身を分け、黄身だけを出汁醤油に漬けてみると、15分ほどで味が染みます。これは冷凍により細胞膜が壊れたことから、味が染みやすくなったためです。
みりんを煮切り、醤油と1:1で合わせた漬けタレもおすすめ。味噌漬けなら、煮切りみりんと味噌を、1:5を目安に混ぜて漬けます。
卵の冷凍方法
冷凍の手順はいたって簡単です。詳しくご紹介します。
冷凍の手順
【1】生卵をフリーザーバックや容器に入れてください。冷凍で殻が割れますから、漏れ防止に必ず必要です。
【2】あとは冷凍庫に入れて、1晩〜1日おくだけです。
生食する際の保存期限は2週間
冷凍卵の生食は2週間のうちにお召し上がりください。
加熱調理に使う場合は1か月を目安に保存できます。ニオイ移りや霜の発生といった冷凍焼けを起こすので、2〜3か月の保存は控えます。
冷凍卵の解凍
解凍の方法もシンプルです。
解凍の手順
【1】凍ったままで殻を剥きます。くっついている場合は、水に浸すと剥きやすくなりますよ。
【2】常温で30〜40分置いて解凍します。冷蔵庫なら3時間程度です。
解凍後の黄身
冷凍後の黄身はねっとりと濃縮されています。生卵より固く、ゆで卵のパサパサ感はありません。手で持ち上げても形を保ちます。
解凍後の白身
少々水っぽいですが、冷凍前の卵白と使い方は同じです。泡立ても問題ありません。むしろ、半解凍のまま泡立てると、手早くメレンゲが作れますよ。他にも、お味噌汁の具やお好み焼きに入れると、活用しやすいです。
冷凍卵で作るメニュー
生卵では不可能な天ぷらと、冷凍卵でしか作ることができない目玉焼きをご紹介します。
冷凍生卵の天ぷら
冷凍のまま油に入れるため、形が崩れず、不思議な揚げ物に仕上がります。
・材料
天ぷら粉 50g
水 80ml
冷凍卵 4個
揚げ油 適量
・作り方
【1】天ぷら粉を水で溶きます。
【2】冷凍卵の殻を剥き、軽く水分を拭き取ってから半分に切ります。
【3】【1】に入れて衣をつけます。
【4】180℃に温めた油で、5〜6分程度かけて揚げます。油の温度が下がりやすいので、通常より時間がかかります。裏返しながら、両面を揚げてください。
冷凍生卵の目玉焼き
お弁当に入れやすいサイズのミニ目玉焼きに仕上がります。
・材料
冷凍卵 2個
油 少々
・作り方
【1】フライパンに油をひいて温めます。
【2】冷凍卵の殻をむいて、半分に切ります。【1】のフライパンにのせてください。
【3】少量の水を加え、蓋をして蒸し焼きにします。
【4】解凍していないので、通常よりも時間がかかります。火加減は弱めで、時間を長く加熱することで、中まで火を通してください。
お弁当に入れる際は、裏返してしっかりと加熱すると、衛生面の心配がありません。
冷凍卵でオリジナルレシピを
スライスしたり、生のまま漬けられたり、いままでにない調理方法が尽きないのが冷凍卵です。日本以外の国々では生卵を食べる習慣がないことから、衛生管理の徹底がありません。冷凍卵を楽しめるのは、日本ならではなのかもしれませんね。つまり、誰も知らなかったメニューを見つける余地が残されています。まだ知られていない、冷凍卵の食べ方をぜひ試してみてくださいね。
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)