「冷凍野菜に栄養がない」はホント? 栄養をキープしたまま保存活用する方法

冷凍野菜は生のまま使う場合よりも、栄養は落ちてしまうのでしょうか? 「日本食品標準成分表」を元に、冷凍で栄養がどのように変化するか見ていきましょう。おいしさをキープするための野菜の冷凍の仕方や、冷凍野菜の活用法も紹介します。

冷凍した野菜の栄養は破壊される?

冷凍すると、野菜の栄養はどのように変化するのでしょうか?  野菜ごとに、冷凍の向き不向きについてもチェックしましょう。

栄養価に大きな差はなく逆に増えることも

野菜の栄養は、冷凍によって大きく減るものではありません。中には冷凍することで、特定の栄養素が増える野菜もあるほどです。

例えば、ニンジンに含まれるβカロテン(ベータカロテン)は、冷凍によって増えることが分かっています。調理方法別の含有量は、以下の通りです。

●根 皮なし 生:6700μg
●根 冷凍:9100μg
●根 皮なし ゆで:7200μg
●根 冷凍 ゆで:1万μg

ホウレンソウは、βカロテンのほか、カルシウム・ビタミンKが増加すると分かっています。βカロテンであれば、以下の通り含有量が変化します。

●生:4200μg
●冷凍:5300μg
●ゆで:5400μg
●冷凍 ゆで:8600μg

参考:
食品成分データベース

日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省

野菜の種類別 冷凍の向き・不向き

野菜の栄養は、冷凍してもそれほど変わらず、むしろ増える栄養もあると分かりました。とはいえ、すべての野菜が冷凍に適しているわけではありません。

冷凍に向いている野菜としては、ニンジンホウレンソウのほか、カボチャ・コマツナ・ネギなどがあげられます。栄養をキープしやすい上に、そのまま冷凍しても食感が変わりにくく、おいしく食べられるでしょう。

ブロッコリーアスパラなども、栄養面では冷凍に向いています。ただし、食感が変わりやすいため、冷凍前にゆでておくなど、下処理するほうがおいしくなります。

一方、水分の多いミズナやレタス・キュウリなどは冷凍に不向きです。凍る過程で野菜に含まれる水分が氷の結晶となり、組織や細胞を壊すため、味が落ちてしまいます。

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自宅で野菜を冷凍するなら

買ってきた野菜を自宅で冷凍するときには、どのような点を意識するとよいのでしょうか?  栄養素を残せて、品質の劣化も抑えるコツを紹介します。

買ってからなるべく早く急速冷凍する

自宅で冷凍野菜を作るときは「急速冷凍」を意識しましょう。

市販の冷凍野菜が長持ちするのは、さっと下ゆでし野菜の水分を減らす「ブランチング」をした上で、-40℃以下で急速冷凍しているからです。短時間で一気に凍らせることで、氷の結晶が成長しにくくなり、野菜の細胞が壊れず品質を維持できるのです。

家庭用の冷凍庫では、まったく同じ条件にはできません。しかし、下ゆでしたり、塩をまぶしたりして野菜の水分を減らし、金属トレーにのせて冷凍庫に入れるなどの工夫で、できるだけ早く冷凍すれば品質が落ちにくくなります。

栄養を残すなら旬の野菜を

できるだけ栄養をたくさん残したいなら、旬の野菜を選びましょう。近年は1年を通してさまざまな野菜が栽培されており、スーパーに行けば、いつでも購入できます。

しかし、野菜は旬のものほど栄養が豊富で、本来のうまみを感じられます。収穫量が増えるため、安く手に入るのもうれしいポイントです。旬の野菜を冷凍しておけば、季節が変わっても、栄養の多い状態のままで食べることが可能です。

冷凍する前のひと手間で劣化対策も

劣化を避けるには、冷凍前のひと手間がポイントです。以下の処理を行うことで、冷凍にかかる時間を短縮でき、おいしく野菜を冷凍できます。

●水分をしっかり拭く
●冷却効率を上げる(薄く広げる・金属製バットに乗せる)
●下ゆで後はしっかり冷ます

冷凍した野菜を無駄なく早く使い切るために、使いやすく工夫するのも有効です。小さな容器に分けて入れたり、1回分ごとに袋に折り目をつけたりして、使う分をすぐに取り出せるようにしておきましょう。

冷凍野菜の上手な活用法

冷凍野菜には、どのような活用法があるのでしょうか?  毎日の料理に役立つ、おすすめの使い方を紹介します。

既存料理の彩りにする

料理やお弁当ができあがった後に「彩りが足りない」と感じることがあるでしょう。このようなときに、冷凍野菜が役立ちます。

例えば、シチューやカレーにはブロッコリーを、煮物にはインゲンをプラスすると、緑が加わって見た目が華やかになります。

また、ブロッコリーを解凍後、チーズを乗せてトースターで焼くだけで、お弁当のすき間を埋めるおかずの完成です。下処理やカットも済んでいる冷凍野菜なら、簡単に彩りよく料理を仕上げられます。

下ごしらえを簡単に

冷凍野菜は、下ごしらえが不要な点が大きなメリットです。例えば、コマツナやナス、ネギなどを冷凍しておけば、凍ったまま鍋に入れるだけで、みそ汁の具になります。

炒め物や煮物にも、袋から出してそのまま使えるため、野菜の皮むきやカットなどの下ごしらえが面倒と感じている人にぴったりです。

よく作るメニューに合わせて、カットした野菜を組み合わせて冷凍しておくのもおすすめです。ひと口大に切ったニンジンとタマネギを一緒に冷凍しておけば、カレーや肉じゃがといった、定番メニューを手早く作れるでしょう。

常備しておきたい薬味

薬味を冷凍庫に常備しておけば、できた料理にちょっと添えたいときに役立ちます。

ネギやオクラは刻んで冷凍しておけば、解凍するだけで食べられます。すりおろしたダイコンや長芋も同様です。

ショウガやニンニクを刻んだり、すりおろしたりして冷凍しておいてもよいでしょう。うどん・そば・そうめんなどの麺類や、冷ややっこの付け合わせはもちろん、合わせ調味料作りにも重宝します。

薬味の解凍は、そのまま常温に置く「自然解凍」か、水を入れたボウルや流水を使う「流水解凍」で行えます。

冷凍野菜を使った栄養価を落とさないレシピ

冷凍野菜をうまく活用するには、調理法が重要です。調理法によっては栄養価が落ちることもあるため、野菜に合う方法で調理しましょう。

【きのこミックス】汁までしっかり味わう料理

ビタミンやミネラルが豊富なきのこは、冷凍することで栄養価が高まりやすいのが特徴です。冷凍によってきのこの細胞膜が破壊され、中に含まれていた栄養素が溶け出しやすくなります。溶け出す栄養素の中には、水に溶けやすいビタミンB群や、カリウムなどが含まれています。そのため溶け出した栄養素も丸ごと食べられる、スープやみそ汁に使うのがおすすめです。

なお、油を使ってマリネにすると、脂溶性のビタミンDを効率的に摂取できます。

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【ナス】素揚げや炒め物で

水分の多いナスは、解凍すると水っぽくなりがちです。生のままで冷凍した場合は、色落ちも気になります。多少面倒でも、素揚げしてから冷凍すると、ナスの鮮やかな色や独特の食感がキープできます。

冷凍後のナスは全部解凍せず、半分ほど解凍してから調理すると、水っぽさが気になりません。麻婆ナスや、甘酢あんかけといった炒め物なら、水溶性の栄養も丸ごと取れるでしょう。

【ブロッコリー】スープやパスタに

ブロッコリーには、ビタミンCやカリウムなど、水溶性の栄養素が豊富に含まれています。冷凍前に加熱するとき、お湯でゆでると、ゆで汁の中に栄養素が溶け、流れてしまうので注意しましょう。

電子レンジを使えば、水溶性の栄養素を逃さずに加熱できます。耐熱皿にブロッコリーを乗せ、ラップと少量の水をかけて600wで2~3分を目安に加熱しましょう。予熱で蒸らすと、中に硬い部分が残りません。少量の水を入れたフライパンで、蒸し焼きにしてもよいでしょう。

ブロッコリーは冷凍保存中、容器の隅にかけらが残ることがあります。この場合、大きな房も解凍して刻み、粉チーズやオリーブオイルなどと混ぜてあげると、袋に残ったかけらまですべて使い切れます。

野菜の特性を知って上手に冷凍活用を

野菜は冷凍しても、栄養素の量にそれほど大きな違いはありません。中には冷凍によって増える栄養素もあるほどです。

ただし、冷凍のやり方によっては、食感が悪くなることがあります。水分の多い野菜も、冷凍に向いていないため注意が必要です。冷凍野菜の栄養素は、調理法によって摂取できる量に差が出ます。野菜ごとの特徴を把握して、上手に活用しましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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