収納の高さは大事です!
「家事育児に追われて家の中がゴチャゴチャ!」「本当はスッキリ暮らしたいのに…」という悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。子どもとの暮らしに“整理収納のコツ”を取り入れると、親の負担やストレスが減り、子どもの生活力を育むことができます。
7歳、4歳、2歳の3児の母である整理収納アドバイザー・水谷妙子が隔週でお届けする「整理収納のコツ」シリーズ。
今回のテーマは「収納のゴールデンゾーン 」です。
子どもとの暮らしで、モノが出しっ放しになってしまったり、何度も場所を聞かれたりすることはありませんか?
収納には、使いやすい高さがあります。そしてそれは、家族全員、異なる可能性も!?高さを意識するだけで、日々のお片付けがラクになるかもしれません。
ゴールデンゾーンを知って、子どもにとって使いやすい収納を考えていきましょう。
① ゴールデンゾーンとは?
人が真っ直ぐに立った時の、目線から腰の高さ。この間を収納のゴールデンゾーンと呼びます。手の上下だけでモノを出し入れできる高さです。
例えば、腰から足元のモノを出し入れする時、私たちは身体を屈めます。目線から頭上のモノを出し入れする時、背伸びをしたり、それでも届かない場合は踏み台を出して登ります。
この、身体を屈める、背伸びをする、踏み台を使うという行為は、モノを出し入れする時のプチストレス。「たったそれだけ?」と侮るなかれ、ご自身も意識していないかもしれませんが、身体はとても正直です。
出し入れの度に身体に負担がかかるモノ…。いつの間にか「出しっ放し」になっていませんか?
プチストレスの積み重ねが「片付けられない」に繋がることもあるので、ゴールデンゾーン=「目線から腰の高さ」を意識して収納を考えていきましょう。
② 見えない=存在しない
ゴールデンゾーン以外の上下の部分が、ちょっと使いにくい理由は、身体の上下の負担だけではありません。そもそも、人は視界に入らないモノは認識しにくいです。更に、子どもの視力や視野は、大人とは異なります。
例えば、大人の平均的な視野は、左右(水平方向)で150度程度、上下(垂直方向)で120度程度と言われていますが、6歳児の平均的な視野は、左右(水平方向)で90度程度、上下(垂直方向)で70度程度とされています。
この上下(垂直方向)の70度は、おおよそ収納のゴールデンゾーン(目線から腰の高さ)が含まれます。
空間認識や記憶力がまだまだ発展途上の子どもにとっては、見えない=存在しないと一緒。見えるように配置しないと、片付けることが困難です。
逆に言うと、頻繁に出し入れしないモノは、ゴールデンゾーンに置く必要はありません。「一等地」にあまり使わないモノを置いていませんか?チェックしてみましょう。
配置する順番は、まずは①ゴールデンゾーン、次に②腰~足元に、最後に③目線~頭上です。
②→③の理由は、③目線~頭上に比べると、まだ②腰~足元の方が「見えている」要素が多いためです。様々な場所にも応用できるので、覚えておいてくださいね!
③ 家族みんなの身長に注目!
収納のゴールデンゾーンは「目線から腰の高さ」ですが、これはつまりご家族それぞれの身長によって大きく変わるということを示します。
例えば、身長180cmのパパ、身長150cmのママ、身長90cmの子どもの場合、それぞれのゴールデンゾーンが異なることがわかると思います。もちろん、重なる部分もありますが、上下に大きくズレが生じています。
一般的に、身長が高い人は低い場所が苦手で、身長が低い人は高い場所が苦手です。これは、先ほどご説明した①身体にかかる負担と②視野の問題が大きく関わっています。
身長差があるご家族が収納を考える際は「コレは、誰がメインで使うものか」を確認しましょう。特定の人しか使わない場合は、その人に合わせたゴールデンゾーンに配置し、複数いる場合は、みんなが使いやすい高さに収納してくださいね!
④ 座った時のゴールデンゾーン
立った時だけではなく、座った時にもゴールデンゾーンはあります。同じように「目線から腰の高さ」ではありますが、座っている時は、立った時のような大きな差はありません。
逆に言うと、ダイニングテーブルの上やデスクの上が散らかってしまう大きな理由は、家族みんなのゴールデンゾーンがほぼ同じ、つまりみんなが座ったまま手が届きやすいからです。
この場所の収納を考える際は「家族みんなが使うもの」を優先して配置し、その上で簡単に出し入れできるよう、ハードルを下げて収納していきましょう。
⑤ ゴールデンゾーンを意識した子ども収納の実例
まずは、おもちゃ収納です。子どもが立った時に出し入れしやすい高さにボックスを配置しましょう。上から中身が見えようにしておくと、普段から持っているおもちゃが把握しやすく、お片づけもスムーズ。ポイポイ投げ込むこともできるので、スピードもアップします。
一般的な住宅は大人用に作られており、子どもの手が届くハンガーバーは無いことがほとんど。そんな時は、突っ張り棒を活用すると、好きな場所に子ども用のクローゼットを作ることができます。
また、大人用の背の高いハンガーバーからブランコのように吊るして、バーを2段にできる商品も販売されています。身長に合わせて調節してくださいね!
最後は、お絵かき&工作の道具について。小さな赤ちゃんがいると、ハサミや尖った鉛筆は危ないモノ。でも、上の子にはお絵かき&工作を楽しんでもらいたいですよね。
そんな時は、少し高い場所にお絵かき&工作道具を収納していました。赤ちゃんのゴールデンゾーンからは外し、上の子にとってギリギリ手が届く場所に配置することで、上下で空間の棲み分けができ、安心して過ごすことができました。
いかがでしたでしたか?
収納のゴールデンゾーンのご紹介でした。家族の身長に気を配りながら高さ方向を気をつけるだけで、グッと使いやすくなります!みなさんの暮らしの中にも取り入れてみてくださいね!
記事監修
無印良品で商品企画&デザインを13年間務める。手がけた商品は500点超。調べた他社商品は5,000点超。2018年「ものとかぞく」を起業し、個人宅や店舗などの整理収納サービスやお片づけ講座を行うかたわら、雑誌やWebでも活動中。フォロワー5.1万人を超えるInstagramでは、マネしやすい整理収納アイデアやモノ選び情報を発信中。7歳4歳2歳の3児の母。