家族とおうちで過ごす、今だから
「家事育児に追われて家の中がゴチャゴチャ!」「本当はスッキリ暮らしたいのに…」という悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。子どもとの暮らしに“整理収納のコツ”を取り入れると、親の負担やストレスが減り、子どもの生活力を育むことができます。
7歳、4歳、2歳の3児の母である整理収納アドバイザー・水谷妙子が隔週でお届けする「整理収納のコツ」シリーズ。
今回のテーマは、「想いを聞いて、家を整える」です。
外出自粛で、在宅時間が増えていますよね。かくいうわが家も、子ども3人と在宅ワーク中の夫と、計5名で賑やかな日々を過ごしています。
在宅時間が長い今。普段と違うということで、家の中が荒れてストレスが溜まりがち。もう限界!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、整理収納について角度を少し変えて「考え方のヒント」をお伝えします。この機会に家の中を見直してみませんか?
ママひとりが、整える担当?
私は整理収納アドバイザーで「お片づけのプロ」です。自宅の整理収納で一番心がけていることは「私がひとりで決めない」ということ。以前、資格を取りたての時は慢心があったのか、家族に「こうあるべき」という正論や理想を押し付けて険悪になったり、結局片付かなかったりしてしまうという苦い経験があります。
また、家事をはじめ、家を整える行為(あれこれ考えを巡らせたり、情報収集をしたり、実際に手を動かす作業も含む)を一人で抱えてしまうと、いつまで経っても自分一人の仕事のまま。他の家族が指示待ちで、自発的に考えなくなってしまうんですね。
「どうしたら暮らしやすくなるか」は、家族みんなの永遠のテーマであり、一人で抱えるものではありません。
この自粛生活で「家族がみんながいるから、落ち着いて家の中を見直す時間が取れない!」と感じる方もいらっしゃると思います。
でも、家族が在宅している今こそチャンス!家族を巻き込み「それぞれの想い」を聞く機会にして、これまでのやり方を見直してみましょう。
聞いてみないと、本心はわからない。
「家族が置きっぱなしにしたカバン。脱ぎっぱなしの服や靴下。何度言っても私が決めた場所に片付けてくれなくてイライラ…もう諦めて、いつも私が片付けているんです。」
よく聞くエピソードです。「私」側から見ると、確かにイライラする気持ちはわかります。ただし「私」が決めた場所が、他の家族が片付けやすい場所かというと、そうではない可能性もありますよね。
例えば「〇〇っぱなしをする理由をご家族に聞いたこと、ご自身で深く考えたことはありますか?」と聞くと、実はそこまで深掘りしていない人が多いです。
冷静に考えてみたり、怒らず、責め立てず「どうして?」と素直に理由を聞いてみると、家族から意外な答えが返ってくるかも。
「自分でもわかっているけど、疲れてヘトヘトで難しい」「実は、自分はここに置いた方が便利だと思っている」
そんな風に理由を言ってもらえたら、次の一手を具体的に考えることができるのです。
お片づけのプロである私たちは、不便が起きている現象をそのまま受け取るのではなく、家族それぞれの立場に立って、総合的に考えます。その理由を探るには、本心を探るためのコミュニケーションが欠かせないのです。
深刻でなく、軽いノリで聞いてみませんか?「〇〇っぱなしにしているのはなんで?」と。
どうして私はイライラ・モヤモヤするの?
また「家族が片付けてくれないと、すごくイライラ・モヤモヤするんです」
という方は、その根っこにご自身のどんな想いがあるか、考えてみましょう。自分の想いにフタをして一人で頑張ってしまうと、表面的なお片づけワザを習得したとしても根本的な問題解決には繋がらないのです。
「私ばっかり片付けている、という家族への不公平感」「何度言ってもダメだと、自分が否定・軽視されているように思う」「本当は片付けが苦手。できれば考えたくない。手放したい!」
このように、自分が何をしたくて、何をしたくないのかを認識し、家族とどういった関係を築いていきたいかという想いを改めて認識してみましょう。
これがキッカケとなり、家族とのコミュニケーションも変わってくるかもしれませんよ。
実例1 子どものヘアゴム収納
わが家の実例をご紹介します。7歳娘は髪が長いので、朝ヘアゴムで結んで、お風呂に入る時に外します。いつもヘアゴムが洗面台の上に放置されてるような状況になっていました。
「ちょっと〜!ヘアゴム、片付けて〜」と娘に言いながらハッと気が付いたのですが、元々のヘアゴム置き場は別室で、お風呂の前に片付けに行くのが面倒。動線的に、無理がある場所だったんです。
私が勝手に決めたヘアゴム置き場は、あくまで暫定。使いにくければどんどん変えるべきなのです。そこで、ヘアゴムを放置するすぐ横の洗濯機に輪ゴムホルダーを取り付けて、引っ掛けることにしました。
このスタイルは、娘が決めました。私から「ヘアゴムは、ココとココ、どっちの引き出しがいい?」と聞くと、娘は「引き出しは、扉を開けるのがめんどくさい」との返答。そこで、常に見えている引っ掛け収納にしました。
その後は、お風呂のたびにきちんと戻すようになり、ヘアゴムが放置されることがなくなりました。
実例2 洗濯物の投げ込みボックス
わが家では、洗濯物をたたんでクローゼットの中に戻す係は夫です。それまできちんとクローゼットに戻されていたのに、ある日から洗濯機の上に放置される日が続くようになりました。
夫に聞いてみると「仕事に変化があり、準備や出勤時間もあり、時間に余裕がなくなった」ということがわかりました。
そこで二人で軽く話し合って「洗濯物をたためない時は、ボックスに投げ込むだけでOK」としました。ボックスを用意したのは、洗濯機の上にそのまま置かれてしまうと、ふいに裏側に落ちてしまうと面倒だからです。
実際の姿としてはボックスがあるか、ないかの差で、見た目に大した変化はありません。ただ「話して決めた」というだけでお互いのイライラ・モヤモヤが無くなりました。
暮らしの中で不便を感じたら、まずは話し合って、無理なくできる方法を考えて実行する。ほんのささいなことですが「暮らしやすさ」はこういったことの積み重ねです。
いかがでしたか?
長引く自宅生活。普段じっくり聞けないようなことを話すチャンスです。
イライラせずに、諦めずに。家族の想い、自分の想いに耳を傾けながら、「暮らしやすさ」について考えてみませんか?
記事監修
無印良品で商品企画&デザインを13年間務める。手がけた商品は500点超。調べた他社商品は5,000点超。2018年「ものとかぞく」を起業し、個人宅や店舗などの整理収納サービスやお片づけ講座を行うかたわら、雑誌やWebでも活動中。フォロワー5.1万人を超えるInstagramでは、マネしやすい整理収納アイデアやモノ選び情報を発信中。7歳4歳2歳の3児の母。