今だから楽しみ、学べること。フランス発祥のマスクアートプロジェクトに挑戦してみよう!

親子でアートを楽しむ方法を紹介している「リトル・アーティスト・リーグ」です。よくこんな相談を受けることがあります。「子どもにはさまざまなことを知ってほしいけれど、アートってどう触れさせたらいいのか分かりません」と。そんな方にでも親子でアートを楽しめる方法をご紹介します

コロナ禍の2020年だからこそ挑戦したいマスクアート

2020年のコロナ禍では、マスクが日常生活で必須となりました。そんなマスクをアートすることで、様々な社会問題を考えるきっかけとしようという動きが盛り上がっています。

MASKBOOKは、2014年にCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)の開催を契機にはじまった、アートプロジェクトです。大気汚染・温暖化・パンデミックなど、「環境と健康に関係のあるテーマ」を題材にマスクをアートすることを呼びかけ、オンラインでギャラリー展示が見れ、自分の作品を応募するとオンラインギャラリーに展示もされます。

社会問題を考えアート制作をするのは、夏休みの自由研究にも最適ではないでしょうか?まずは、親子でMASKBOOKのオンラインギャラリーを見てみましょう!

 

MASKBOOKで学ぶ環境問題

MASKBOOKのオンラインギャラリーを見て親子で話し合うだけでも、その作品に込められた問題を見つけることが出来ます。

●大気汚染問題

人間の経済・社会活動によって、大気中の微粒子や有害な気体成分が増加し、環境や人体に影響を与えることが問題となっています。「酸性雨」「PM2.5」「黄砂」「光化学スモッグ」などで、大気汚染物質は気候変動にも影響を与えているとされています。

「BREATHE PURITY」by TIMOTHÉE PARIS, FRANCE

●温暖化問題

2100年には、地球全体の気温が5度上昇するとされています。気温が上昇すると、北極や南極の氷が溶け、海面が上昇し、家を失う人も出てきます。また今既に起こっている気候変動は、干ばつや水害の激化をもたらしています。温暖化の大きな要因として、二酸化炭素(CO2)が大気圏にベールとして溜まってしまい、それがビニールハウスのように地球の熱を放出しない問題があります。二酸化炭素の排出量を減らせる一つの方法は、地球上の森林を増やすことです。木は二酸化炭素を吸収して光合成により酸素を排出してくれるのです。

「THE CHOICE IS YOURS」by TAMARA HADDAD BEYROUTH, LEBANON

●ゴミ問題

ゴミが増えるとその行方をどうするかという問題があります。一つ目は焼却ですが、そこにプラスチックなど有害な物質が含まれていると二酸化炭素も排出され、大気汚染につながります。ゴミの埋め立ても土地の確保が必要となり20年以内にはゴミ埋め立て地がなくなってしまうと予測されています。

また、ペットボトルやプラスチックは便利で一気に普及したことにより、至るところでゴミとして散乱するようになってしまいました。ゴミを餌と間違って食べてしまってお腹の中に一杯ゴミがある鳥や魚も多数見つかっています。既に世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で1億5,000万トン。そこへ少なくとも年間800万トン(重さにして、ジャンボジェット機5万機相当)が、新たに流入していると推定されています。

ゴミのたった19%が、リサイクルされたり堆肥化されているといいます。ゼロウェイストを目指す世界の都市も増えていってますが、一人一人が意識をもって取り組まなければならない問題です。

「SEE THE SEA !」by JULIE ANSEL AND SHASHA BURLET VILLECRESNES, FRANCE

●新型コロナの感染症問題

目に見えないウィルスの感染は、度々映画でも取り上げられています。1980年深作欣二監督の「復活の時」、2009年「感染列島」、2011年のアメリカ映画「Contagion」、2015年のアメリカ「Outbreak」などがあります。

目に見えないウィルスを体内に入れないようにしたり人に感染させないようにする苦労のみではなく、ソーシャルディスタンスの必要性は孤立や経済悪化など、非常に複合的な問題であることが浮き彫りになっています。

今もなお直面している世界的パンデミックを機に、親子で話し合いながら、ウィルスをテーマにアートマスクの制作をしてみるのはいかがでしょうか?

「COVID’STYLE」by ADÈLE FLEURY LOUVROIL, FRANCE

●サスティナビリティとSDGs

サスティナビリティ(Sustainability)は、「持続可能性」と日本語に訳され、「今が良ければいい」のではなく、将来に渡って、良い社会と自然環境を保ち続けることを目指した取り組みなどで使われます。特に最近は企業の環境保護活動や社会貢献活動、また企業倫理への取り組みなどでも重要視されています。

SDGs(Sustainable Development Goals、エスディジーズ)は、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標です。地球上の「誰一人取り残さない」を合言葉に、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサルな目標です。マスクアートのテーマを決める際のヒントにしてみてはいかがでしょうか?

MASKBOOKでアート制作

①テーマを決める

MASKBOOKは、「健康と環境」をテーマにしています。上記のSDGsを足掛かりに、どのようなテーマでアート制作をしたいか、話し合いましょう。お子さんが作ったものに、環境問題をくっつけて話をしてみるのも一つです。

②材料を集める

材料は極力、リサイクルできるものや家にあるものを使いましょう。素材によって、糸で縫い付けたり、ノリで貼ったり、針金で固定したり、と様々な素材に触れる良いチャンスです。

③ポートレート写真を撮影する

作った作品を装着してポートレート写真を撮影しましょう!詳しいやり方は後述を参考にしてください。

④撮影した作品を応募する

応募の際、作品のタイトルや説明文が必要になります。制作をしながら、お子さんと話し合って決めていくのが良いかもしれません。応募はこちらのページからできます。通常顔をインターネットに投稿するのは抵抗がある方でも口の部分がマスクで覆われていますし、名前も本名である必要はありません。

MASKBOOKで学ぶプレゼンテーション

アート作品が出来たら、かっこいい写真を撮影しましょう。人にどう見せるかのプレゼンテーションの練習になります。チュートリアルでも、問題の考え方や写真の撮影方法が記載されていますので、是非ご覧ください。

  • 背景は無地で、柄などは避けて撮影します
  • 横向きで撮影し、真ん中胸上のポートレート写真を撮影します
  • 目は覆わないように、あごを上げたり下げたりせず、他の写真と同じアングルで撮影してみましょう
  • 写真撮影に光が重要です。太陽光が入ってくる窓近くでの撮影などがおすすめです。

LITTLE ARTISTS LEAGUEが作った作品

(C)LITTLEARTISTSLEAGUE photo by Nanako Koyama

新型コロナウィルスという目に見えない脅威にさらされ、世界中の人が自宅隔離を余儀なくされている2020年。今まで当たり前だった自由な外出がリスクに変わり、隔離社会での生き方を新たに模索せざるを得ません。マスクを装着することで、我々もクラゲが海を浮遊するように、外出できることが重なります。

また環境問題により、大量の種が絶滅危惧される時代に相反したクラゲの増殖は、現代の惨状を皮肉にも映し出していると言えます。クラゲの捕食者であるマグロやウミガメが減少し、海洋の「ジェリフィケーション(クラゲ化)」が進んでいます。わずか数センチのプラスチックごみでも、クラゲの繁殖コロニーとしての機能を果たすことができるそうです。

ソーシャルディスタンスを確保する必要がありながらも、我々は精神的なつながりや交流を求めていて、新しい形のつながりをクラゲの触手で表現しています。

開催概要

新型コロナウイルスが引き起こしたパンデミックや環境問題をテーマにマスクをアート制作し、ポートレート写真作品をデジタル応募して頂き、オンラインギャラリーに展示します。

応募先:https://www.littleartistsleague.org/events/maskbook
期間:2020年8月1日~12月31日まで
(オンラインギャラリーは引き続き展示されますが、LITTLE ARTISTS LEAGUE での募集は終了となります)
対象:どなたでも無料で参加可能
(応募の際に必要条件が満たされない場合は、展示されないことがございますこと、ご了承くださいませ)
主催:LITTLE ARTISTS LEAGUE
共催:Art of Change 21
助成:横浜市地域文化サポート事業・ヨコハマアートサイト2020
※このプロジェクトは横浜トリエンナーレの応援プログラムです。

教えてくれたのは、LITTLE ARTISTS LEAGUEのメンバー。

LITTLE ARTISTS LEAGUEは母になった、アーティストママが立ち上げた、
親子へ向けた、本気でアートをやっていく活動団体です。

今回の記事で取り組んだのはコレ!

  • 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 12 つくる責任つかう責任

SDGsとは?

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