風の成り立ちと意味
風は音読みで「ふ」「ふう」、訓読みでは「かぜ」「かざ」、少し変わった読み方では「ならわし」「すがた」などと読みます。
古代中国で占いの結果などを亀の甲羅に刻み込んで記録したものを甲冑文字と呼び、風は、もともと甲冑文字で鳥をあらわしたものが元になっています。これがのちに形を変え、風の漢字が生まれました。自然現象としての風のほかに、風習などの習わしや人の噂、「~風」などの姿や雰囲気を伝える言葉など、多種多様な意味の言葉に使われています。

また、自然現象の風には季節ごとにさまざまな名前が付けられており、古来「春疾風(はるはやて)」や「薫風(くんぷう)」など詩や俳句で使われる風流なイメージの漢字でもあります。
空気が動き流れる自然現象をあらわす風は、その性質から「風向きが変わる」「追い風が吹く」など物事の動きを形容したり、「風光る」「風冴える」など季節ごとの美しいシーンを表現するために用いられたりすることも。
同じ場所に留まらず気ままに吹く風は、人がコントロールできない自然のありさまや運命、季節に応じて変化するしなやかな存在としてさまざまな場面で登場する、長く活躍し愛されている漢字なのです。
参考:ジャパンナレッジ
名前における風のイメージ
季節や運命、形容句など、まさに風のように状況に応じてさまざまな意味に変わる漢字ですが、名前においてはどのような意味やイメージがあるのでしょうか? ここでは、風を使った名前にはどんなイメージをまとわせることができるのか解説します。

何にも縛られない自由さ
自然現象の風の性質から、「風の吹くまま」「明日は明日の風が吹く」など一か所に留まらず、何物にも縛られない自由闊達なイメージを持つ風。
名前に使えば、風のように「自由にしなやかに、世の中を渡っていけますように」という願いが込められます。1つの考え方や価値観にこだわらない、素直で柔軟な心を願うママパパにもおすすめです。
豊かな感受性
季節の移り変わりを人に知らせる風。古来、人々は、風が運ぶ季節の薫りや光、温度を感じて季節が変わったことを知り、そして自然の美しさを風という漢字を使ってさまざまな形で表現してきました。
今も愛される古典文学や詩歌のなかでは、風を使った多種多様な文学的表現が数多く見られます。このことから風を使った名前には、自然を愛し、変化に敏感な豊かな感受性を持った人という意味が込められます。
周囲の人に元気を運ぶ人に
雲を動かして雨を降らせ、酸素を運び植物を育むのが自然界での風の重要な役割です。観葉植物が元気に育つためには、水や光だけでなく風に当てることも重要なのが知られているように、風は自然にとって無くてはならないものなのです。
このことから、風を使った名前には周囲の人に元気を与える、必要とされる人になってほしいという願いが込められます。
風の名前をつけるのは良くない?
「風」という漢字は、自然・自由・流動性・爽やかさなどを象徴する意味を持ちます。名前に使うことで、のびのびとした感性や、柔軟な心を持った人に育ってほしいという願いを込めることができます。しかし一方で「風の名前はよくない」と言われることも。その理由には以下のようなものがあります。
・「風」は変化や移ろいを象徴するため、落ち着きがない印象を持たれることがある
・風邪(かぜ)や風評など、ネガティブな言葉にも使われるため、連想が気になる人もいる
・画数のバランスが悪いと、姓名判断で凶とされるケースがある
「風」という漢字は画数が9画で、姓名判断では「空虚・孤独・不安定」といった意味を持つ場合もあるため、他の漢字との組み合わせが重要です。
風を使ったおすすめの名前をご紹介!
ここからは、風を使った名前のおすすめを男の子、女の子それぞれでご紹介していきます。
男の子の名前
風磨(ふうま)
「磨」は“みがく”“鍛える”を意味する漢字で、努力や向上心を象徴します。風のように自由な感性を持ちながら、自分を磨き続ける人という意味が込められた名前です。知性と行動力を兼ね備え、芯のある人に育ってほしいという願いが込められます。
風雅(ふうが)
「雅」は“上品”“みやび”を意味する漢字で、品格や美意識を象徴します。風のように自然体でありながら、品のある振る舞いを大切にする人という意味が込められた名前です。感性豊かで、芸術や文化に親しむような穏やかな人柄を願う名付けです。
風人(かざと、ふうと)
男の子の名前の止め字としても人気の人という漢字は、人そのものだけでなく人柄や性質をあらわします。風人は、風のように自由闊達で元気のある人という意味が込められる漢字です。
風太(ふうた)
豊かさや大きさをあらわす太という漢字は、男の子の名前に好んで使われます。風太は、豊かな感受性としなやかな心を持つ人になりますようにという願いが込められる名前です。
風守(ふうま)
もともとは家を守ることを意味する守という漢字は、名前でも大切なものを守れる、また守られて平穏無事に過ごせますようにという願いが込められます。風守には、風のような自由さを持ちながら守り守られる人でありますようにと願うことができます。
女の子の名前
風花(ふうか)
花のような華やかさや美しさを願って用いられることの多い花。風花という名前には、豊かな感受性や心の美しさ、周囲に好かれる人であってほしいという願いが込められます。
風羽(ふう)
「羽」は“はね”を意味し、自由や飛翔、軽やかさを象徴する漢字です。この名前には、風のようにしなやかで、羽のように自由に羽ばたく人に育ってほしいという願いが込められます。繊細さと行動力を併せ持つ、感性豊かな印象の名前です。
穂風(ほのか)
「穂」は稲穂などの実りを表す漢字で、豊かさ・成長・実直さを象徴します。この名前には、実りある人生を歩みながら、風のように優しく周囲に寄り添える人になってほしいという願いが込められます。穏やかで温かみのある響きが魅力の名前です。
風歩(かほ)
進歩、日進月歩など着実に前進するイメージを持つ歩。風歩という名前には、風のような自由な心と一歩一歩進むような堅実さをあわせ持つ人になってほしいという意味が込められます。
夏風(なつか)
生命力にあふれたエネルギッシュなイメージを持つ夏。夏風には元気ではつらつとした性格や、夏に吹く一筋の風のように人を和ませることができる人になりますようにという願いが込められます。
名付けのポイントと注意点
赤ちゃんの名前を考えるときにはどんなことに気をつければよいのでしょうか。名前の音や使う漢字の意味、字画などに名付けのポイントはあります。ここからは、名付けのポイントや注意点を見ていきましょう。

名前の響きは?
名前は書くことと同じくらい、声に出して呼び合うものでもあります。名付けの際には、候補の名前を声に出してみて、お子さんがその名前で呼ばれる場面を想像してみましょう。また名字とつなげて読み、バランスを見ることも大切です。
名前の意味は?
漢字単体の意味はもちろん、組み合わせによっても名前の意味は大きく変わります。ママパパにとってお子さんがどんな存在なのか、どんな人に育ってほしいのか、その願いを名前に込められる文字を探してみましょう。
姓名判断の結果は?
日本では昔から、人の運勢や性格を占う手段の一つとして名前の字画を数え、それをもとに吉兆を判断してきました。
神経質になる必要はありませんが、今はWebサイトなどで簡単に調べられるので、気になる方は試しに占ってみましょう。もっと本格的に姓名判断を行いたい方は、神社やお寺に出向いて依頼することができます。
自由で爽やかな「風」を名前候補に!
日常のさまざまな場面で使われる風は、名前でもポジティブで自由なイメージを持つ漢字でした。組み合わせる漢字によって、古風なイメージからおしゃれなものまで、さまざまな名前候補が生まれます。
赤ちゃんの名前候補に「風」を入れてみたいと考えている方や、「ふう」「か」といった読みが気になっている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
文・構成/HugKum編集部

