書き損じはがきが発生したら
はがきに文字を書くときには、どれほど注意していてもミスは起こるものです。子どもが友だちに年賀状を書く際に字を間違えたり、自宅のプリンターで印刷しようとして、失敗したりするケースも考えられます。
書き損じた箇所を修正して送るのは相手に失礼なので、新しいはがきに書き直すしかありません。しかし、郵便料金が含まれるはがきの場合、そのまま捨てるとお金が無駄になります。
書き損じはがきは交換や寄付の対象なので、有効に活用しましょう。それぞれのやり方を簡単に紹介します。
1.郵便局で交換が可能
書き損じはがきは郵便局の窓口に持参すれば、1枚5円の手数料で新しいはがきや切手と交換できます。買い直すよりも経済的なので、新しいはがきや切手が欲しい人にはおすすめです。
ただしほとんどの場合、年賀はがきのような「くじ引番号付き郵便はがき」には交換できません。当年度の年賀はがきのみ、販売期間中に限り新しい年賀はがきに交換してもらえます。
従って昨年以前に書き損じた年賀はがきを持参しても、今年の年賀はがきとは交換できず、普通のはがきや切手を受け取ることになります。
手紙を出す機会が少ない人にとっては、使う予定のないはがきや切手が増えるだけで、あまり意味がないかもしれません。
2.寄付をしてさまざまな活動を支援
書き損じはがきを無駄にしたくない人は、団体への寄付を検討してみましょう。国内にはさまざまな支援団体があり、運営資金の多くを寄付に頼っています。
寄付は現金だけでなく、書き損じはがきや未使用の切手なども対象です。全国から届いたはがきや切手類は、団体側がまとめて郵便局に持ち込み、新しいはがきや切手に交換します。
交換後はそのまま郵便料金にあてることもあれば、買取業者を通して換金することもあります。
寄付の対象となるはがき
寄付の対象となるはがきは、基本的に郵便局で交換できるものと同じです。対象外のはがきを送ってしまうと、団体のスタッフに迷惑がかかるので注意しましょう。寄付対象はがきの見分け方を解説します。
未投函の料額印面はがき
寄付の対象は、「料額印面」が印刷された「未投函」のはがきです。料額印面とは、郵便料金を示す切手のような絵柄のことです。
料額印面があり、一度も投函していなければ、過去の年賀はがきや古いはがきも寄付できます。なお、宛先不明で戻ってきたものは、一度投函されているため対象外です。
ただし投函済のはがきや切手類を、寄付の対象としている団体もあります。捨てる前に念のため、公式サイトで詳細を確認しましょう。
バツ印を書く場合は注意して!
年賀はがきのように一度にたくさんの枚数を書く場合、書き損じの目印としてバツ印を付けておく人も多いのではないでしょうか。
このときに料額印面を汚してしまうと、郵便局での交換や寄付ができなくなります。バツ印を付ける行為自体は問題ありませんが、勢い余って料額印面にかからないように注意しましょう。
書き損じはがきの寄付先
書き損じはがきを寄付できる団体は、複数存在します。この機会に応援したいと思える団体を探してみましょう。主な寄付先と活動内容を紹介します。
日本ユネスコ協会連盟
「日本ユネスコ協会連盟」は、子どもへの教育支援や世界遺産保護などを中心に活動する団体です。書き損じはがきは、発展途上国の子どもに学びの場を提供する「世界寺子屋運動」の活動資金として活用されます。
日本ユネスコ協会連盟では、はがきや切手だけでなく、未使用の商品券・図書券・プリペイドカードなどの寄付も可能です。眠ったままの金券類がある人は、一度引き出しをチェックしてみるとよいかもしれません。
シャプラニール
「シャプラニール」はバングラデシュを中心に、児童労働や女性の貧困問題の解決に取り組む団体です。バングラデシュには家事使用人として1日中働かされ、学校に通えない少女が大勢います。
シャプラニールの活動は、支援センターを運営して少女たちに教育機会を提供するだけではありません。雇い主や住民の意識改革、現地政府への働きかけを行い、子どもが働かなくてもよい社会の実現を目指しています。
寄付の対象は、未投函のはがきや切手類で、1枚から郵送可能です。年賀はがきの書き損じが増える年末から春にかけて、キャンペーンを実施することもあります。
あなたのはがきが、だれかのために。キャンペーン | シャプラニール=市民による海外協力の会
日本盲導犬協会
障がい者支援に関心がある人は、「日本盲導犬協会」への寄付がおすすめです。日本盲導犬協会では、盲導犬育成や指導者の養成、視覚障がい者のリハビリテーション事業などを行っています。
書き損じや未使用はがきの寄付を受け付けており、集まったはがきは切手と交換して通信費にあてられます。はがきの他に、古い携帯電話や使う予定のない贈答用洗剤なども寄付可能です。
ケア・インターナショナル ジャパン
「ケア・インターナショナル ジャパン」は、主に立場の弱い女性の人道支援に取り組む団体です。活動範囲は世界100カ国以上に及び、ネットワークを生かして紛争や自然災害の被災者への支援も行っています。
ケア・インターナショナル ジャパンでは「あつめて国際協力」の名称で、書き損じはがきを始めとする不用品の寄付を呼びかけています。外国の紙幣や硬貨も対象なので、海外旅行のときに持ち帰った外貨が眠っている人は探してみましょう。
あつめて国際協力 〜物で寄付〜|ケア・インターナショナル ジャパン
書き損じはがきなど収集強化キャンペーン実施中!「あつめて国際協力」へのご協力をお願いします|ニュース|ケア・インターナショナル ジャパン
緑の地球防衛基金
「緑の地球防衛基金」は、深刻な森林破壊から地球を守る活動をしている団体です。地球では近年、開発や開墾による過度な伐採・異常気象・山火事などが原因で森林面積が減少し、砂漠化が進んでいるといわれています。
緑の地球防衛基金では、砂漠化の深刻な地域や荒廃地の環境を改善するため、継続的に植林を進めています。
使用済み切手や外国の切手も対象なので、手紙をやり取りする機会が多い人は、切手の部分を切り取って集めておくとよいでしょう。
世界の子どもにワクチンを 日本委員会
「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」は、発展途上国の子どもにワクチンを贈る活動をしている団体です。ワクチンを接種できずに亡くなる子どもは、世界中にまだたくさん存在します。
20人の子どもにポリオワクチンを届けるためには、400円ほど必要とされています。1人当たりで換算すると、たったの20円です。書き損じはがき1枚で、2~3人の子どもを救えます。
書き損じはがきを寄付する際の注意点
書き損じはがきを寄付する場合、宛先や差出人の住所氏名を他人に見られるおそれがあります。個人情報が漏れれば宛先に迷惑がかかる可能性があるため、十分な注意が必要です。個人情報を守りつつ、はがきを寄付する方法を紹介します。
個人情報は塗りつぶしがベター
寄付したはがきは、そのまま郵便局へ持ち込まれるため、基本的には団体側から個人情報が漏れる心配はありません。郵便局でも、交換済のはがきは適切に処分することになっています。
とはいえ、送ったはがきが郵送事故や盗難にあう可能性はあります。送る前に、個人情報の部分を油性ペンやスタンプなどを使って塗りつぶしておくと安心です。塗りつぶすときには、料額印面にかからないように注意しましょう。
その1枚で誰かを救うことができるかも
書き損じはがきが誰かの役に立つことは、なかなかイメージできないかもしれません。しかし書き損じはがきを寄付して欲しい団体は多く、たとえ1枚しかなくてもきっと感謝されることでしょう。
郵便料金を無駄にせず寄付にまわす行為は、子どもの情操教育にも役立ちます。この機会に親子で一緒に、寄付できるものがないか探してみてもよいでしょう。
構成・文/HugKum編集部