2歳児におすすめの絵本9選|読み聞かせのポイントもプロが解説

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ストーリーのあるお話も理解できるようになってくる2歳。どんなふうに絵本を選ぶのが正解? 絵本にあまり興味がない子も夢中になれる一冊とは? 読書アドバイザーとして、子どもの読書環境を整える活動をしている絵本のプロ、児玉ひろ美さんに教えてもらいました。

2歳児に読み聞かせる絵本のキーワードは【達成感】

2歳児ってこんな時期

ストーリーのあるお話も理解できる!

体も成長し、話す言葉も日に日に増える2歳児。転ぶことなく歩けるようになり、走ったり、跳びはねたりなど、いろいろなことが以前よりも上手にできるようになります。まだひとりではできないことでも、「自分でやりたい!」と意欲は満々。
絵本の中で出会うことにも積極的に興味を示し、耳で聞く言葉と目で見る絵をもとに、イメージを膨らませてお話を理解するようになっていきます。できること、できないこと、やりたいことを考え始め、絵本の中の主人公と自分を重ね合わせて、お話を楽しむことができるようになるのです。

登場人物と一緒にドキドキ、 ハラハラできるお話に満足感を得る

ものには名前があり、見知った身近なものに興味・関心が向く1歳児。2歳になると、知っているものに反応するだけではなく、その体験をもとにお話を膨らませて楽しめるようになります。
昔話のような未知のお話を想像することはまだ難しいものの、単純なお話であれば、ストーリーを追って理解することができます。たとえば、ロシアの民話『おおきなかぶ』(トルストイ/作)は、2歳児にも人気の絵本。「うんとこしょ、どっこいしょ」というかけ声にがんばるイメージを感じ取り、登場人物の姿と自分の体験とを組み合わせて、一緒にハラハラしたり、ドキドキしたり。お話の結末に安堵や満足感を覚えたりもするようになります。

男の子も女の子も、2歳の絵本選びは、主人公と自分を重ねて「やりたいこと」 を実現できるお話に

「○○ができる」というお話が大好き

「自分でパンツがはける」「自分でボタンをかけられる」。この時期の子どもにとって、「自分でできる」ということはとても重要なこと。ですから、子ども自身が上手になりたいと思っていること、達成したいと思っていることが描かれていると、登場人物に感情移入して楽しむことができます。「○○ができる」というお話が大好きなときです。

『おおきなかぶ』は2歳の鉄板絵本

前述した『おおきなかぶ』は、「うんとこしょ」とがんばる気持ちに共感し、ついにかぶが抜けたところで「やった!」と大きな達成感を得ます。子どもたちは自己を肯定された気持ちになり、同時に満足感を得るのです。「衣類の着脱」「おかたづけ」なども、この時期の子どもたちの共感を得やすいテーマのひとつといえるでしょう。

読書アドバイザーが選ぶ2歳児に読み聞かせたい絵本

『おおきなかぶ』

トルストイ/作 福音館書店

必ず読み聞かせてあげたい一冊。単純な言葉の繰り返しと動作の積み重ねが、子どもを達成感に導きます。

ママパパの口コミ

「この絵本は子どもが大きくなった今でも時々読み聞かせをしていて、絵本から情景が出てくるようでやっぱりいいなあと思う。忙しいときもあるけど、絵本は読んで聞かせてあげると一緒に世界に入っていけて、続けてよかったと思います」
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生活のいろいろなことが興味の対象に。2歳後半にはジャンルの幅も少しずつ広げて!

この時期の子どもは大人をよく見ていて、それをマネして遊ぶのが大好き。ままごと遊びに夢中になったり、お母さんのお手伝いをしたがったり。携帯電話やスマートフォンなどにもさわりたがります。大人のするいろいろなことが「やりたい」のです。
3〜4歳になると生活のおおよそのことができるようになり、それを題材にした作品を楽しめる「子守り話期」に入りますが、2歳の後半になると、徐々にそこに進みつつあります。それらのジャンルも少しずつ読み聞かせに加えていくといいでしょう。

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2歳は暗記できるほど言葉のくり返しがある絵本が大好き

美しい言葉、楽しい言葉が使われている絵本を

言葉のくり返しやリズミカルな言葉も大好き。美しい言葉、楽しい言葉が多く使われていることも絵本選びのポイントになります。おすすめはたとえばこんな本!

『おんなじ おんなじ』

多田ヒロシ/作 こぐま社

「おんなじ おんなじ」という言葉を何度もくり返します。実際に「おんなじ」なことも2歳児の好きなものです。何回でも、くり返し読んで楽しめます。「おんなじ」なことを子どもたちが納得できるよう、ぜひ絵をしっかりと見せてあげてください。

ママパパの口コミ

「子どもと楽しめた」(40代・大阪府・子ども4人)

絵本に興味がない2歳児には、しかけのある絵本も効果的

遊びがきっかけで絵本好きに!

一方、読み聞かせになかなかなじめない子どもには、遊ぶ絵本を読んでみてはいかがでしょう?『どっちのてに はいってるか?』(新井洋行/作)は、絵本の問いかけに子どもたちが指さしで答えるしかけで、お話を聞き通せない子どもでも楽しく遊べます。遊びをきっかけに絵本に親しむことができるようになるといいですね。

『どっちのてに はいっているか?』

新井洋行/作 偕成社

どっちの手にはいっているかを答える参加型の絵本です。

ママパパの口コミ

「子どもは楽しんでいたのでよかったです」(40代・神奈川県・子ども1人)

2歳児への絵本の読み聞かせは、言葉の繰り返しや心地よいテンポを守って

はっきりと聞かせ、ゆっくりと間をとる

2歳児に限らず、乳児期は言葉が育つ大切な時期。はっきりと言葉を聞かせ、ゆっくりと間をとってページをめくりましょう。
声に多少の抑揚はつけてもかまいませんが、ストーリーのあるお話を読むようになったら、徐々に自然な読み方で聞かせるようにしていきましょう。特に言葉のくり返しや擬音語、擬態語は、心地よい流れやテンポを壊さないことが肝心。よけいな説明は加えずに読み進めます。

読み聞かせの環境づくりや、何度も読むことで絵本好きな2歳に

より絵本の時間に入り込めるようにじゅうたんやラグを敷いて演出を

歩き始めた1歳児のころに比べると、落ち着きも出てきて、集中してお話を聞けるようになってきます。大人数で一緒に絵本を聞くこともできるようになり、20分ぐらいであれば継続してお話を楽しめる子どもも出てくるでしょう。子どもたちがスムーズに絵本の世界に入っていけるよう、じゅうたんやラグを敷いて絵本の時間を演出するのも効果的です。

「もう一回!」 は好きの表明。気に入った絵本は何度でも読み聞かせを

思いを言葉にできるようになると、お話を読み終わったとたんに「もう一回!」と、くり返しを望む子どもも出てくるでしょう。どれも短い絵本ですから、時間が許すのであれば、何回でも読んであげましょう。2冊読む予定だったとしても、その1冊はあきらめてかまいません。この瞬間の子どもには読んだばかりの1冊がスペシャルなのです。「絵本って楽しい!」と思える体験を、いっぱい積み重ねてあげたい時期です。

2歳の女の子にプレゼントしたいおすすめの人気絵本リスト

お誕生日やクリスマスプレゼント、実家帰省のお供に

『やさい』

平山和子/作 福音館書店

八百屋さんに並んでいる野菜の様子が描かれています。中には、自分の食べている野菜と絵が、すぐには結びつかない子もいることでしょう。言葉をはっきりと読み、絵を十分に見せてあげましょう。

ママパパの口コミ

「文字を読んでいる時間と次のページをめくるまでの時間との間に、子どもが絵本に手をあてて触って想像をふくらませて、楽しんでいました。 今は子どもが自分で読むようになりましたが、冷蔵庫にある野菜やスーパーの売り場で、同じように触って確かめるように楽しんでいます。 このシリーズの『くだもの』もお気に入りの本のようです」(40代・神奈川県・子ども2人)

『くまのテディちゃん』

グレタ・ヤヌス/作 湯沢朱実/訳 こぐま社

「これは○○の!」と、自分の持ち物がうれしい時期におすすめです。リズム感のある文章が、少しずつ長くなり、最後のページは「さあ ねるじかんです。テディちゃんは(中略)ねむります 」。お昼寝の前に読むのもよいでしょう。

ママパパの口コミ

「また読んでと言ってました」(40代・千葉県・子ども1人)
「とても楽しく喜んでくれました」(40代・東京都・子ども1人)

2歳の男の子にプレゼントしたいおすすめの人気絵本リスト

男の子の好奇心をくすぐる絵本をチョイス

『くらい くらい』

はせがわ せつこ/文 やぎゅうげんいちろう/絵 福音館書店

真っ暗な部屋にシルエットで「まっくら くら くら くらーい くらい でんきを つけて ちょうだい」。子どもは少し怖く感じるので声を抑えるくらいの読み方がちょうどよく、「ついた!」は明るく軽やかに。シルエットを想像したり、言葉のリズムを楽しんだりで大人気。

ママパパの口コミ

「年長くらいから、もう好きな絵本を勝手にどんどん読み始めるので、くらいくらい、と言いながら親子でゲラゲラ笑ったり、怖がったりしたあの時間は本当に貴重だったんだなと思います」

『じゃぐちをあけると』

しんぐう すすむ/作 福音館書店

水を目の前にした子どもの、やってみたいことおよそすべて、絵本の中で遊ばせてくれます。読みながら描かれている動作を、そのままページをめくる手で再現しましょう。蛇口を知らない子でも、水なら楽しめます。

ママパパの口コミ

「オノマトペが面白い」(40代・東京都・子ども1人)

セットで買いそろえたい、2歳向けの「遊ぶ」絵本

セットで買いそろえたい2歳向けの「遊ぶ」絵本

遊べる絵本は、絵本好きになるきっかけづくりに

『きんぎょが にげた』

五味太郎/作 福音館書店

読み聞かせというより、まさに遊ぶ絵本です。中扉で金魚をしっかり見せ、金魚を印象づけてください。あとは軽やかに読んでいきましょう。子どもたちが指さしで金魚を見つけていきますが、なかには戸惑う子もいます。ページをめくる前には必ず、正解を指さししましょう。

ママパパの口コミ

五味太郎さんの「きんぎょがにげた」は我が家の宝物。本当に楽しくって、普段の生活でも金魚を探しているくらい。この間も紅葉した葉っぱを見て、「あそこに金魚が隠れてるんだよ!」って子どもが話していました」

『たまごのあかちゃん』

神沢利子/文 やぎゅうげんいちろう/絵 福音館書店

楽しく言葉の掛け合いができる絵本です。「でておいでよ」「こんにちは」は、子どもと一緒に読みましょう。卵の大きさや形、数、色、子どもの様子など。表紙から裏表紙まで、子どもは絵から情報を読み取ります。十分に絵を見せ、ページをめくってください。

ママパパの口コミ

「子どもにとっては、綺麗で可愛い絵じゃなくてもよかったりするんですよね。簡単なセリフで子どもがソラで覚えられるところも魅力です」

 

出典:『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』/児玉ひろ美

教えてくれたのは

児玉ひろ美|JPIC読書アドバイザー・台東区立中央図書館司書

JPIC読書アドバイザー 台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活躍。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。


※本記事は保育者向けに書かれた本を、パパやママ向けに再構成しました。

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再構成/HugKum編集部、イラスト/小泉直子

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