幼児期の子どもは、赤ちゃんの頃にくらべると体や動きがしっかりしてきます。幼児期は、子どもにとっては生きるための基礎的な力を身につける大切な時期といえます。この記事では、幼児期にスポットをあて、幼児期の発達段階と運動指針、幼児期の特徴と遊び、幼児教育などについて解説していきます。また、英語教育や幼児向けおもちゃについても紹介します。
幼児とは
「幼児」と聞くと、小さな子どもをイメージしますが、実際は何歳から何歳までをいうのでしょうか。まずは、乳児・幼児・小児の違い、赤ちゃんは幼児なのかなどを解説していきます。
幼児期は何歳から何歳まで?
幼児は、児童福祉法では「満1歳から就学前の子ども」と定義されています。就学前は小学校に入る前のことをいうので、満1歳から小学校に入っていない6歳の子どもが幼児となります。
乳児・幼児・小児の違い
子どもを示す言葉には、「乳児」「幼児」「小児」があります。それぞれの違いは、
・乳児は、児童福祉法で「出生から満1歳未満まで」
・幼児は、児童福祉法で「満1歳から就学前まで」と定められています。
・小児は、「小児科」などの病院や、医薬品などの注意書きで使われる言葉で、7歳以上15歳未満の子どもをいいます。
赤ちゃんは幼児?
赤ちゃんは、法律の定めでは、出生から満1歳未満までは乳児、満1歳を過ぎると幼児となります。満1歳がわかれ目になっています。
幼児期の発達段階と運動指針
文部科学省は子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題をまとめ、また幼児期の運動の大切さを運動指針としてまとめています。それぞれどのような内容なのか見ていきましょう。
幼児期の発達段階
子どもにはもちろん個人差がありますが、共通して見られる発達段階があり、段階ごとに特徴があります。
幼児期は、
・身近な人や周囲の物、自然などとのかかわりを深めることで、興味や関心を広げ、認識力や社会性を発達させていく。
・食事やトイレ、睡眠といった基本的な生活習慣を身につける。
・子ども同士で遊ぶことで、豊かな想像力を育む。
・自分と違う他者の存在に気づき、相手の気持ちになって考える。
といったことを身につけていく段階と位置づけられています。幼児期はいわば、遊びを通して、人間生活の基本を身につけていく時期です。
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿とは?
文部科学省はさらに、子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題を「幼稚園から高校の学校教育を通して育む力」としてまとめています。そして、その最初のステップとして、幼稚園での生活を通して「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を発表しています。具体的には、
・健康な心と体
・自立心
・協同性
・道徳性・規範意識の芽生え
・社会生活との関わり
・思考力の芽生え
・自然との関わり・生命尊重
・数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
・言葉による伝え合い
・豊かな感性と表現
です。
ただし、子どもの発達や成長には個人差があります。そして上の項目は達成すべき目標などではなく、またひとつひとつを個別に習得していくようなものでもありません。子どもがその発育状況や個性に合わせて、遊びを通して、自然に身につけていくものです。
運動指針
幼児期は子どもにとって、人間生活の基本を身につけていく時期ですが、その一方で、生活が便利になったことで、子どもが体を動かして遊ぶ機会が減っていること、体力が低下していることが懸念されています。
さらに幼児期の運動は、心肺機能や骨の形成にも役立ち、その後の健康の基盤となります。文部科学省の「幼児期における運動の意義」では、
・体力・運動能力の向上
・健康的な体の育成
・意欲的な心の育成
・社会適応力の発達
・認知的能力の発達
を運動の意義として上げています。また、年齢別の運動の発達の特徴は次のとおりです。
3〜4歳ごろ
基本的な動きが未熟な段階から、体を使った遊びを通して、少しずつ上手にできるようになる時期です。遊びを通して、さまざまな動きを経験し、「体のバランスをとる動き」や「体を移動する動き」ができるようになります。
4〜5歳ごろ
3〜4歳ごろに経験した基本的な動きを身につけていく時期です。また、全身のバランスをとる能力が発達し、体全体でリズムをとったり、用具を使った動きも上手にできるようになります。
5〜6歳ごろ
無駄な動きや力んだりすることが少なくなり、動き方が上手になっていきます。「体のバランスをとる動き」「体を移動する動き」「用具などを操作する動き」がよりスムーズに行えるよう、これまでよりも複雑な動きの遊びやさまざまなルールでの遊びを経験する時期です。
参考:幼児期運動指針
幼児期の特徴と遊び
幼児期は、子どもが急速に成長する時期です。年齢ごとの特徴と、幼児期の遊びについて解説していきます。
特徴
幼児期には、年齢を追うごとに、行動や発言が変化していきます。年齢別の行動や発言の特徴を見ていきましょう。
1歳ごろ
自我が芽生えてきて、大人の真似をしたり、スプーンやコップなどの道具が使えるようになったり、手先も起用になっていきます。
また、自分の意志を、言葉や指差し、身振りなどを使って伝えられるようになります。
2歳ごろ
意欲的になんでも自分でやろうとしますが、まだうまくできなかったり、ママ・パパに止められることもあり、そのせいで「いやいや」を繰り返したり、反抗して自己主張をしたりします。
こうした行動は、自我が育っていることを表しています。根気強く見守ってあげてください。
3歳ごろ
好奇心がますます旺盛になり、知識欲も強まります。そのため、「なぜ?」「どうして?」「あれはなに?」などと質問することが多くなってきます。
ママ・パパは質問攻めに疲れてしまうことがあるかもしれませんが、できるだけ丁寧に質問に向き合ってあげてください。
4歳ごろ
時間や空間の認識、自分と他人の区別、他人の気持ちを理解する力などがアップします。ですが、その変化に不安や戸惑いを感じて、感情のコントロールがうまくできないこともこの時期の特徴です。
この現象は「4歳の壁」などと呼ばれ、子どもはもちろん、ママ・パパも戸惑うことが多くなりますが、4歳児ならではの現象です。むやみに叱らずに、落ち着いて子どもの話を聞いてあげるようにしてください。
5〜6歳ごろ
言語能力が発達し、口ごたえや言い訳などをするようになってきます。一般的に「中間反抗期」と呼ばれるものです。
この時期の子どもには、なぜ反抗するのか、言いたいことはなにかをよく聞いて、理解してあげることが大切です。
遊び
幼児期には、年齢が上がるごとにできる遊びも増えていきます。年齢に適したおすすめの遊びを紹介します。
1歳ごろ
つかまり立ちやひとり歩きができるようになります。手足の筋肉を鍛えるような運動遊びをするとよいでしょう。
たとえば、ボールを転がしたり、蹴ったり、大人の股をくぐったりなどです。室内では、積み木や手遊び、打楽器を叩くなどの遊びがおすすめです。
2歳ごろ
思い通りに走ったり、鉄棒にぶら下がったりなどができるようになる2歳児。お友だちと同じことをして遊ぶことが楽しくなってきます。
この時期には、好奇心を刺激し、心身の発達を促す遊びが最適です。屋外では、追いかけっこや電車ごっこ。室内では、手先の器用さを鍛える、紙ちぎりやブロック遊びなどがよいでしょう。
3歳ごろ
滑り台を下からのぼったり、三輪車をこいだり、ケンケンパができるようになります。また、お友だちと「ごっこ遊び」をするようになるのもこのころです。他者と楽しさを共感できるようになりますが、相手の思いを汲み取るのはまだ難しい段階でもあります。
おすすめの遊びは、ごっこ遊びや、ブランコなどの遊具遊びです。また、簡単なルールもわかるようになるので、鬼ごっこもできるようになります。そのほか、リトミックなどのリズム遊びで、体のバランス感覚やリズム感を養うこともおすすめです。
4歳ごろ
順番を守ったり、おもちゃの貸し借りなどの社会的なルールが理解できるようになります。また、お友だちに、自分の思いや考えを伝えられるようになり、遊びの幅が広がっていきます。
少し複雑なルールも理解できるようになるので、「だるまさんが転んだ」や「フルーツバスケット」といったゲーム性のある遊びもよいでしょう。
5〜6歳ごろ
遊びに独自のルールを加えたりして、工夫しながらお友だちと遊べるようになります。また、かくれんぼなど相手を意識した遊びや、ドッジボールなど体を思い切り動かす遊びもこの時期にぴったりです。
そのほか、連想ゲーム、しりとり、伝言ゲームなど、想像したり、考えたりするゲームもおすすめです。
幼児教育で大切なこと
ここでは、幼児教育を行ううえで大切なこと、幼児教育の必要性や効果を見ていきます。
無条件に愛されることで育まれる「基本的信頼感」
文部科学省の「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」のなかでは、「人に対する基本的信頼感の獲得」が重視すべき課題としてあげられています。
この「基本的信頼感」とは心理学用語で、「養育者を信頼することができる」感覚を意味します。幼児期に、この基本的信頼感を身につけることで、周囲の人を信頼でき、共感できるようになります。
子どもが基本的信頼感を身につけるには、ママ・パパが、たっぷりと愛情を注ぐこと、あるがままの子どもを受け止めることが不可欠です。
幼児教育の必要性とは?
幼児教育とは、幼児期に生涯にわたる学習の基礎をつくる教育をいいます。家庭内でのしつけや学習、習い事も幼児教育です。
幼児教育には、
・非認知能力(生きるための忍耐力・社会性・感情をコントロールする力)を伸ばす
・学習の基礎の形成
・自己肯定感が高まる
などの効果があるとされています。幼児教育は、生きていくうえでの重要な要素を育むことができます。
幼児教育に効果はある?
幼児教育の効果には、記憶力を育てる効果、想像力が育む効果、基礎体力を伸ばす効果などがあります。
考え方が柔軟なこの時期に幼児教育を行うことで、考える力を身につけ、将来の可能性を広げることができます。
おすすめの教材や本は?
幼児教育を行うためには、まずはママ・パパが幼児教育の考え方、進め方などを学ぶことが大切です。たとえば幼児教育の本では、子どもの能力を伸ばす方法や、子育ての悩み・不安の解消法、幼児教育についての詳しい知識を得ることができます。
幼児教育の教材としては、本のほかに、幼児向けの知育アプリもおすすめです。ひらがなや数字が学べるアプリや、好奇心や想像力を養い、感性を刺激するアプリもあります。
幼児教育無償化とは?
2019年10月にスタートした幼児教育無償化。0〜2歳までは住民税非課税世帯、3〜5歳は一律で幼稚園、保育園などが無償になる制度です。幼児教育無償化のメリット、デメリットを解説していきます。
幼児教育無償化のメリット
幼児教育無償化は、教育費の負担が軽減されることが最大のメリットです。また、金銭的な不安が解消されることで、少子化解消にもつながると考えられています。
そのほか、保育料の負担を気にせずに保育園や幼稚園が選べるようになり、教育の選択肢が広がります。
幼児教育無償化のデメリット
デメリットとしては、保育園や幼稚園にかかる費用がすべて無償になるわけではないことです。送迎費や給食費、行事費などは保護者負担となります。また、子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園は、別途手続きが必要になる場合があります。
もう1つのデメリットは、保育の質が低下する可能性が考えられることです。財源不足や、幼稚園に通う子どもの数が増えることによって保育士の負担が増えてしまい、保育の質の低下につながるのではないかと不安視する声もあります。
幼児期の英語教育は必要?
幼児教育のひとつとして、英語教育を幼児期からはじめたほうがよい、という考え方があります。幼児期の英語教育は本当に必要なのでしょうか。
幼児期から英語をはじめると、パッと英語が頭に浮かぶ「英語脳」や、英語をスムーズに聞き取ることができる「英語耳」が養われると考えられています。また、小さいうちから英語に親しむことで、英語への抵抗感がなくなることもメリットといえます。ですが、子どもが英語を「お勉強」として捉えてしまうと、苦手意識が生まれるかもしれません。
英語教育を幼児期からはじめるときには、親子で一緒に楽しむことが大切です。
どの程度やっておくべき?
幼児期の英語教育では、小・中学校で学ぶような発音を練習したり、文法を覚えたりする必要はありません。まずは英語に親しむこと、英語に興味をもつことからはじめましょう。
英語教室に通ってもいいですし、家で英語の歌を歌ったり、英語のアニメのDVDを見たり、英語の絵本を読み聞かせしたり、子どもむけの英語の絵辞典をながめたりして、英語を楽しむことからはじめてください。
教材や英語教室の選び方は?
幼児期の英語教育の教材は、CD、DVD、絵本、おもちゃなど、どんなものでもかまいません。とくにおすすめは、英語の音を聞かせること。音を聞くだけで、一定の効果が期待できると言われています。
また、英語教室の選び方のポイントは、
・英語を楽しみながら体験できる
・フォニックス(発音と文字の規則性を学ぶ音声学習方法)を身につけられる
・ネイティブスピーカーの先生がいる
といった教室を選ぶことです。こうした教室なら、楽しく意欲的に英語を学べるはずです。
おすすめの教材やDVD、アプリは?
DVDは、繰り返し見ても飽きないストーリーや音楽が入っているものがおすすめです。何度も繰り返し見るうちに、自然と英語が耳に入ってきます。
アプリを選ぶときには、子どもの今のレベルにあったものや、単語を覚える、会話を覚えるなど、目的にあったアプリを選びましょう。
幼児用おもちゃ・玩具で遊ぼう!
幼児期は遊びが大切。幼児用のおもちゃ・玩具には、知育玩具やゲーム・パズル、男の子向け、女の子向け、クラフトトイ、手作りおもちゃなど、さまざまなものがあります。ここでは、幼児に人気のおもちゃランキングと、手作りおもちゃのおすすめを紹介します。
幼児に人気のおもちゃランキング
「ベビーブック ベストおもちゃランキング2021」から、ランキングに入った幼児に人気のおもちゃを紹介します。
最も人気があったおもちゃは、ペンでタッチするとおしゃべりする「ことばずかん」。子どもたちは、タッチして音が出ることが楽しく、夢中になります。また、何度もタッチすることで自然に言葉が覚えられることも、このおもちゃのポイントです。
そのほか、想像力を育てるブロックや、3つの遊び方ができる足こぎ乗用玩具、しかけおもちゃ、自動車玩具、磁石タイプのお絵かきボードなどが人気でした。
また、1〜10位までのなかに、アンパンマンのおもちゃが7つもランクイン!不動のアンパンマン人気がうかがえます。
手作りおもちゃのおすすめ
身近にある、空き箱や紙コップ、フェルトなどを使って手作りおもちゃを楽しみましょう。既製品のおもちゃとは違った遊びが体験できます。
手作りおもちゃを楽しむポイントは、ゲーム性や簡単なルールを設けること。また、作るときにデザインや色などにこだわるのもおすすめ。お子さんといっしょに作ると、より楽しめます。
幼児期にはたっぷりの愛情を注いで
幼児期は子どもにとって、心も体も目覚ましい発達を遂げる大切な時期です。また生きていくために必要な基礎力を築く、重要な時期でもあります。ママ・パパにとっては大変な時期でもありますが、たっぷりと愛情を注いであげてください。
文・構成/HugKum編集部