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「世界環境デー」ってどんな日?
今、地球上では3秒ごとにサッカーグランド1面分の森林が消えています。また、過去1世紀の間に、地球の湿地の半分が失われました。さらに、年々温暖化が進み、サンゴ礁の約50%が死滅するなど、環境や生態系の破壊と喪失に歯止めがかかりません。
この事態を重く見た「国連(国際連合)」は、世界規模の環境問題に取り組むため、ある国際デーを制定しました。それが今回ご紹介する「世界環境デー」です。
2024年の「世界環境デー」はいつ?
では、国連が定めた世界環境デーとは、いつ行われる記念日なのでしょうか? まずは、2024年の世界環境デーの日付からご紹介します。あわせて、過去3年と来年以降3年の日付も確認しましょう。
今年の「世界環境デー」は6月5日水曜日
2024年の世界環境デーは6月5日の水曜日です。毎年この日が世界環境デーとなっており、世界各地でさまざな式典や活動などが行われています。
以下が過去3年と来年以降3年の世界環境デーです。
・2021年6月5日 土曜日
・2022年6月5日 日曜日
・2023年6月5日 月曜日
・2025年6月5日 木曜日
・2026年6月5日 金曜日
・2027年6月5日 土曜日
「世界環境デー」とは?
世界環境デーとは、環境問題に目を向ける国際的な記念日。ここからは、そんな世界環境デーが持つ具体的な目的、歴史や由来を解説していきます。
実は、この国際デーの制定には、日本が大きく関わっていました。
目的
国連が世界環境デーを制定した目的は、地球規模の環境や生態系の破壊・喪失を食い止め、世界の人々に環境保全・保護の重要性を認識させ、その啓発を図るためです。英語表記は「World Environment Day」になります。
6月5日の世界環境デーにあわせて、地球の環境を守るために設立された「UNEP(国連環境開発計画)」が、毎年異なるテーマを発表。世界が抱える環境問題への対策や解決に取り組んでいます。
歴史
1972年12月15日、国連総会で6月5日を世界環境デーとすることが決まりました。これは、日本とセネガルの共同提案により、採択されたものです。UNEPも、この国連総会で決議・発足しています。
世界環境デーの制定を皮切りとして、1983年には、地球環境保全の戦略を審議する「WCED(環境と開発に関する世界委員会)」が設立。さらに、1992年の「国連環境開発会議(地球サミット)」や2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(リオ+10)」、2012年の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」など、現在に至るまで、環境問題に関するさまざまな国際会議が開催されています。
由来
1972年6月5日~6月16日、スウェーデンのストックホルムで開催された「国連人間環境会議」が世界環境デーが生まれるきっかけとなりました。同会議には、世界113ヶ国が参加し、環境問題をテーマとした初めての世界的なハイレベル政府間会合が行われました。
この時に採択された共通見解7項の前文と共通の信念26原則からなる宣言が「人間環境宣言(ストックホルム宣言)」です。国際環境デーは、この国連人間環境会議を記念して制定されました。
「世界環境デー」のテーマ
世界環境デーでは、UNEP(国連環境開発計画)が記念式典を開催するホスト国を決め、テーマを発表しています。地球上のさまざまな環境の重要性を訴え、その理解を深めるため、毎年、その内容は異なっています。
UNEPが掲げる2024年のテーマは、どのようなものなのでしょう。
2024年のテーマは「私たちの土地、私たちの未来。私たちは#復元の世代」
2024年のテーマは「私たちの土地、私たちの未来。私たちは#復元の世代」です。
世界の土地の最大40%がすでに劣化しており、世界で約32億人が砂漠化によって悪影響を受けていると言われています。さらに、2050年までに世界人口の4分の3以上が干ばつの影響を受けると予想されています。今年の世界環境デーは、2024年12月に英国が主催する国連砂漠化防止条約(UNCCD)COP16に先立ち開催されるもので、土地と干ばつに関する過去最大規模の多国間会議となることが期待されています。
人間による環境破壊の影響は、気候変動、生態系の損失、土地の砂漠化など目に見える形で日々深刻化しています。この時代を生きる私たちには、環境を守り、あるべき状態へと土地や自然を回復させていく責任があるのです。
過去のテーマを振り返る
過去3年、世界環境デーに発表されたテーマを振り返っておきましょう。毎年、人類が取り組むべき地球規模の環境問題がテーマとして掲げられています。
2023年「プラスチック汚染への解決策」
2023年のテーマは「プラスチック汚染への解決策」。この年の世界環境デーでは、世界各国で様々なイベントが開催されました。プラスチック汚染のない社会の実現に向け、汚染問題に関する理解を深め、意識を高め、行動を喚起し、個人や組織を動員することを目的に実施されました。
2022年「Only One Earth(かけがえのない地球)」
2022年のテーマは「Only One Earth」“かけがえのない地球”でした。自然と調和して持続可能な生活を送る必要性と、政策と私たちの選択を通じてより環境に優しいライフスタイルに移行する可能性に焦点が当てられました。
2021年「生態系の回復(Ecosystem recovery)」
2021年のテーマは「生態系の回復(Ecosystem recovery)」です。UNEPは、地球上のさまざまな生態系が破壊され、本来の役割を発揮できないことに警鐘を鳴らしました。2021年のホスト国は、パキスタンでした。
「世界環境デー」の取り組み
UNEP(国連環境開発計画)が発表したテーマに沿って、世界中では、環境問題に対処するためのさまざまな取り組みが行われています。
2024年の具体的な取り組みをはじめ、過去3年の実際の取り組みを見ていきましょう。
2024年の取り組み
ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領は、6月5日にベルリンのベルビュー宮殿で 若者たちと世界環境デーのフォーラムを開催すると発表しました。このイベントは、自然回復と国連生態系回復の10年に基づくドイツの取り組みに焦点を当てます。
またサウジアラビア王国は、土地の回復、砂漠化、干ばつからの回復力に焦点を当てた水曜集会を6月5日に主催します。
さらに国連環境計画 (UNEP) と地球環境ファシリティ (GEF) は、カメルーン政府および地元の NGO と協力して、重要な生物多様性地域の法的保護ステータスを強化しています。
過去に行われた取り組み
ここからは、過去3年の間における具体的な取り組みをご紹介します。UNEPやホスト国がイニシアチブをとり、世界的な会議やイベント、呼びかけが行われてきました。
2023年の世界的な取り組み
2023年、UNEPはプラスチック廃棄物に関する包括的な実践ガイドを公開しました。このガイドは、個人・NGO・地域団体・科学・教育団体・政府・自治体・企業等、広く多くの人をターゲットに作成されました。プラスチック汚染に関する総合的な情報を提供し、問題の規模、解決策、プラスチック汚染がもたらす影響などを説明。英語と日本語を含む9ヶ国語で公開されているガイドブックは、より幅広い読者へのリーチを目指し、世界規模でのプラスチック廃棄物管理に対する認識と理解を目指しています。
またプラスチック汚染に特に焦点を当てたゼロ・ウェイストに向けた世界環境デーウェビナーが開催され、59の国と地域から129人が参加しました。
2022年の世界的な取り組み
2022年は、1972年の国連人間環境会議(ストックホルム会議)から50年目にあたり、ホスト国スウェーデンは50周年を記念し、6月2日と3日にハイレベル会議「Stockholm+50」を主催しました。
これに先駆けて4月25日に在日スウェーデン大使館オーディトリアムおよび展示ホールにおいて、プレ・ストックホルム+50ユース会議が開催されました。
2021年の世界的な取り組み
2021年は「国連生態系回復の10年(2021~2030年)」が正式にスタートする年にあたりました。人類と自然の関係を再調整し、世界が一丸となって、生態系の回復、気候変動の対処、絶滅危惧種の保護、食糧や水の安全保障などに取り組みました。
「世界環境デー」と類似した日本の記念日
世界環境デーの制定は、1972年の国連総会において、日本の提案があったからこそです。そして日本には、世界環境デーと似た独自の環境についての記念日があります。それが法律で定められた「環境の日」や「環境月間」です。
「環境の日」とは
日本では「環境基本法」によって「環境の日」が定められています。日付は、世界環境デーと同じ6月5日です。
環境の日は、すべての国民が環境保全に対しての関心と理解を深め、積極的な活動を行い、意欲を高める日。そのため、国や地方公共団体などでは、この趣旨にふさわしい各種のイベントなどを開催しています。
「環境月間」とは
1973年~1990年まで、6月5日を初日とした「環境週間」が行われていましたが、環境庁は、1991年から6月の1ヶ月間を「環境月間」と定めました。
環境月間にあわせて、環境保護に関連したいろいろなイベントが全国で行われています。
世界環境デーをきっかけに、身近なことから
世界環境デーは、世界中の人々が地球規模の環境問題と向き合う日です。1999年から毎年6月5日には、ホスト国が記念式典を開催しています。最初のホスト国は、世界環境デーの制定を提案した日本でした。そのときのテーマは「私たちの地球 私たちの未来 救うのは今!(Our Earth Our Future Just Save it!)」でした。
2024年のテーマである「私たちの土地、私たちの未来。私たちは#復元の世代」とともに、あらためて環境問題や生態系の危機を認識し、身近なところから環境を守る取り組みを始めてみませんか。
文・構成/HugKum編集部