赤ちゃんの指差しはいつから? 指差しの意味や種類、指差ししないときの対処法や練習法はある?

赤ちゃんが指差しをする仕草は、とてもかわいいものです。ですがこの指差し、どんな意味があるのかご存知ですか。

この記事では、赤ちゃんの指差しの意味、指差しはいつごろから始まるのか、指差しをしないときの対処法、指差しをうながす方法など、赤ちゃんの指差しについて解説します。

赤ちゃんのかわいい仕草「指差し」にはどんな意味があるの?

赤ちゃんの指差しってどんな行動?

指差しは、赤ちゃんの成長をあらわす行動のひとつです。どんな意味があるのか、いつ始まるのかなど、赤ちゃんの指差しについて、くわしく見ていきましょう。

参考:乳幼児の発達における共同注意関連行動について

赤ちゃんの指差しの意味

赤ちゃんの指差しは、大人のおしゃべりのようなもので、他者とのコミュニケーションを図るために行っている仕草です。具体的に、どういう意味があるのか、解説していきます。

興味を伝える

赤ちゃんは、興味があるものを見ると、それを指差します。たとえば、好きな食べ物やおもちゃ、動いているもの、キャラクターなどです。

指差しをすることでまわりの人に「あれはなに?」「もっと見てみたい」と、興味があることを伝えているのです。また、ほかのものと区別がついているという意味もあります。

大人の関心を引く

赤ちゃんは、指差しをして「ほら、あれを見て!」という気持ちをあらわすことで、まわりの大人の関心を引こうとしています。自分が興味をもっているものをまわりの大人に知らせて、同じように関心をもってもらうために指差しをしています。

感情を共有する

「かわいい!」「きれい!」「おもしろい!」といった感情を共有するために、指差しをします。赤ちゃんが指差しをしたとき、まわりの大人は「そうだね」「きれいだね」など、声かけをしながら共感を示してあげましょう。

赤ちゃんの指差しはいつから始まる?

赤ちゃんの指差しが始まるのは、生後8〜10ヶ月ころです。指差しには「自発の指差し」「要求の指差し」「共感の指差し」「応答の指差し」といった段階があり、成長時期に従って指差しの意味が変わっていきます。

ただし、これらの順番は入れ替わることがありますし、これから説明する時期も、あくまでも目安です。赤ちゃんの発達には個人差がありますので、赤ちゃんによって指差しの時期が異なることも覚えておいてください。

前段階として「目で追う」がある

指差しはある日、突然始まるわけではなく、前段階があります。「まわりの人が指を差したほうを見る」「自分以外の人の視線の先を見る」といった行動です。ものや誰かの視線を目で追うことができるようになった後、指差しが始まります。

自発の指差し:生後11か月ごろから

生後11ヶ月ごろに「自発の指差し」が始まります。

「自発の指差し」とは、見つけたもの、興味があるものを指で差すようになることです。このとき、赤ちゃんが指差ししているものの名前を教えてあげると、見たものと名前を一致させるようになり、言葉を覚えはじめます。

要求の指差し:1歳ごろから

「あれがしたい」「これがしたい」といった「要求の指差し」をするようになるのが1歳ごろです。このころになると、自我が芽生えてきて、自己主張を指差しによって行うようになります。

「あー」という声を出しながら指差ししたり、なかには、意味のある言葉を発しながら指さしすることもあります。ママ・パパは「こっちに行きたいのね」「バナナが食べたいの?」などと言葉にしながら要求の指差しに応じるようにすると、理解できる言葉を増やしていくことができます。

共感の指差し:1歳過ぎから

1歳を過ぎたあたりから「共感の指差し」を始まるようになります。

「共感の指差し」は、興味のあるものや新しく見つけたものを指差して、大人にも見てもらいたい、同じような気持ちになってほしいときに行う指差しです。これは、自分の気持ちを指差しすることで相手に伝えるというコミュニケーション能力のひとつの表れといえます。

応答の指差し:1歳半ごろから

1歳半ごろから「応答の指差し」をするようになります。「応答の指差し」とは、「わんわんはどこにいる?」「ブーブーはどれかな?」などの問いかけに、指差しで答えることです。この指差しにより、言葉と物の関係を理解していく時期といえます。

ちなみに、1歳半健診では、保健師さんが絵を見せて、言ったものを指差しできるかどうかのチェックが行われます。

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赤ちゃんはどんなふうに指差しをする?

赤ちゃんはどんなふうに指差しをするのか、指差しの種類を紹介します。

絵本を指差し

赤ちゃんは、絵本を見ながら指差しをします。これは、指差しによって絵本のなかの興味を持ったものを示していたり、「かわいい」「たのしい」「おいしそう」などの自分の気持ちをママに伝えようとしていることの表われです。

声を出しながら指差し

「あ!あ!」「あー」「うー」などと声を出しながら指差しをすることもあります。これは、大人に何かを伝えたいときの指差しです。「あそこに何かあるよ」「もっと見てみたいな」などというときには、声を出しながら指差しをします。

動くものを指差し

ひらひらと飛ぶチョウチョや、線路を走る電車など、動くものを指差しすることがあります。赤ちゃんは動くものに興味があり、指差しすることで興味を示す、いっしょに見てほしいという気持ちを伝えています。

赤ちゃんのこんな指差しは大丈夫?

赤ちゃんが「指差しばかりしている」「指差しが激しい」といった場合、発育に問題はないのでしょうか。

指差しばかり

指差しばかりすることは、「さまざまなものに興味がある」「注意をうながしている」「共感してほしい」のいずれかの意味を示していると考えられます。

まわりの大人が、指差しにしっかり応えてあげるようにすると、指差しの回数も落ち着いてくるでしょう。また、言葉を獲得していくことで、指差しは自然に少なくなっていくので、それほど心配する必要はありません。

指差しが激しい

指差しが激しい赤ちゃんは、自分の要求を必死になって伝えている可能性があります。要求にママやパパは応えてあげていますか。

赤ちゃんが指差しをしたほうを見て、「まんまが食べたいの?」などと赤ちゃんの要求を言葉にしてあげて、要求を満たしてあげてみてください。

赤ちゃんが指差ししない、どうすればいい?

なかなか赤ちゃんが指差ししない場合、どのような対処法があるのでしょうか。見ていきましょう。

発達には個人差がある

赤ちゃんの発達は、個人差が大きいものです。指差しをするようになることが早い子もいれば、ゆっくり発達する子もいます。しばらく様子を見ながら、指差しを待ってみましょう。

まったく指差ししない場合は受診も

1歳半健診では、発達の目安として指差しをするかどうかが検査項目に含まれています。もし、このころになってもまったく指差しをしないのであれば、心の発達の遅れなどの可能性があります。状況に応じて、医師に相談してください。

遊びや生活の中で赤ちゃんの指差しをうながす

なかなか指差しをしない、指差しをしないのが気になる場合は、遊びや生活の中で指差しをうながしてみましょう。

親子で指差ししてみよう!

大人から感情の共有を働きかける

大人が指差しをしながら、感情の共有を働きかけてみましょう。ポイントは、赤ちゃんが興味を示しているものを指差しして、「きれいだね」「キラキラしてるよ」「あれを見て!」などと言葉を出すことです。赤ちゃんも同じような気持ちになって、指差しをする可能性があります。

大人が指差しをしてみせる

赤ちゃんは大人のマネをすることが好きです。ですので、大人がお手本となって指差しをしてみましょう。赤ちゃんも真似して指差しに興味を持つかもしれません。

絵本やおもちゃで一緒に遊ぶ

絵本やおもちゃで遊びながら物の名前を教えると、指差しの仕方を覚えるようになります。絵本なら「これはトマトだよ」と指差しをして名前を声に出しましょう。おもちゃなら、片方の手におもちゃを持ち、反対の手で指差しをしながら「これは、つみき」といったふうにやってみてください。

とくにおすすめなのは、シャボン玉です。シャボン玉は、ゆっくりと動くこと、キラキラしていることから、赤ちゃんが興味を持ちやすく、指差しをうながしやすいアイテムといえます。そのほか、身のまわりにあるものはすべて活用できます。

どちらか選ばせる

赤ちゃんの好きなおもちゃと、あまり好きではないおもちゃを用意して、「こっちが好き?」「それともこっち?」「どっちが好き?」などとおもちゃを指差ししながら声をかけてみると、指差しの意味を理解し、指差しして答えるようになります。

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指差しは大切なコミュニケーションツール

指差しは赤ちゃんの発達の目安となる仕草です。指差しをするようになる時期は一般的には8〜10ヶ月ころですが、赤ちゃんの発達には個人差があるので遅いようでも心配する必要はありません。また、特別な練習をしなくても、日々の生活の中で指差しをうながす機会はたくさんあります。

指差しをする赤ちゃんはとてもかわいらしく、赤ちゃんと周囲の大人とのコミュニケーションツールといえます。楽しみながら赤ちゃんとコミュニケーションしてください。

記事監修

Kawai
助産師・看護師・保育士
河井恵美

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

エミリオット助産院

文・構成/HugKum編集部

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