「脊椎動物」とはどんな生き物? 定義から種類、それぞれの特徴と例外まで【親子で学ぶ生物】

脊椎動物には、どのような生き物が含まれるのでしょうか。ひと口に脊椎動物といってもさまざまな種類があり、それぞれ生態が異なります。無脊椎動物との違いや種類ごとの特徴など、身近な動物の例を挙げながらわかりやすく解説します。

脊椎動物の定義は?

脊椎(せきつい)動物とは、そもそも何を表す言葉なのでしょうか。まずは言葉の定義をチェックしましょう。

脊椎(背骨)を持つ生き物

蛇の骨。クネクネしている蛇にもしっかりと背骨があるのがわかる。
蛇の骨。クネクネしている蛇にもしっかりと背骨があるのがわかる。

脊椎動物の「脊椎」とは、背骨のことです。脊椎動物は文字通り、背骨で体を支えている動物を指しています。

いずれも背骨を中心に骨格が発達しており、骨格に付く筋肉によって運動します。体が左右対称で、皮膚の表面が「うろこ」や毛などで覆われているのも特徴です。

脊椎動物は学問上の分類において、これまで「脊索(せきさく)動物門」と呼ばれる、大きなグループの「亜門」とされていました。しかし近年は、亜門ではなく「脊椎動物門」として扱うよう提唱されています。

無脊椎動物との違い

無脊椎動物は、脊椎を持たない動物のことです。脊椎動物以外は、全て無脊椎動物とされています。実は、地球上の動物の約96%は、無脊椎動物です。

大きく「節足(せっそく)動物」「軟体(なんたい)動物」「その他」に分けられ、 節足動物にはカブトムシやトンボなどの昆虫類、エビ・カニなどの甲殻(こうかく)類、ムカデ類などが属します。

体の節がはっきりとわかるカブトムシは節足動物で、無脊椎動物に分類される。
体の節がはっきりとわかるカブトムシは節足動物で、無脊椎動物に分類される。写真はコーカサスオオカブト。

軟体動物は、アサリ・サザエなどの貝類や、イカ・タコ類が代表的です。ウニやヒトデ、ナマコなどは棘皮(きょくひ)動物と呼ばれます。その他、ミミズや海綿なども無脊椎動物の仲間です。

食材として馴染みの深いサザエやアサリなど貝類は軟体動物で、無脊椎動物に分類される。
食材として馴染みの深いサザエやアサリなど貝類は軟体動物で、無脊椎動物に分類される。

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脊椎動物の種類と特徴

脊椎動物は、魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類の五つに分けられています。それぞれの特徴と、代表的な生物を見ていきましょう。

魚類

タイセイヨウサケ(アトランティックサーモン)Wikimedia Commons(PD)
タイセイヨウサケ(アトランティックサーモン)Wikimedia Commons(PD)

魚類は四肢の代わりに「ひれ」で運動し、肺ではなく「えら」で呼吸するのが、他の脊椎動物との大きな違いです。サケやフグ、メダカのように、一般的に「魚」と呼ばれるものや、エイ・サメ・シーラカンス・ヌタウナギなどが属しています。

近年の研究で、魚類には祖先にも進化の過程にもさまざまなバリエーションがあり、一括りにするのが大変難しいことが分かりました。

また、毎年数十~数百もの新種が見つかっており、これまで常識とされていたことが、将来覆る可能性も指摘されています。このため、脊椎動物のうち、四肢を持たないものをまとめて、便宜上「魚類」と呼んでいます。

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両生類

ベンケイソウの花の上のアマガエル。
ベンケイソウの花の上のアマガエル。

両生類は脊椎動物の中で、初めて陸上に進出した動物です。空気呼吸できる肺と、移動するための脚を手に入れ、陸上生活に適応しました。

ただし、一生を陸で暮らすわけではありません。両生類の幼生は「えら」呼吸なので、水中でないと生きていけないのです。このため、ほとんどの両生類が、卵も水中に産み付けます

水中に産み付けられたカエルの卵。
水中に産み付けられたカエルの卵。

両生類の身近な例が、カエルです。カエルの幼生「オタマジャクシ」は魚のように水中で暮らし、大きくなると陸に上ります。他には、イモリやサンショウウオなどが知られています。

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爬虫類

ニホンオオトカゲ
ニホントカゲ

爬虫類は、今からおよそ2億5,100万~6,550万年前の「中生代」と呼ばれる時代に栄えた動物です。両生類よりも肺や脚が発達し、全身を覆う「うろこ」によって、乾燥した陸上で一生を過ごせるようになりました。

卵は丈夫な殻に包まれており、中で十分に育ってから生まれてくるため、子どもが親と同じような姿をしているのが特徴です。

中生代の爬虫類といえば、恐竜や翼竜が知られています。現代、よく見られる爬虫類には、トカゲ・カメ・ヘビ・ワニなどがいます。

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鳥類

スズメ
スズメ

鳥類とは以下の通り、四つの条件を持つ動物を指します。

●「くちばし」がある
●全身が羽毛で覆われている
●前足が翼になっている
●殻のある卵を産む

羽毛の生えた恐竜が進化したものと考えられており、2023年3月時点で、1万933種が確認されています。鳥類の中でも、スズメやハト・カラスなどは、都市部でも見かける機会が多く、大変身近な存在です。

鳥といえば、他の動物にはほぼ見られない「空を飛ぶ能力」が特徴的ですが、ニワトリやペンギン、ダチョウのような空を飛ばない種類もいます。

鳥類でも空を飛ぶ能力はないペンギン。写真はフンボルトペンギン。
鳥類でも空を飛ぶ能力はないペンギン。写真はフンボルトペンギン。

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哺乳類

哺乳類は、卵ではなく母親の胎内で、ある程度成長してから生まれてくる動物です。生まれた子どもは、母親が授乳して育てます。またほとんどの哺乳類は、体に毛が生えているのも特徴です。

哺乳類の生息地は海・山・平地・土の中など多岐にわたり、体の形や大きさもさまざまです。小さなものは体長が数cmしかなく、大きなものは約30mにもなります。

海にすむ哺乳類では、イルカやクジラが有名です。地上で暮らす身近な哺乳類といえば、私たちヒト以外に、イヌやネコ・ウマ・ウシなどが挙げられるでしょう。

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脊椎動物の中には例外もいる?

脊椎動物は基本的に、種類によって特徴が決まっています。しかし中には例外もいて、他の種類と間違えやすいため注意しましょう。

変わった生態を持つ動物がいる

魚類と両生類の両方の特徴を備えているハイギョ。
魚類と両生類の両方の特徴を備えているハイギョ。

脊椎動物の中には、複数の種類の特徴を併せ持つ、変わった生態の動物がいます。

例えば「ハイギョ」は魚類と両生類、両方の特徴を備えている動物です。「ひれ」と「えら」を持つ魚の仲間ですが、大人になると、肺呼吸ができるようになります。

哺乳類なのに卵を産むハリモグラ。
哺乳類なのに卵を産むハリモグラ。

オーストラリアに生息する「カモノハシ」や「ハリモグラ」は、哺乳類なのに卵を産む、非常に珍しい動物です。また空中を自在に飛べるコウモリは、鳥類と誤解されがちですが、赤ちゃんは母乳で育てられます。体も羽毛ではなく、毛で覆われています。

ヒトも含む「脊椎動物」の仲間を知ろう

脊椎動物とは、体を背骨によって支える動物全般を指す言葉です。背骨を持たない無脊椎動物に比べて、全体的な割合は少ないものの、その姿は世界中で見られます。

硬い骨や卵を持つために、恐竜のようにすでに絶滅した種が化石となって残っているのも、脊椎動物ならではの特徴といってよいでしょう。脊椎動物の仲間には他にどのような生き物がいるのかを、親子で考えてみると新たな発見があるかもしれません。

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文・構成/HugKum編集部

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